知っているようで知らない地震保険について
配信日: 2020.06.21
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
地震保険とは? みんな加入している?
地震保険は、地震はもちろん、噴火やそれらによって起こる津波で発生した損害を補償する保険です。地震も噴火も津波も、地震によって起こる火災も、通常の火災保険では補償されません(※1)。
そういった事態に備えておくには、火災保険だけでなく地震保険にも加入しておく必要があります。
地震保険に加入する方は年々増えています(※2)。都道府県によって差はありますが、火災保険に加入している人のうち6割ほどは、地震保険にもあわせて加入しています(※3)。
地震保険の選び方は?
地震保険は、生命保険などと違って、国と損害保険会社が共同で運営しています。そのため、どこの保険会社で加入しても保険料や補償内容は同じです(※4)。
地震保険に入るときは、火災保険とセットになります。火災保険は保険会社ごとに違いますので、その内容や保険料などで選ぶと良いでしょう。すでに加入している火災保険に、契約期間の途中から地震保険を追加するということもできます(※5)。
地震保険の保険料は次のような条件(※6)によって決まっています。
・住居の所在地……地震のリスクが高いとされている都道府県は保険料も高めに設定されています。
・建物の構造……鉄骨造や鉄筋コンクリート造よりも、木造のほうが基本的に保険料は高くなります。
・補償する範囲……「建物」自体と、その中にある家具や家電など「家財」、どちらも補償してもらえるように設定すると保険料が高くなります。
・保険金額……最大いくらまで補償してもらうか、火災保険の保険金額の30%から50%の範囲内で自分で設定できます。もちろん最大補償額が大きいほど保険料も高くなります。
・各種割引……免震や耐震など地震に特に強い構造の建物や、1981年6月以降に建築された建物の場合は保険料が安くなります。また、複数年にわたる長期契約のほうがお得です。
具体的な保険料は、各保険会社や財務省のホームページに記載されているので簡単に調べられます。例えば、東京で鉄骨造の建物(平成元年築)に建物と家財あわせて保険金3000万円の保障をつける場合は、1年契約で2万2500円(2万5000×建築年割引10%)です。
ちなみに、地震保険の保険料は年末調整や確定申告のときに申請すれば、「地震保険料控除」として所得控除を受けられます。所得税や住民税の負担が軽くなりますので、忘れずに申請するようにしましょう。
地震保険はどこまで補償してくれる?
地震保険では、その住居がどの程度の被害を受けたかによって、もらえる保険金の金額が決まります。被害の大きさによって次の4つに分類されます。
・全損……保険金額の100%補償(時価額が限度)
・大半損……保険金額の60%補償(時価額の60%が限度)
・小半損……保険金額の30%補償(時価額の30%が限度)
・一部損……保険金額の5%補償(時価額の5%が限度)
例えば3000万円の家に50%補償の地震保険をつけていて小半損の被害を受けたら、3000万円×50%×30%=「450万円」を保険金として受け取れるということです。
ただ、広い範囲にわたる地震が発生したときなどは、被害状況の確認までに時間がかかってしまいます。そこで、最近ではその家の個別の被害状況ではなく、そのエリアの震度に応じて保険金を出すような新しいタイプの保険も開発されています(※7)。
また、地震保険の補償では足りない部分を補うための、少額保険などもあります(※8)。既存の地震保険だけでは不安だという方は、そういった補助的な保険を追加することも選択肢のひとつでしょう。
大地震が来てからでは遅い! 未加入の方は今のうちに検討を
地震保険は、東日本大震災のような災害があると急激に注目されて加入する方が増える(※2)のですが、普段の生活が続く中ではどうしても忘れられがちです。
いつか後悔することがないように、早めに、一度はじっくりと「わが家の地震保険」について考えておきたいところです。まずは自分が地震保険に加入しているのか、もしすでに加入しているならどの程度補償されるプランなのか確認するところから始めてみませんか。
(※1)財務省「地震保険の概要」
(※2)損害保険料率算出機構「グラフで見る!地震保険統計速報」
(※3)一般社団法人 日本損害保険協会・一般社団法人 外国損害保険協会「都道府県別付帯率(2018年度)」
(※4)損保ジャパン「地震保険」
(※5)一般社団法人 日本損害保険協会・一般社団法人 外国損害保険協会「加入方法」
(※6)財務省「地震保険の概要 (参考)地震保険の保険料」
(※7)東京海上日動火災保険株式会社「【国内初】震度連動型地震諸費用保険(地震に備えるEQuick(イークイック)保険)の販売開始 〜インターネット専用商品で、早期のお支払いを実現〜」
(※8)SBIいきいき少短「SBIいきいき少短の地震の保険(地震被災からの再スタート費用保険)」
(出典)一般社団法人 日本損害保険協会・一般社団法人 外国損害保険協会「地震保険」
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表