更新日: 2020.01.28 損害保険
あなたの家の火災保険。再調達価額と時価、どちらで契約しているか知っていますか?
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
損害保険金の計算式
頭の中でイメージしておきたいのが、「損害保険金がどのような計算式にもとづいて支払われるか」です。
○損害保険金=損害額-自己負担額
損害保険金は、上記のように、損害額から自己負担額を差し引いて算出されます。原則、支払われる保険金は契約時の「保険金額」を限度としています。
したがって、保険金額が100万円を限度としている契約では、損害額が110万円、自己負担額が10万円のとき、損害保険金は、110万円-10万円=100万円となり、保険金額以内として支払われることになります。
保険金額の設定
火災保険では、契約時に保険金額を設定します。
設定には、
・再調達価額
・時価
の2つの方法があります。
再調達価額は、同等の建物を新たに建てるのに必要な金額のことをいいます。2000万円でマイホームを購入して、同じ建物を建てるときには2000万円かかると想定します。保険金額は2000万円に設定します。
これに対し、時価は、同等の建物を新たに建てるのに必要な金額から、経過年数に応じて老朽化した損耗分を差し引いた金額です。その時点での建築費用をもとに、保険金額が設定されます。
ここで発生する問題が、マイホームが全壊した場合に支払われる損害保険金です。前述したとおり、再調達価額にもとづき火災保険を契約した場合、同じ建物を建てるのに必要な金額が保険金の限度額に設定されています。このため家屋の再建はスムーズに運ぶ可能性が高いといえます。
しかし、時価にもとづき保険金額を設定した場合、建物の劣化などによる減価が発生します。同等の建物を建てようとすると、場合によっては保険金で再建築することが難しい可能性があります。
このような違いがあるため、火災保険を契約する際は、通常、再調達価額をもとに保険金額を設定しますが、中には時価ベースでの契約をしている場合もあるため、確認が必要です。個人向け火災保険(家計火災保険)の場合、再調達価額で契約するのがよいでしょう。
まとめ
自然災害が毎年のように多く発生するようになりました。万一に備えるのがリスクマネジメントです。せっかく加入している損害保険ですから、どのような場合にいくらを限度に保険金が支払われるかをしっかりとチェックしておきましょう。
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)