更新日: 2020.09.15 損害保険

今さら聞けない火災保険と地震保険のこと。補償範囲は?保険料の違いは?

今さら聞けない火災保険と地震保険のこと。補償範囲は?保険料の違いは?
近年は地球温暖化の影響からか、毎年のように大規模な風水害に見舞われているだけではなく、首都直下型地震の発生も危惧され、自然災害への対策は欠かせないものとなっています。
 
特に被災の際の家屋・家財への損害の補償や、生活再建のための足がかりとして火災保険や地震保険は必須ともいえる状況となっています。今回は、火災保険・地震保険の補償範囲などを再確認し、災害に対する備えを整えていきましょう。
菊原浩司

執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)

FPオフィス Conserve&Investment代表

2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。

http://conserve-investment.livedoor.biz/

火災保険と地震保険について

火災保険は「火災」と名がついているものの、実際の補償範囲は多岐にわたります。火災による被害の補償はもちろん、落雷や爆発、風災やひょう災、水害などの自然災害、盗難や自動車の飛び込みによる被害などにも及び、さまざまな場面で活躍する機会が多い保険となっています。
 
しかし、広い範囲をカバーしている火災保険でも、噴火や地震に起因する火災や津波による被害は対象外となっています。これは火災保険が民間の保険会社が提供している損害保険のため、甚大な被害となる噴火や震災を補償するのは実質的に困難なためです。
 
そこで、噴火や地震による被害の補償を受けるには国が間接的に提供している地震保険を利用する必要がありますが、地震保険は単独では契約することができないため、必ず火災保険とセットで加入することになります。
 
地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%から50%ですが、建物5000万円、家財1000万円までの保険金の支払上限金額が設定されており、火災保険よりも少ない補償しか受けることができないといった弱点があります。

火災・地震保険で補償される財産と保険金について

火災保険と地震保険は、さまざまな災害によって引き起こされた居住用家屋や収納されている家財の焼失や流出、倒壊や損壊を補償してくれますが、以下に示す財産は補償対象外となりますので契約の際は注意が必要です。

【補償対象外の財産】

・自動車
・価額が30万円を超える貴金属や美術品など(明記物件といいます。)
(地震保険では補償不可。火災保険では明記物件契約で補償可能。)
・地震保険では、紛失・盗難にあった財産も補償対象外
 
また、火災保険・地震保険は損害の程度に応じて支払われる保険金の額が変化します。火災保険では、保険会社の調査員が個別に現地を確認し、損害の程度の認定を行った上で実際の被害額に応じた補償を行います。
 
地震保険では火災保険とは異なり、実際の被害額に応じた補償額ではなく、以下に示すように、損害状況に応じて保険金額の支払いを行います。

【地震保険の損害認定と支払われる保険金の割合(家財の場合)】

・全損(家財の損害額が時価の80%以上の場合):地震保険金額の100%(時価を限度)
・大半損(家財の損害額が時価の60%以上80%未満の場合):地震保険金額の60%(時価を限度)
・小半損(家財の損害額が時価の30%以上60%未満の場合):地震保険金額の30%(時価を限度)
・一部損(家財の損害額が時価の10%以上30%未満の場合):地震保険金額の5%(時価を限度)
 
※被害が一部損に満たない場合、保険金は支払われません。
 
地震保険の補償は時価が上限となるため、補償がどうしても不足しがちになります。現在は単独加入できる地震の少額短期保険も発売されているので、リスクの高い地域にお住まいの方などは補償の上乗せとして検討してみてはいかがでしょうか。

火災保険と地震保険の保険料の違い

火災保険・地震保険は、災害被害からの生活再建に重要な保険となっていますが、近年は風水害の頻発や、大規模な地震の発生が懸念されていることから保険料が上昇傾向となっています。
 
また、地震保険の保険料は、お住まいの地域によって保険料が異なるという特徴があります。特に首都直下型地震などにより、大きな被害が発生すると予想されている東京・千葉・神奈川・静岡の1都3県は地震保険料率が最高となっており、居住地による格差が存在しています。
 
今後も保険料の上昇が予想されますので、契約の際はできるだけ長い保険期間を設定する、免震建築物割引、耐震等級割引、耐震診断割引、建築年割引などの地震保険の割引制度を利用するなど、保険料を抑える工夫を行いましょう。

まとめ

火災保険・地震保険は名前のイメージよりも広い範囲で補償を受けることができるので、保険金の支払事由に該当した際は、確実に申請を行うことが大切です。また、住居に賃貸物件を利用している場合でも、不動産会社などを通じて家財を対象とする火災保険に加入していることが多いです。
 
火災保険による補償は自動車保険とは異なり、利用したからといって保険料が高くなるわけではありませんので被害を受けた際は、必ず保険金の申請を行うことをおすすめします。
 
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表

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