保険の見直し 無駄を省くために見ておきたいポイント
配信日: 2017.12.17 更新日: 2019.01.10
つまり、死亡や入院などが発生した場合に保険金や給付金を請求し生活費や医療費に充当していくことです。資産形成としての保険活用もありますが、今回は保障としての保険を考えた場合、無駄を省くための見直しのポイントを見ていきたいと思います。
執筆者:末次祐治(すえつぐ ゆうじ)
FP事務所 くるみ企画 代表
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP(日本FP協会)、企業年金管理士(確定拠出年金)。
大学卒業後、旅行会社、外資系生命保険会社勤務を経て、ファイナンシャル・プランナー(FP)として独立。
「老後資金の不安をゼロにする」特に中小零細企業の退職金を大企業、公務員並みの2000万円以上にするというミッションのもと、マネーセミナーや個別相談、中小企業に確定拠出年金の導入支援を行っている。金融商品は出口が大事。「一生のお付き合い」がモットー。
FP事務所 くるみ企画
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公的保険をベースに考える!
夫が会社員で3人のお子様がいる専業主婦の吉田さん(仮名)は38歳で家計の見直しをするために生命保険の見直しを検討しています。夫は一部上場企業に勤務で現在40歳。年収で約700万円。毎月手取りで約35万円の収入があります。末子が2歳なのでパートに出るのもまだ先になりそうです。吉田さんの家庭では、優先的に必要な保障はやはり死亡保障です。
自宅は、5年前にマンションを購入。団体信用生命保険(団信)に加入しているため、万が一の死亡の場合は、住宅ローンの返済はなくなります。よって、必要な死亡保障を考えた場合、毎月の生活費、お子様の教育資金などベースにいくらの保障が必要かを見積もっていくことが重要です。ただベースとなる公的年金から、遺族年金が払われるので準備済みの保険として考えた方が無駄な保険料を押さえる事ができます。
吉田さんの場合、今現在年間で遺族年金が約180万円(月に15万円)支給されます。遺族年金の他、病気になった場合の「高額療養費」や働けなくなった場合の「疾病手当金」も併せて確認しておきましょう。
職場の福利厚生制度を確認!
公的保障を確認したら、次は勤務している職場の福利厚生制度を再度確認するようにしてください。会社でグループ保険、医療保険があったりする場合は、必ず保障内容と保険料を民間の商品と比較してみてください。
通常は5歳刻みで保険料は設定されていて年1回ないし2回と加入(変更)する募集時期が決まっているので活用できる方は優先的に活用した方が保険料の面から見て有利な場合が多いです。(年1回配当金が還付されます)
また、健康保険組合がある会社にお勤めの方は、「付加給付」があるか? ある場合は1ヶ月の自己負担限度を確認してみてください。案外この付加給付の事をご存じない方も多く、1ヶ月の医療費の自己負担限度額が本人や扶養している家族全員を含めての限度額なのです。
例えば、付加給付が25,000円ならばそれ以上の医療費はかからないということです。ただし、食事代、差額ベッド代など健康保険制度の適用外費用は別途かかりますので注意が必要です。
今回の吉田さんも付加給付の事はご存知ではなく「1ヶ月25,000円以上の医療費はかからないのですね。」と驚かれていました。職場の福利厚生制度を確認することで必要な保障を民間の保険会社で買う(契約する)ことが無駄な保険料をおさえる一つにつながります。
会社の保険は将来どうなるか? 出口の確認を!
会社にグループ保険や医療保険があって活用する場合は、退職したりする場合に引き続き継続できるか? など確認をしておくようにしましょう。
会社在籍中の場合は問題ありませんが、退職後は、新たに別な保険に加入し直したりと別で考えなければいけないからです。
一方、退職した場合でも加入していたグループ保険を個人契約に変更できる場合もあります。保険料は再度変更する時の年齢で再計算されますが、健康状態に関係なく今まで加入していた保険を引き継ぎできる制度です。コンバージョン制度といわれます。
個人契約に変えることが出来れば、自分の口座かクレジットカードで保険料を支払って保障は継続されます。しかも終身の保障にすることも可能です。
(引受保険会社によっては出来ない場合もあります)
保険の見直しをする場合は、「公的制度と職場の福利厚生制度の確認」をすることで、無駄な保険料を省くことにつながるかもしれません。
Text/末次祐治 (すえつぐ・ゆうじ)
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