「マイナス金利の影響」生命保険で資産形成は向いていないのか?検証してみた
配信日: 2017.12.30 更新日: 2019.01.10
執筆者:末次祐治(すえつぐ ゆうじ)
FP事務所 くるみ企画 代表
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP(日本FP協会)、企業年金管理士(確定拠出年金)。
大学卒業後、旅行会社、外資系生命保険会社勤務を経て、ファイナンシャル・プランナー(FP)として独立。
「老後資金の不安をゼロにする」特に中小零細企業の退職金を大企業、公務員並みの2000万円以上にするというミッションのもと、マネーセミナーや個別相談、中小企業に確定拠出年金の導入支援を行っている。金融商品は出口が大事。「一生のお付き合い」がモットー。
FP事務所 くるみ企画
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資産形成の目的を明確化する!
夫が公務員で妻の高島さん(仮名)は35歳で夫の生命保険の見直しを検討しています。死亡保障は職場の共済にも加入しており今回は将来の老後資金にも使えるという理由で積立型の保険の加入を検討中です。
金融商品の一つとして、保険商品で資産形成(積立)をする場合は、やはり目的が大事になってきます。 掛け捨てはもったいないから! と安易な理由なら少し考えた方がいいかもしれません。
マイナス金利が導入されてからは、予定利率の低下もあって以前に比べたら払う保険料に対しての貯まる金額が少なくはなっています。しかし、低解約返戻金型終身保険や積立利率変動型終身保険など払込期間まで保険料を払い込めば、払った保険料以上に積立金(解約返戻金)が増えるのは魅力です。
早期に解約しないで、老後資金や介護資金などの目的で中長期な資産形成には向いている資産形成方法の一つではあります。契約時に将来の積立金額が決まっている商品なら安心して継続できるのもメリットといえるでしょう。
保険の本質は保障です
保険商品は、経済的利益の補てんが最大の目的となります。よって、現在のような低金利だと保険で資産形成をしてもあまりメリットないという見方もできます。
ただ、前述したように金融商品の一つとして中長期に考えていく場合、保険の本質は『保障』効果ですから、資産形成しながら保障機能も付いているという見方もできます。
ですから、資産形成で保険を保有した場合は、得られる保障額は長期で見れば実質無料で保障が得られる効果も期待できるというわけです(払った保険料以上に積立金が増え、その期間の保険料は掛け捨ててない)。
保障以外でのメリットとは?
保障以外のメリットとしては、
(1)生命保険料控除が使える
(2)緊急資金が必要な時に契約者貸付ができる
(3)運用中は非課税
(4)保険という安心感があるので継続的に資産形成ができる
(5)保険料以外の別な手数料を払う必要はない
などあげられます。
今まで投資経験がほとんどない髙島さんは、老後の資金ということで契約時に将来いくらになるか? あらかじめ決まっているという安心感を優先したいと思っています。また、リスク許容度に応じて投資信託なども今後の検討課題と言えます。
保険で資産形成が向かない理由は?
保障と資産形成は別で考えるという人も最近は増えてきましたが、その理由としては、やはり予定利率の低下があげられます。以前に比べ貯蓄効果が低減したわけです。貯蓄効果とは直接関係はありませんが、継続してある意味強制的に資産形成を行う手段として考えた場合、保険はやはり他の金融商品に比べたらより身近で使い勝手がいい商品かと思います。しかし以下の点には注意が必要です。
(1)早期解約(解約控除が掛かる場合もあり、元本割れする場合がいい多い)
(2)保険会社の破たんのリスク
(3)インフレリスク
特に(3)のインフレリスクは、商品が固定利率の場合は影響を受ける可能性があります。よって、他の金融商品も同時に検討していくことも重要になってきます。
※この記事は一般的な情報提供であり、詳細は保険会社の商品や年齢などよって異なります。保険会社または保険代理店などでご確認ください。また商品の推奨・勧誘を目的としたものではありません。
Text/末次祐治 (すえつぐ・ゆうじ)
FP事務所 くるみ企画 代表
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