【FP監修】介護保険制度とは? 仕組みを分かりやすく解説

配信日: 2019.10.18

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【FP監修】介護保険制度とは? 仕組みを分かりやすく解説
人生100年時代ともなると、誰でもいつかは介護が必要になる可能性が高くなります。民間の介護保険もありますが、そのときに頼りになる制度として、まずは公的介護保険制度について知っておきましょう。
 
柴田千青

執筆者:柴田千青(しばた ちはる)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

2級DCプランナー/精神保健福祉士/キッズ・マネー・ステーション認定講師/終活アドバイザー

小美玉市教育委員
出産を機にメーカーの技術職から転身。自身の資産管理や相続対策からお金の知識の重要性を知り、保険などの商品を売らないFPとして独立。次世代に伝えるための金銭教育活動とともに、セミナー講師・WEB記事を中心とした執筆・個別相談などを行う。

介護保険ってどんな制度?

介護保険では、加齢による疾病などで介護が必要になり、介護サービスを受けるときに給付を受けることができます。その費用は税金で50%がまかなわれますが、社会全体で支え合うという趣旨から、残りの50%は加入者(被保険者)からの保険料となっています。
 
介護保険は40歳以上になると加入義務があります。第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40歳以上65歳未満)に分かれており、保険料や徴収方法が異なります。
 
第1号被保険者の場合、原則として保険料は65歳になった月の年金から天引きされますが、その基準額の全国平均は第7期(平成30~32年)で5869円とだんだん増えてきています。
 
ただし、市町村ごとで給付水準や施設整備状況が異なるため、自治体ごとに基準額にも3000~9000円程度と開きがあります。また各人の保険料は、市町村民税の課税状況に応じて段階的に設定されています。
 
第2号被保険者は、保険料は加入している公的医療保険の保険料に上乗せして徴収されますので、会社員の人などは給料から天引きされることが多いでしょう。自営業の方などは国民健康保険料に上乗せされます。
 

介護保険のサービスは3種類

介護保険のサービスは、被保険者がどこに住んでいるかによって3つに分けられます。

1)居宅サービス

主に自宅で受けるサービスです。訪問介護・訪問入浴介護・訪問看護などと、通所介護(デイサービス)・通所リハビリテーション・短期入所生活介護(ショートステイ)などがあり、組み合わせて利用することもできます。また自宅で必要な車いすやベッドなどの福祉用具貸与もあります。
 

2)地域密着型サービス

住み慣れた地域で生活を続けるためのサービスです。一人暮らしの要介護者の定期巡回・随時対応型の訪問介護看護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、状況にあわせて施設で過ごしたりヘルパーに来てもらったりする小規模多機能型居宅介護等があります。
 

3)施設サービス

介護保険施設に入所して受けるサービスです。介護老人福祉施設(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設(療養病床)の3種類がありますが、療養病床については今後、介護医療院へと順次転換されていきます。
 
これらのサービスの利用は要介護度によって異なってきます。
 

要介護認定とは?

介護保険サービスを受けるには要介護認定が必要です。まず、本人や家族が市区町村の介護保険の窓口に要介護申請を行うと、認定調査員が自宅等を訪問して認定調査を行います。また、主治医の意見書、もしくは指定の医師の診察が必要になります。
 
この認定調査の結果と主治医の意見書に基づくコンピューター判定による一次判定が行われ、これと主治医の意見書をもとに介護認定審査会で二次審査を行い、その後市町村が申請者についての要介護度を認定します。
 

介護保険の利用上限について

介護保険で利用できるサービスは、要介護度に応じて月ごとの利用限度が決められています。限度額は要介護度が高くなるにつれ上がり、要支援1で5万320円、要介護5で36万2170円です。
 
その範囲内での利用は、所得に応じて1・2・3割の自己負担で済みますが、それを超える利用については全額自己負担となります。
 
ただし、自己負担額にも上限が設けられており、課税状況により額は異なりますが、市町村民税が課税される世帯については月額4万4400円を超える自己負担があった場合、高額介護サービス費として払い戻されます。
 

介護保険だけではない? 介護保険外サービス

訪問介護等の介護保険のサービスを受けながら、介護以外の手伝いなど、保険給付外のサービスを受けたいこともあるでしょう。
 
こうしたサービスについては、保険対象のサービスと明確に分け、介護保険のサービスとは別であると説明し理解させる等の取り扱いをすれば、事業者は介護保険サービスと組み合わせて提供することができます。ただし利用者は当然のことながら、全額自己負担で介護保険の適用外となります。
 

Q&A

保険料を滞納するとどうなる?

介護保険の加入は義務であり、保険料を滞納した場合にはその期間に応じた措置が取られます。
 
・納期限からの経過期間に応じて保険の給付に制限がかかる
・サービスにかかる費用をいったん全額負担
・償還払いする給付金を滞納している保険料へ充当
・自己負担割合の引き上げ
・高額介護サービス費の不支給
自治体によっては延滞金の上乗せ等もありますので、納期限までに保険料をしっかり納めましょう。
 

介護保険料はどうやって支払うのですか?

65歳以上の第1号被保険者は基本的に年金から天引きされる特別徴収です。また65歳未満の第2号被保険者は入っている健康保険(各健康保険組合や国民健康保険)の保険料と一緒に納付するので、給料をもらっている人は健康保険料と同様に給料天引きです。
 
年金をもらっている人でも、年金額が18万円未満と少なかったり、年度途中で転居や保険料段階の変更などがあったりする場合は、納付書により納める普通徴収となります。
 

まとめ

介護保険は利用者の増加もあって利用者側の負担も大きくなってきていますが、いざ介護が必要になったときには、金銭面で大きな助けとなります。安心してサービスを受けられるよう、制度について知っておくようにしましょう。
 
出典
厚生労働省 公的介護保険制度の現状と今後の役割(平成30年度 厚生労働省 老健局)
厚生労働省 第7期計画期間における介護保険の第1号保険料について
厚生労働省 介護療養病床・介護医療院のこれまでの経緯
厚生労働省 2019年度介護報酬改定について
厚生労働省 「月々の負担の上限 (高額介護サービス費の基準)が 変わります」
厚生労働省 介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取り扱いについて
東京都中野区HP 介護保険料を滞納すると
 
執筆者:柴田千青
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者


 

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