最終更新日:2019.06.12 公開日:2019.02.11
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ついに明らかに!「高等教育無償化」の全体像

12月末に公表された文部科学省の資料により「高等教育無償化」の全体像が明らかになりましたのでポイントをお伝えします。
 

「高等教育無償化」制度の概要

住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生に対して(1)授業料及び入学金の減免と(2)給付型の奨学金の支給を行います。
 
対象となる学校は、大学・短期大学・高等専門学校・専門学校です。実施時期(予定)は2020年4月からです。既に入学している学生も対象となります。財源は消費税率引き上げによる財源を活用します。
 

授業料等減免・給付型奨学金の概要

国公立については、入学金・授業料ともに、省令で規定されている国立の学校種ごとの標準額を減免します。私立について、入学金は私立の入学金の平均額までを減免し、授業料は国立大学の標準額に各学校種の私立学校の平均授業料を踏まえた額と国立大学の標準額との差額の2分の1を加算した額までを減免します。
 
例えば、住民税非課税世帯の場合、国公立大学は入学金約28万円及び授業料約54万円までの減免、私立大学は入学金約26万円及び授業料約70万円までの減免が実施されます。
 

 
さらに、入学金及び授業料減免に加え、学生が学業に専念できるようにするため、学生生活を送るのに必要な生活費を賄えるように、日本学生支援機構から各学生に給付型奨学金が支給されます。
 
例えば、住民税非課税世帯の場合、私立大学自宅生に対してしては年額約46万円、自宅外生に対しては約91万円が支給されます。
 

 
住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生に対しては、住民税非課税世帯の学生の3分の2又は3分の1の支援が行われます。両親・本人・中学生の家族4人世帯の場合、年収(目安)約270万円~約300万円は3分の2、約300万円~約380万円は3分の1になります。
 
現在の給付型奨学金は、住民税非課税世帯に準ずる世帯は対象となっていません。また、給付額も最高48万円(私立・自宅外生)です。したがって、新しい給付型奨学金は大幅に拡充されます。
 

学業・人物の主な要件

支援の目的は、支援を受けた学生が大学等でしっかり学んだ上で、社会で自立し、活躍できるようにすることです。進学前の明確な進路意識と強い学びの意欲や進学後の十分な学習状況をしっかりと見極めた上で学生に支援が行われます。
 
ただ、高等学校在学時の成績だけで否定的な判断をせず、高校等が、レポートの提出や面談等により本人の学習意欲や進学目的等を確認し推薦します。大学等への進学後は、その学習状況について厳しい要件を課し、これに満たない場合は支援を打ち切られることになります。
 
税金を投入して低所得世帯の子どもを支援する以上、厳しい要件が課されるのは仕方ありません。大学等の授業についていけるように基礎学力を身に付けて、進学後は学業の専念するようにしましょう。
 

大学等の主な要件

大学等にも厳しい要件が課されます。支援を受けた学生が大学等でしっかりと学んだ上で、社会で自立し、活躍できるようになるという今回の支援措置の目的を踏まえ、対象を学問追求と実践的教育のバランスが取れている大学等とするため、大学等に一定の要件を求めています。
 
具体的には次の4つの要件を満たす大学等でなければなりません。
 
1.実務経験のある教員による授業科目が標準単位数(4年制大学の場合、124単位)の1割以上、配置されていること
2.法人の「理事」に産業界等の外部人材を複数任命していること
3.授業計画(シラバス)の作成、GPAなどの成績評価の客観的指標の設定、卒業の認定に関する方針の策定などにより、厳格かつ適正な成績管理を実施・公表していること
4.法令に則り、貸借対照表、損益計算書その他の財務諸表等の情報や、定員充足状況や進学、就職の状況など教育活動に係る情報を開示していること
 
授業料等減免の財源について、国公立大学等は設置者が全額負担します。私立大学・短大・高専は国が全額負担します。私立専門学校は国と都道府県が2分の1ずつ負担します。
 
教育の質が確保されておらず、大幅な定員割れとなり、経営に問題がある大学等を、高等教育無償化の対象とするのは、経営等に問題のある大学等を実質的に救済することになります。そこで、次の3つのいずれにもあたる場合は対象から除外されます。
 
1.法人の貸借対照表の「運用資産−外部負債」が直近の決算でマイナス
2.法人の事業活動収支計算書の「経常収支差額」が直近3カ年の決算で連続マイナス
3.直近3カ年において連続して、在籍する学生数が各校の収容定員の8割を割っている場合
 
なお、専門学校に適用する際の指標は、大学の指標を参考にしつつ設定します。
 

今後のスケジュール

2019年の通常国会に、授業料減免制度の創設、給付型奨学金の拡充などを内容とする法律案が提出されています。2020年4月からの支援措置実施に向け、法案成立後、2019年度に、生徒が高校を通じて日本学生支援機構に給付型奨学金を申込み、2020年度には、大学等での手続きができるように様々な準備行為が行われます。
 
法案成立を前提として、具体的には、2020年度進学予定者を対象とした新たな給付型奨学金に係る予約採用の申込期間は、2019年夏ごろを予定しており、奨学金案内等の申込書類の各学校への送付は6月初旬となる見込みです。
 
申込みにあたっては、本人及び家計支持者のマイナンバー提出が前提となります。なお、貸与型奨学金についても同時期の募集を予定しています。
 
現在の給付型奨学金と異なり、新たな給付型奨学金は、学校ごとの推薦枠は設けず、また、各学校における推薦基準の策定についても不要とする予定ですが、進学前の明確な進路意識と強い学びの意欲が確認されることが必要となります。
 
2019年度に大学等へ進学する者についても、進学後に申し込む機会を確保することを予定しています。また、既に大学等に在学している者についても同様に申込みの機会を設ける予定です(ともに支援の開始は2020年度です)。
 
支援措置の対象となる学校に一定の要件が求められており、学校の申請に基づく国又は地方公共団体による確認の結果、全ての学校が対象となるとは限りませんので留意してください。支援の対象校は2019年夏ごろ国又は地方公共団体において公表される予定です。
 
いかがでしたでしょうか。低所得者世帯の子どもであっても、経済的な理由で進学を諦めないように国が支援することは望ましいことです。支援を受けた者は、社会で自立し、活躍できる人材になるように学業に励んでください。
 
出典:文部科学省「高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針の概要」(平成30年12月28日)
 
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー
 

新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

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