最終更新日: 2019.08.20 公開日: 2018.11.21
暮らし

「離れて暮らす家族を扶養できますか?また、扶養家族にするメリットはありますか?」

執筆者 : 川上壮太

平成12年と平成27年の国勢調査の結果を比較すると、この15年の間に、一人世帯が1290万世帯から1840万世帯まで、550万世帯も増えたことが分かります。
 
この間に、65歳以上の高齢一人世帯は、300万世帯から590万世帯へ、290万世帯増加しています。
 
税制・社会保障制度は世帯別、あるいは扶養家族という考え方で、納税額や社会保険料の額が決められることが多く、一般に、一人世帯の負担は重くなる傾向にあります。
 
社会全体として、年々、税金・社会保険料の負担が重くなる傾向の中、一人世帯の人が負担を軽くする方法はないのでしょうか。
 
川上壮太

執筆者:

執筆者:川上壮太(かわかみ そうた)

CFP認定者、DCプランナー

京都大学工学部修士卒。精密機械メーカー勤務の後、FP事務所サニーサイド・ファイナンシャルプラニングを開設。日本FP協会電話相談員等を経験するとともに、多数のFP相談に対応してきた。生命保険募集人・証券外務員の資格を取得し、金融関係業務の実情にも詳しい。現在は神奈川県を中心に、主に子育て世代のライフプラン作りの相談に応じている。
http://www.sunnysidefp.jp/

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川上壮太

執筆者:

執筆者:川上壮太(かわかみ そうた)

CFP認定者、DCプランナー

京都大学工学部修士卒。精密機械メーカー勤務の後、FP事務所サニーサイド・ファイナンシャルプラニングを開設。日本FP協会電話相談員等を経験するとともに、多数のFP相談に対応してきた。生命保険募集人・証券外務員の資格を取得し、金融関係業務の実情にも詳しい。現在は神奈川県を中心に、主に子育て世代のライフプラン作りの相談に応じている。
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税・社会保険における扶養・被扶養の条件とは?

二人以上の世帯で、一人当たりの税・社会保障費用が少なくなる場合が多いのは、扶養される人は扶養する人の税・社会保険料負担のおかげで、自分は負担を免除されることが多いためです。
 
では、一人世帯でも、別居の親などと、扶養・被扶養の関係を築くことはできないでしょうか。
 
【1】税法上の扶養の条件
 
別居の親を扶養するためには、常に生活費、療養費等の送金が行われているなど「生計を一」にしていることが必要となります。
 
上記のように、生活費の送金などが認められれば、別居の親を扶養していることが認められ、扶養している人が48万円の扶養控除を受けることができます(同居の親であれば、58万円の扶養控除が受けられます)。
 
国税庁のタックスアンサーには、「源泉徴収義務者(会社)に対し、社員による生活費の送金等を証明する書類を提出することまで要求しないが、社員が銀行振込等により送金している事実を振込票などで確認することが好ましい」と書かれています。
 
つまり、税務上、扶養・被扶養の関係を築くためには、特に何か特別な許認可は必要なく、確認を受けた際に実態を証明する記録があれば良いと考えて良いでしょう。
 
【2】社会保障制度上の条件
 
社会保障制度では、扶養される人の条件は、社会保険料を払う人(被保険者)に生計を維持して貰っていること、および、次の条件に該当することが必要です。
 

(1)扶養される人の収入要件

年間収入130万円未満(60歳以上は180万円未満)で
•同居の場合 収入が扶養者(被保険者)の収入の半分より少ないこと
•別居の場合 収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額より少ないこと
 

(2)同一世帯の条件

配偶者、直系尊属、子、孫、兄弟姉妹“以外”の3親等内の親族の場合、被保険者と同一世帯でなければなりません。
 
上に記載した【2】の条件を逆にみると、親子、孫、兄弟などの関係であれば、同一世帯でなくても社会保険制度上の扶養・被扶養の関係になれるということです。
 
つまり、親子、孫、兄弟などの関係で、【1】の別居の場合の収入要件を満たしていれば、離れて暮らしていても、扶養・被扶養の関係になることができるのです。
 

別居でも扶養・被扶養の関係であることが認められた場合のメリット

具体的に一つの例について検討してみましょう。
 
YさんはAさんの娘で、一人で暮らし、働いています。
 
Aさん(73歳)は夫に先立たれ、娘のYさんと離れた土地で暮らしています。
 
Aさん夫婦は長年自営業で働いていたため、Aさんの年金額は少なく、70万円しか受給していません。
 
生活に不足する分は、貯蓄を取り崩していますが、貯蓄の残りも少なくなってきました。
 
娘のYさん(42歳)の収入は、360万円です。
 
将来の自分のための貯蓄も考えると、多くを仕送りできる余力はありませんが、何とかAさんの年金額を超える、80万円を送ってあげることにしました。
 
◇母親を扶養することでYさんの税金は削減
 
老人扶養親族で同居老親等以外の者を扶養する場合、所得税の控除額は48万円となります。
 
このため、別居で母親を扶養するYさんの所得税(税率5%)は年2万4千円減ります。
 
住民税は、38万円の老人扶養控除が適用され、税率10%で、3万8千円が減ることになります。
 
合計で6万2千円の税金が減ることになります。
 
◇扶養される母親は、健康保険料の支払いが不要に
 
健康保険では、扶養家族の人数に関係なく、働く人の給与額(標準報酬月額)に応じて、保険料が決まります。
 
このため、Yさんが母Aさんを扶養家族にできれば、母Aさんの健康保険料の支払いが不要になります。
 
一方で、Yさんの健康保険料が上がることはありません。
 
ただし、母Aさんが75歳以上の後期高齢者になると、健康保険の扶養家族となることはできなくなります。
 
健康保険に関しては、親を扶養の扱いにできるのは74歳までですので、長期間、扶養のメリットを享受することは、残念ながら、できません。
 

まとめ

(1)一人世帯は税制・社会保険の両方で負担が重くなる傾向にあること、(2)一人世帯の親族間でも、扶養家族の関係が成立すれば、税制・社会保険制度上で費用削減ができること、について検討しました。
 
ご自分にも当てはまる点がないか、検討するための参考にしていただければ幸いです。
 
Text:川上 壮太(かわかみ そうた)
CFP認定者、DCプランナー
 

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