更新日: 2020.10.27 その他保険
40代“おひとり様”、保険の考え方
40代のおひとりさまが、このままずっと結婚しないかも…という選択をした場合、保険に対してどのように考えたら良いかを、ファイナンシャルプランナーがアドバイスします。
執筆者:福島佳奈美(ふくしま かなみ)
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー
大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務。子育て中の2006年にCFP資格を取得、FPとして独立。「ライフプランニング」をツールに教育費や保険、住宅ローンなど家計に関する悩みを解決することが得意です。
おひとりさまに死亡保険はいらない?
すでに結婚しているなら、万一の場合に、残された家族が安心して生活を送れるように、公的年金や預貯金、配偶者の収入等で賄えない部分を、生命保険の死亡保障で補うというのが基本的な考え方です。
しかし、独身であるおひとりさまなら、死亡保障は必要ないという方がほとんどでしょう。この考え方は、20代でも40代でも変わりません。
ただし、ご両親やご兄弟などの親族の生活資金を補っているような方は、死亡保障が必要な場合があります。生活資金を補ってあげないとどうしても困るという場合には、今後、親族にどのくらいの生活資金を補わなければ生活できないのかを計算し、預貯金等で対応できない部分だけ生命保険に入っておくと良いでしょう。
病気や「がん」になったら?
ほとんどのおひとりさまには死亡保障は不要だと述べましたが、医療保険やがん保険はどうすべきでしょうか。
独身で頼る人がいないから、医療保険やがん保険に入っておこう、と思われるかもしれませんが、その考えは正しいとはいえません。がんや急性心筋梗塞、脳卒中などの病気になり、入院が長引いてしまったら…。また、これまでどおり働けなくなってしまったらどうしよう…という不安は誰にでもあると思われます。これは独身でも既婚者でも同じです。
40代独身で預貯金が十分にあり、入院した時の費用も賄えそう、というのならあえて医療保険やがん保険に入る必要はないかもしれません。一定額以上の医療費がかかった場合は高額療養費制度も利用できます。
ただし、そろそろ老後も気になってくる年代です。預貯金は老後資金のためになるべく減らしたくない、安心して治療を受けるためには保険に入っておきたい、という場合には医療保険やがん保険で備えることも有効です。現在の預貯金がどれくらいあるか、病気への備えの考え方によって、医療保険やがん保険への加入を判断すると良いでしょう。
また、働けなくなった時の生活を支えてくれる就業不能保険(損害保険会社では所得補償保険)も、公的な保障で不足しそうという場合には加入を検討しても良いでしょう。
公的な保障としては、健康保険の傷病手当金があります。これは、連続して4日以上休むと最長で1年6カ月間、給与の3分の2が給付されるという制度です。健康保険に加入している会社員や公務員の制度ですので、自営業者の方は利用できません。
また、要件に該当すれば公的な障害年金を受給できる場合もあります。おひとりさまは、働けなくなった時の生活費を配偶者に頼るわけにはいきませんので、保険での対策を立てておいても良いでしょう。
老後の生活に不安があるなら、個人年金保険や民間の介護保険、認知症保険などの保険商品もあります。これらは公的な年金や介護保険でも対応できる部分が大きいので、保険商品だけでなく預貯金を増やすことも視野にいれて検討すると良いでしょう。
おひとりさまの保険の考え方
お気づきかと思われますが、保険に対しての考え方は、実は結婚しているか、おひとりさまかで大きく違うわけではありません。日常生活で起こるさまざまなリスクに対し、公的保障や預貯金で不足する部分だけを保険で備える、というのが、保険への考え方の基本です。
結婚している方は扶養家族もいるので死亡保障が多く必要ですし、自分が病気になった場合の家族への経済的な影響も大きいので、必要な保険が多くなる傾向があります。しかし、おひとりさまの場合には、基本的には自分の生活を守ることに専念すればいいのです。40代のおひとりさまなら、預貯金もある程度貯まっているでしょう。そのため、必要な保険が少ない場合もあるということなのです。
また、必要に応じて保険で補いながら、預貯金を確実に増やしていくということも必要です。40代のうちに、保険をしっかりと見直して今後の生活基盤を整えていきましょう。
執筆者:福島佳奈美
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー