更新日: 2020.04.12 葬儀
ひとり暮らしで万一の際の自分の葬儀や家財の処分などが心配。どう備える?
「亡くなった後のことは関係ない」と考えることもできますが、親や兄弟に迷惑をかけないためにも、自分の葬儀や家財の処分などの費用の準備はしておきたいものです。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
葬儀やお墓などの相場はいくら?
万一のとき、主に葬儀やお墓のための費用がかかります。これら整理資金の相場はいくらでしょうか。
葬儀やお墓に関するサイト運営を行っている鎌倉新書の、第3回お葬式に関する全国調査によると、葬儀にかかる費用の総額は約178万円です。内訳は、葬儀費用117万1000円、飲食費29万3000円、返礼品31万8000円です。
葬儀の種類として一番多いのは「一般葬」で52.8%、次いで「家族葬」(37.9%)、「直葬・火葬式」(4.9%)、「一日葬」(4.4%)と続いています。
葬儀費用は葬儀の種類によって大きく異なります。「終活ねっと」が2019年4月に行った葬儀に関するアンケート調査によると、葬儀の全国の平均費用は135万円です。一般葬の全国の平均費用は165万円、家族葬の全国の費用相場は113万円、一日葬の費用相場は57万円、直葬(火葬式)の費用相場は30万円という結果になっています。
次にお墓関連費用の平均額を見てみましょう。「2019年お墓購入者アンケート調査」(一般社団法人 全国優良石材店の会)によると、墓石購入価格は160万7000円と過去10年間で最安値となっています。東京都の墓地使用料(永代使用料)の相場は、100万〜200万円程度とされています。
整理資金等の準備の方法
このように、葬儀やお墓のための費用は結構かかります。借金があれば返済原資も必要です。
もっとも、相続人がいても相続放棄すれば借金を相続することはありませんので、この点に関しては、相続人に迷惑がかかることはありません。将来、親を扶養する予定であればこの分も準備しておく必要があります。
賃貸住居内で孤独死した場合、残置物処理費用や原状回復費用、家賃保証費用もかかります。
一般社団法人日本少額短期保険協会「第4回孤独死現状レポート」によると、平均損害額は、残置物処理費用が21万4120円(1080円~178万1595円)、原状回復費用が36万1392円(5400円~415万8000円)、家賃保証費用が32万1840円です。
いくら準備するかにもよりますが、これらの整理資金は、貯蓄で準備するのが基本です。貯蓄で賄うことができない分は、生命保険を活用しましょう。
東京都(島しょは除く)にお住まい、あるいはこれからお住まいになる高齢者等とその家族、大家さんなどは、公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターの「あんしん居住制度」を利用するという方法もあります。
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「あんしん居住制度」の概要
公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターの「あんしん居住制度」は、高齢者等の病気・事故・孤独死等の不安を解消し、安心して居住できるよう支援するものです。
(1)見守りサービス
(2)葬儀の実施
(3)残存家財の片付け
以上の3つのサービスが利用でき、要望に応じて、組み合わせて利用することもできます。賃貸住宅の居住者や持ち家の方も利用できます。
「見守りサービス」は、安否の確認や緊急時の対応サービス(室内のみのサービス)を行います。お住まいに設置する「生活リズムセンサー」「緊急通報装置」「携帯用ペンダント」により24時間安否を見守ります。契約期間は1年間で、料金は年間5万5700円(事務手数料込)です。
「葬儀の実施」は、契約者が死亡した場合に、葬儀(火葬のみ)を手配します。死亡診断書の受け取りから葬儀、指定連絡先への遺骨の引き渡しまでを行います(骨董含む)。
遺骨を引き取る方を立てられない場合や、すぐに引き取ることができない場合は、東京福祉会の「納骨堂」に5年間保管した後、「慰霊堂」に合祀してもらえます。別途、費用はかかりません。
契約期間は5年間です。料金は1名分が31万4200円で、預かり金として契約時に支払います。申込時と5年ごとに5万5000円の事務手数料がかかります。なお、読経や告別式などは費用に含まれません。
「残存家財の片付け」はご契約者が亡くなった後に、住宅内に残された家財(貴重品以外)の片付けを行うサービスです。持ち家の場合は指定連絡先の登録が必ず必要です。引っ越しには利用できません。
賃貸住宅の場合は、指定連絡先がなくても良く、管理会社に確認の上で片付けが行われます。契約期間は5年間です。料金は15万7000円で、預かり金として契約時に支払います。申込時と5年ごとに5万5000円の事務手数料がかかります。
持ち家の方は、お住まいの面積によって費用が異なります。60平方メートル未満は31万4200円、60平方メートル以上80平方メートル未満は41万9000円、80平方メートル以上100平方メートル未満は52万3700円です。100平方メートル以上は別途相談となっています。
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー