「発達障害と診断されたら保険に入れない」これって本当?

配信日: 2020.04.10 更新日: 2021.10.08

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「発達障害と診断されたら保険に入れない」これって本当?
近年、自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)、学習障害(LD)など、「発達障害」と診断される方は増加傾向にあり、子どもだけではなく大人の発達障害の存在も、徐々に知られるようになってきました。
 
「一度こういった診断を受けると保険に入れなくなる」と心配される方もいらっしゃるようですが、本当にそうなのでしょうか。
 
馬場愛梨

執筆者:馬場愛梨(ばばえり)

ばばえりFP事務所 代表

自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。

過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。

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発達障害は保険に入りにくい?

「発達障害=保険に入れない」ということではありません。ただし、入れる保険が通常よりも限られてしまう、というのは残念ながら事実です。
 
生命保険や医療保険に入るときには、基本的に「告知」といって過去の病歴や通院歴、飲んでいる薬など健康状態について保険会社に申告します。保険会社ではこの「告知」の内容をもとに、その人の健康上のリスクを見極め、保険に加入できるかどうかを判断しています。
 
保険会社からすると、健康上のリスクが高い(将来多額の保険金を支払う可能性がある)人の加入を無条件に認めてしまうと、その保険会社の経営に悪影響を及ぼす可能性があります。
 
保険はその特性上、長期に亘って安定的に運営していく必要があるため、加入段階で契約希望者にさまざまな質問や診断を実施することで、保険会社としてとれるリスクを判断しているともいえます。
 
「告知」の内容や審査を通過できる基準は、保険会社によっても違いますし、加入を希望する保険の種類によっても違います。まずは、何のためにどんな保険に入りたいのか考えてみましょう。

発達障害でも入れる保険はある!

発達障害でも入れる保険、発達障害だと入れない保険、両方存在します。

●一般の生命保険、医療保険

生命保険や医療保険は、告知の項目が細かく設定されていて、加入条件が厳しくなりがちです。メンタルクリニックへの通院歴があるだけで、保険加入を断られてしまうこともあります。
 
ただし、保険会社によって基準にばらつきがあるので、複数の保険を扱う代理店の窓口などで、自分の現状でも加入できそうな保険がないかたずねてみるのも良いかもしれません。

●引受基準緩和型の生命保険、医療保険

一般の生命保険や医療保険に加入できなくても、健康状態の基準を通常より緩めた「引受基準緩和型」の保険を選ぶという方法もあります。
 
いわゆる「持病や手術歴があっても加入できる」と宣伝しているような保険ですね。ただし、入りやすい分、「引受基準緩和型」のほうが一般的に保険料は割高に設定されています。

●がん保険

「医療保険」は病気やケガ全般について保障してくれる保険のことですが、そのなかでも「がん」だけに特化した「がん保険」なら、発達障害でも関係なく加入できることがあります。気になる保険を見つけたら、告知項目をチェックしてみましょう。

●個人賠償責任保険

聞き慣れない名称かもしれませんが、この保険は相手の体や相手の持ちモノを傷つけてしまったときの損害賠償請求に備えるものです。例えば、買い物中に不注意で高価な商品を落として割ってしまったり、自転車で事故を起こしてしまったり、といった場合に使えます。
 
これは、火災保険や自動車保険などの特約として月100円ほどの保険料で追加することができ、家族全員が保障対象になります。生命保険ではないので告知の必要はありません。

●ぜんち共済

ぜんち共済は、発達障害や知的障害などを抱える方専用の保険で、告知は必要ありません。亡くなったとき、入院したとき、ケガで通院したとき、被害事故に遭って弁護士に相談したときなどの保障がすべてセットになっています。

発達障害だからとあきらめないで

発達障害に限りませんが、病院に行ったり、薬を飲んでいたり、病気の診断がついていたりすると、どうしても保険に加入しにくくなりがちです。
 
ただし、告知の段階で必要な情報を申告せず黙って保険に加入するというのは、絶対にやってはいけません。保険金を請求した際、保険会社は健康保険の情報から通院歴を確認することができるため、虚偽の報告をしたことが明らかになります。そうなると保険金が下りないどころか保険契約自体を解除されてしまうこともあります。
 
もし希望の保険に入れなくても、貯金で備えたり、いざというときに使える社会保障制度を把握しておいたりするなど、できることは他にもあります。あきらめずに、調べて、考えて、備えておきましょう。
 
(参考・出典)
日本損害保険協会「個人賠償責任保険」
文部科学省「平成30年度 通級による指導実施状況調査結果 P.2」
ぜんち共済株式会社「保障内容と保険料について」
 
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表

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