65歳以上の人の雇用保険料免除が2019年度で終了。2020年から雇用保険料はどれくらいかかる?
配信日: 2020.04.17
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
65歳以上の人も雇用保険の加入対象に
雇用保険に加入する条件は、1週間の所定労働時間が20時間以上あること、31日以上雇用されることが見込まれること、いずれも満たすこととなっています。
正社員などフルタイム勤務の人はもちろんのこと、一定のアルバイトやパート勤務の人もその対象になるといえます。
こうした条件を満たした人は、65歳未満の場合は一般被保険者として加入しますが、65歳以上の人についても、2017年1月以降、高年齢被保険者として加入することになりました(【図表1】)。
2019年度までは雇用保険料は免除
このように65歳以上でも雇用保険の対象になりましたが、これまで、年度の初日(4月1日)時点で満64歳となっている一般被保険者、つまり当該年度に65歳を迎える人や、すでに65歳以上となっている高年齢被保険者についての雇用保険料(被保険者負担分・会社負担分両方)は免除されていました。
これらの人は雇用保険に加入しながらも雇用保険料の負担はなく、受給要件を満たせば、離職後・失業中の失業等給付(65歳未満で離職した場合は基本手当、65歳以上で離職した場合は高年齢求職者給付金)を受けることができるようになっていました。
しかし、この雇用保険料の免除措置は2019年度で終了し、これらの人も2020年度より雇用保険料が徴収されることになりました。
雇用保険料の計算
雇用保険料は賃金(災害見舞金、死亡弔慰金といった一時的に支払われるものなどは除く)に雇用保険料率を掛けて算出します。また、賞与についても雇用保険料の対象ですので、賞与が支給された場合は、賞与に雇用保険料率を掛けることになります。
雇用保険料は被保険者と会社で負担しますが、それぞれ負担する保険料率が決まっています。また、保険料率は業種によっても異なっています。
【図表2】のとおり、一般の事業の場合であれば、被保険者が負担する保険料は会社から受け取る賃金あるいは賞与に、1000分の3を掛けて計算します。月額の賃金が30万円であれば、被保険者負担分の雇用保険料は900円(30万円×3/1000)となります。
厚生年金保険料や健康保険料と比べると、雇用保険料は金額的に多くはないかもしれませんが、65歳以上の人もこれから雇用保険料が控除されることになりますので、給与明細をご確認ください。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー