駐車場に車をとめて休んでいたら、追突された! 相手は自賠責保険しか入っていないそう…… 治療費や車の修理費は自腹ですか?
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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治療費は原則自賠責保険だが、車両修理は難しい
駐車場に車をとめて休んでいたところ、追突された。しかも相手は自賠責保険のみ加入……この話を聞くと、「治療費も修理費も全部自腹なのでは?」と不安になる方が多いでしょう。
治療費については原則として自賠責保険から支払われますが、車の修理費は自賠責保険では補償されません。自分が加入している保険の内容によっては、自己負担を軽減できる可能性があります。
自賠責保険で補償される範囲
自賠責保険は、すべての車に加入が義務づけられている「対人賠償専用」の保険です。国土交通省の制度説明でも明確にされており、「人のけが・死亡のみ」が補償対象です。具体的にいうと、「傷害:治療費・休業損害・慰謝料など(上限あり)」「後遺障害・死亡:等級に応じた限度額」がカバーされる範囲になります。
今回のケースのように「停車中に追突された」場合、「過失割合は原則0%」いわゆる「もらい事故」になるため、治療費は自賠責保険から全額支払われるのが基本です。
車の修理費はどうなる?
では、車の修理費や代車費用はというと、こちらは自賠責保険の補償対象外です。相手が任意保険に入っていれば、通常は相手の対物賠償保険から支払われますが、今回のケースでは「自賠責保険のみ」ということなので、相手に「直接」請求します。
ここで問題になるのが、相手の支払い能力です。十分な支払い能力がない場合は、請求しても回収できない、あるいは長期の交渉になる可能性があります。
自分の保険で早期解決と確実な補償
そこで、次の選択肢として自分自身の自動車保険を使うという手段を検討します。
車両保険に加入していれば、自分の保険で修理することになります。「被害者なのに保険を使うのは損」と思われがちですが、現実的には早期解決と確実な補償を優先すべきケースもあり得ます。
もらい事故で自分の保険の等級はどうなるか?
次に気になるのが、この場合、自分の保険の等級が下がるのではないかという懸念です。
通常の場合、自分に過失が一切ない(過失割合0%)のもらい事故の場合、相手の保険を使うのが原則なので、自分の保険の等級は下がらず、翌年の保険料も上がりません。
しかし、相手が自賠責保険しか入っていない、または支払い能力が乏しい場合に、修理を急いだり、交渉が長引くのを避けたりするために自分の車両保険を使うと、たとえ自分自身に事故の責任はなくても3等級ダウンし、翌年以降の保険料が上がるのが一般的です。
一方で、人身傷害保険のみを使う場合、等級は下がらないと規定している場合が多いです。しかし、細かな取り扱いは保険会社や商品によって異なるため、約款の確認や保険会社への相談が必要になります。
重要なことは「もらい事故かどうか」ではなく、「保険を使ったかどうか」という点です。したがって、「少額の場合は自腹で対応する」「修理費が高額になった場合には等級ダウンを覚悟して車両保険を使う」という判断になる場合も想定しておかなければなりません。
まとめ
今回のケースでおわかりのように、相手が自賠責保険しか入っていない事故は、誰にでも起こり得るリスクです。「もらい事故だから相手の保険でカバーしてもらう」と安易に考えず、車両保険をつけるかどうか、人身傷害保険をいくらに設定するかという点は、家計を防衛する意味で重要です。
事故に遭ってから後悔しないためにも、補償の穴がないか定期的に点検しておくのがよいでしょう。
出典
国土交通省 自賠責保険・共済ポータルサイト
内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン 自賠責保険・共済の加入は、クルマやバイクを持つ人すべての義務です!
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者
