亡くなったときに健康保険から受けられるお金
配信日: 2020.03.16
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
健康保険制度の埋葬料
健康保険に被保険者として加入している人が業務外の傷病、つまり私傷病が原因で亡くなった場合には、健康保険制度から埋葬料が支給されます。
亡くなると葬儀、法要などで、多くの費用がかかりますが、埋葬料としてはその遺族は5万円が受けられます。その埋葬料を受けられる遺族とは、死亡当時、被保険者の収入により、生計の全部または一部を維持されていた人で、埋葬を行う人となります。
埋葬料を受ける人は、必ずしも被保険者に扶養されていた家族(被扶養者)や被保険者の民法上の親族とは限りません。また、埋葬料を受けるためには、亡くなった被保険者と同一世帯である必要も、亡くなった被保険者自身が世帯主である必要もありません。
会社の退職等により健康保険の加入資格を喪失して3ヶ月以内に亡くなった場合や、加入資格喪失後に傷病手当金や出産手当金を継続して受けている間に亡くなった場合、当該傷病手当金や出産手当金を受けなくなってから3ヶ月以内に亡くなった場合にも、埋葬料は支給されます(【図表1】のABC)。
埋葬料以外の給付
一方、健康保険の被保険者の家族で扶養されていた人(被扶養者)が亡くなった場合は、家族埋葬料が被保険者に支給されます。被扶養者ではない家族の死亡の場合は、家族埋葬料は支給されません。家族埋葬料は埋葬料同様に5万円です。
また、もし私傷病で亡くなった被保険者に生計を維持されていた人がいない場合、つまり埋葬料を受けられる人がいない場合は、実際に埋葬を行った人に埋葬費が支給されます。
埋葬費は、埋葬料(5万円)の範囲内で、実際に埋葬にかかった費用(祭壇一式料、霊柩車代、火葬料、僧侶への謝礼など)です。
葬儀の際の飲食代や香典返しはその費用に含まれませんが、埋葬にかかった費用をすべて合計すると5万円を超えますので、埋葬費も5万円となりうるでしょう。埋葬費は【図表1】の加入資格喪失後の死亡の場合でも支給されます。
手続きを忘れずに
埋葬料にしても、家族埋葬料にしても亡くなった日の翌日から2年以内に手続きをする必要があり、埋葬費の場合は埋葬した日の翌日から2年以内の手続きが必要です(【図表2】)。
健康保険組合によっては、これらの死亡に関する給付に加え、付加給付が支給されることがあります。亡くなった後、葬儀などで慌ただしくなってしまいますが、死亡による給付を受けるために、全国健康保険協会(協会けんぽ)あるいは健康保険組合に忘れずに申請を行いましょう。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー