更新日: 2019.01.11 インタビュー

人生100年時代のビジョンマップ:心もお財布も幸せに生きよう!!

障害年金のスペシャリスト 社労士松山様に聞く(2/4) 第2回:障害年金がもらえることをあきらめちゃいけない

Interview Guest : 松山純子

障害年金のスペシャリスト 社労士松山様に聞く(2/4) 第2回:障害年金がもらえることをあきらめちゃいけない
人生100年時代と言われるようになりましたが、果たして私たちはビジョンを持って「人生100年」を受け止めているでしょうか?
 
この対談企画では、様々な分野の方にお話しをお聞きし人生100年のビジョンを読者のみなさんと作り上げていきたいと考えています。
 
今回は、YORISOU社会保険労務士法人代表の松山純子様に人生100年時代の苦難をともに乗り越える「障害年金」についてお話を伺いました。
 
2回目の今回は、障害年金を受給することにより、生きる希望を見出す方もいらっしゃる、そんなお話をしていただきました。
 

Interview Guest

松山純子

松山純子((まつやま・じゅんこ))

YORISOU社会保険労務士法人代表社員 松山純子
 
卒業後14年間、身体障害者・知的障害者・精神障害者の方々すべてを受け入れる日本で初めての福祉施設に勤務。
 
そこで、3つの施設プラス法人本部の給与計算・採用・就業規則の作成をかけもちで行い、同時にケースワーカーも行う。
 
平成18年6月に「松山純子社会保険労務士事務所」を開業して、今度は障害年金手続きで皆様のお役に立てるよう毎日奔走中!
http://shogai.net/

山中伸枝

interviewer:山中伸枝(やまなか のぶえ)

ファイナンシャルプランナー(CFP)

株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役 
1993年米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。メーカーに勤務し、人事、経理、海外業務を担当。留学経験や海外業務・人事業務などを通じ、これからはひとりひとりが、自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、お金のアドバイザーであるファイナンシャルプランナーとして、講演・相談・執筆を中心に活動。

新美勝

Photo:新美勝(にいみ まさる)

フリーランス・フォトグラファー

 

 

がんが転移したら障害年金

山中 日常生活の困難さで障害年金は判断されるとのことですが、例えば抗がん剤治療とかで体力が落ちてしまって、日常生活やお仕事に支障がでてきたら障害年金の対象になる可能性があるということですね。
 
松山 そうなんです。でも障害者手帳は対象になりません。ただ、麻痺の有無や可動域の検査によって、障害者手帳の対象になることはあります。たとえば、階段がのぼれるかなど。がんの場合、障害年金の認定基準が大きく分けて三つあります。
 
一つ目は「局所的ながん」例えば咽頭がんで声が出なくなる。または左手の骨の所に腫瘍ができ切断しなければいけなくなるなど・・・。
 
その状態が1級か2級か3級かで判断します。この場合、状態が障害等級のいずれかにあたると就労とは関係がなく年金が支給されます。
 
二つ目は「全身的なもの。」例えば乳がんになり、転移が認められたような場合です。
 
全身的な“だるさ”があり、横になることが多く、就労にも影響が出てしまったり、掃除や洗濯など家事はちょっとはできるけれども、横になっていることが多いなど全身的な症状があるもの。
 
そして三つ目は、「抗がん剤の副作用」で、以前のようにまで回復できていないとき、障害年金に該当する可能性があります。あまり知られていませんので、対象になる方々が手続きをしていないことが多いように思います。
 
手帳は1つ目の局所が対象となっていまして、全身的なものと抗がん剤の副作用は手帳は対象外なんですよね・・・。
 
山中 金銭的なお話でいうと、例えば障害基礎年金の1級は年間約100万円ですよね。2級でおよそ80万円前後。初診日が厚生年金の被保険者のときであれば、そこに厚生年金が上乗せですよね。
 
その障害厚生年金の1級は老齢厚生年金額のほぼ125パーセントとか。おおよその金額はねんきん定期便を見れば分かるわけですよね。
 
なので、仮に基礎年金だけだったとしても1級だと年間約100万円になりますよね。100万円・・・月7、8万円でも定期的にずっと生活が支えられるとなるとだいぶ気持ちが違いますよね。
 

障害年金請求のタイミングは?

松山 障害年金の手続きをしているお客さまから時々メールを頂きます。少しご紹介させてください(表現を変えています)。がんに罹患し障害年金のご相談に来られて旦那さんが笑顔になったというご家族からのメールです。
 
『生きることに対して再び希望と目標を持つようになりました。』
 
障害年金の請求の可能性があると知り、手続きが完了したことを伝えたら、もう少し長く生きてみたら楽しいことがあるかもしれないと希望の光を見つけたのだと思います。
 
買い物も、以前は生活費を切り詰めて確実に食べられそうな最小限の食材しか買っていなかったのですが、今はプリンやゼリーを買ってみようとかどんなプリンがあるのだろうかとか、購入する楽しみを再び取り戻しました。
 
一口程度しか食べられないんですけどね。』と。障害年金の意味ってこういうことなのかもしれませんね。
 
山中 すごい、やっぱり金銭的な支えって大きいなと思っていて。月に8万円、9万円の年金があるっていうだけで、人って心の豊かさが違いますよね。この方はご病気ですか。
 
松山 がん全身的に転移している方です。
 
山中 がんという病気は誰の身にも起こりうるし、予測もつかないし、なんかすごくお気持ちは・・・分からないけど想像はできるかなと思って。
 
わたしたちが年金保険料を納めてることっていうのは、間接的に病気の方々を支えているのですね。
 
本当にちゃんと障害年金をお届けしたいですね。でも障害年金っていつ手続きをしたらいいんでしょうか?
 
松山 初診日から1年6か月という条件があるのですが、たとえば交通事故で足を切断した等の身体的な障害の場合は、1年6か月を待たなくて手続きができます。
 
原則は1年6か月になりますが、症状が回復したり、再び悪化したりを繰り返し、だいたい1年6か月ぐらい経過したころ症状をみるようです。
 
山中 状態が落ち着くのを確認するのに1年6か月の経過が必要なんですね。
 
松山 ただ、これは1年6か月継続して具合いが悪いという意味ではなくて、初診日から1年6か月時点です。
 
たとえば、「胃が痛くて内科に行きました。そしたら先生が、胃酸の出すぎじゃないの?と言って胃酸を抑える薬をくれました。でも全然よくならなくて数カ月ぐらいたちました。
 
だるいけどなんとか会社には行っていました。しかし症状が改善されないので、不安になり別の病院で検査をしてもらったところ、胃がんだと分かりました」ということがあります。
 
胃の切除手術をしたけれど、他に転移が見つかり、だるさなどの身体的症状がつよくなり日常生活ができづらくなったなどの場合、一番初めの胃酸の出すぎと誤診があった日が初診日となりまして、その日から1年6か月です。
 
山中 苦しい時間を1年6か月辛抱しなくちゃってわけではないんですね。
 
松山 ただ病気によっては、1年6か月を待つ前に障害状態となることも多いのですが、それでも原則1年6か月待たなければいけないのですよね。たとえば鬱の場合は、鬱が悪化して退職した日からではなくて。
 
最初、不眠が出現して眠剤を飲んだとか。そこから1年6か月経過した場合、そのときの状態によって障害年金の可能性があります。
 
山中 なるほど。そうすると、今、病気で大変な方に光が見えてくるかもしれませんね。障害年金の請求は、年金事務所に行けば誰でもできるものなんですか。
 
松山 病気やけがによっていろいろですね。身体の場合は、たぶんご自身でもできると思います。初診日の判断が難しい場合もありますが、たとえば事故や脳出血によるものであれば、その日が初診日となりますので、初診日の判断もできます。
 

不支給でもあきらめないで!

松山 本人が請求を行って難しいのはがん・難病・精神疾患かなぁと思います。検査数値では、だるさ、痛みなどが分からないんですよね。例えば検査数値で判断できる視力や視野、四肢の可動域などは検査数値ですよね。
 
検査では状態が測れないのが、たとえば、がん・難病・精神疾患。どれだけ先生に自分の症状を伝えているかや、主治医の先生がどれだけキャッチしてくれてるかなど。ここは大変なんですよね。
 
たとえば、がんに罹患し全身転移があり、抗がん剤治療をしている方でも、障害年金が不支給になるときがあります。
 
山中 なんでですか!
 
松山 診断書と実際の症状が違うことがあるからです。相談のとき、診断書を持ってきてもらいますが、わたしに渡すときにちょっと躊躇されます。
 
躊躇したっていうことは、自分はこんなに具合が悪いけど診断書がこんなに軽いから、たぶん社労士から軽いって思われたらどうしようって思ったのかなと・・・。
 
山中 ここでも道が開けないんじゃないかってことですよね。
 
松山 なんか一瞬そんな気がします。顔の表情から。
 
現在の症状や日常生活を教えてもらう、その方の病状より軽く書かれてあるなぁという印象を受ける診断書のときがあります。そのときは、審査請求をします。
 
山中 ということは、1回不支給になっても可能性はあるっていうことですよね。
 
松山 可能性はあります。このときは、診断書の内容のみでは審査請求で認められることは少ないなぁと思って。
 
山中 もうあとは出せないんですか。他の先生に行くとかは?
 
松山 もう1度やり直すっていうことはできるんですけど、一番初めに出したところまでさかのぼってあげたいなっていうのがあり、審査請求を行います。
 
今までの抗がん剤の治療歴を病院に証明してもらうなどして・・・
 
抗がん剤副作用がつよかったことや会社の上司に当時の状況を書面で書いてもらい、審査請求で認められたこともあります。
 
山中 諦めちゃいけないっていうことですね。請求って何年前までさかのぼれるんですか。
 
松山 過去最大5年ですね。過去分については一時金で支給されます。たとえば、国民年金の2級ですと約400万円ぐらいでしょうか。
 
山中 障害基礎年金は年間約80万の5年分だから約400万。大きいですよね。
 
interviewer:山中伸枝(やまなか のぶえ)
ファイナンシャルプランナー(CFP)
株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役 
 
Photo:新美 勝(にいみ まさる)
フリーランス・フォトグラファー

人生100年時代のビジョンマップ:心もお財布も幸せに生きよう!!

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