子育て世帯のライフプラン。老後の生活を見越して保険を考えるなら
配信日: 2019.08.01
あくまでも一般的な予測ですので、傾向と対策という意味でご理解ください。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
ライフプランの設定
健康寿命が延びることで、平均寿命が延びると言われています。長寿化の社会を想定し、ライフプランを組み立てていく必要があります。
上記は、「長生きすることを見越して人生設計を描きましょう」という意味です。これには賛否両論ありますが、近年、長生きを前提に国や企業の制度設計が組まれてきています。
何歳まで働きますか?
現行の制度では、一般的に60歳定年制、希望者に限り65歳まで再雇用を受けられるようになっています。すでに大企業を中心に60歳定年制から65歳定年制に変更しているところも出始めており、今後さらに後ろ倒しになる可能性があることも考えておいたほうがいいでしょう。
そして、現在の年金制度のもとでは、20代・30代・40代の子育て世代の方は、原則、65歳から年金が支給されることになっています。
こちらもまた、超高齢化社会を見越した年金制度の改革が叫ばれるなかで、支給開始年齢が65歳から70歳に引き上げられることを想定しておく必要があるでしょう。
つまり、子育て世帯は65歳まで働いて70歳から年金がもらえるという老後の生活設計モデルを想定し、場合によっては実質的に70歳まで働くことも予測したうえで、人生設計を組み替えていったほうがよいということです。
これらを前提に子育て世帯の保険について考えていくと、老後の生活を見越した保障設計が重要になります。
長生きする人生では、それに見合った保障設計が必要
以前の記事で、子育て世帯の保障設計の目的は、基本的に「医療保障」と「遺族保障」のふたつであるとお伝えしました。
その他に、「働けなくなった場合の収入確保」や「老後の生活資金の準備」、「子どもの教育・進学資金の準備」「要介護状態や認知症への備え」といった目的にも触れました。長生きする人生では、それに見合った保障設計が必要になってきます。
病気やケガへの備えは?
遺族保障は?
働けなくなった場合の収入確保は?
老後の生活資金の準備は?
子どもの教育・進学資金は?
要介護状態や認知症になった場合の備えは?
マイホームの空き家対策にかかる費用の準備は?
お子さんへの相続・贈与対策は?
これらを考慮し、保障設計のあり方を組み替えていく必要が出てきます。例えば医療保障は、一定の期間ごとに更新が必要なものでなく、一生涯、保障が継続するものを選んでいく必要があるでしょう。
遺族保障については、特に、空き家対策や財産の移転対策も含め、終活期という75歳以降のライフステージをしっかりと念頭におく必要があります。
そして、要介護状態や認知症になった場合の経済的な負担を軽減するために、介護保険や認知症保険に入っておくなどの工夫・見直しが、今後ますます必要になってくると考えられます。
また、家計面も考えると、長生きは生涯支出が増えることを意味するため、保険で準備するのが本当にふさわしいかどうかという視点でも考えていく必要があります。
例えば、「子どもの教育・進学資金の準備方法は、学資保険以外にもないか」「老後の生活資金の準備方法は、個人年金保険以外にもないか」などです。保険は金融商品のひとつです。貯蓄性のある保険は特に、他の金融商品などと比べてしっかりと検討することが求められます。
時代はすでに変わっています。そして、今後、超高齢化社会の進展にともない、制度設計が少しずつ変更されていきます。わが家の場合はどうするか。ライフプラン(人生設計)を組み立てたうえで、考えてみてくださいね。
次回は、「退職準備期」の保険について考えていきたいと思います。
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)