日本では、7人に1人の子どもが貧困状態? 江戸川区の取り組み「子ども食堂」って一体どんなところ
配信日: 2019.11.06
このような状況を防ぐには、社会全体で子どもを支援する環境が必要です。ここでは子どもの貧困とその取り組みの一例として、江戸川区の子ども食堂を3回にわたって取り上げたいと思います。
執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
日本の子どもの貧困問題
日本では、7人に1人の子どもが貧困状態といわれています。貧困状態とは「貧困線を下回る所得しか得ていない状態」のことで、経済協力開発機構(OECD)の基準によって算出します。
貧困線とは、等価可処分所得の中央値の半分の額をいいます。等価可処分所得とは、可処分所得を世帯人数で調整した数値です。一般的に1人あたりの年収が同じでも、世帯人員が少ないほど生活コストが割高になります。
年収800万円の4人家族と年収200万円の単身者では、どちらも1人あたり200万円ですが、生活コストは単身者のほうが割高です。そのため、可処分所得を世帯人員で調整して貧困線を算出します。
2015年の貧困線は122万円で、等価可処分所得が貧困線に満たない17歳以下の割合(子どもの貧困率)は13.9%でした。7人に1人の子どもが貧困状態と言われるのは、この貧困率から導き出された数字です。
日本は先進国の中でも貧困率が高く、政府は、子どもの貧困問題に子どもの将来が閉ざされることのないよう環境を整備するため、2013年に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」を制定しました。
この法律には、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現するため、教育支援、生活支援、保護者の就労支援などが掲げられています。では、子どもの貧困問題に対して、全国的にどのような取り組みがあるでしょうか?
子どもの居場所づくり
全国の各自治体やNPO法人などによって、家でも学校でもない子どもの居場所が全国で設置されています。子どもの居場所では学習支援、生活支援、食事の提供などが行われています。
例えば、神奈川県の「プレイパーク 遊Being・あしがら」は、子どもたちが主体性を持って遊んで育つ場所です。豊かな自然の中で子ども同士が思いっきり遊ぶことで、生きる力を育てます。
子どもの居場所は全国にあります。ご自宅の近くにもあるかもしれません。調べてみてはいかがでしょうか?
学習支援
家庭の経済格差が子どもの学力格差につながることが多々あります。教育の機会に恵まれなければ、低学力、低学歴となり、低収入の職にしかつけないといった貧困の連鎖が続きます。
貧困の連鎖を断ち切るためには、教育が必須です。全国には、ボランティアなどによる無料の学習塾があります。対象は小学生から高校生までとさまざまですから、一度、お住まいの自治体のホームページ等で確認してみましょう。
子ども食堂
子ども食堂は、無料または安価で食事を提供してくれる、みんなで食卓を囲む場所です。2018年全国の子ども食堂は2200ヶ所を超えたと報じられました。2016年は約300ヶ所だったので急拡大しています。
貧困家庭にはシングル家庭が多く、シングル家庭ではダブルワーク、トリプルワークと仕事を掛け持ち、親子で食事をする時間が少ないことがあります。そんな時は、子ども食堂に行ってご飯を食べてはいかがでしょうか?
このような紹介の仕方をすると、子ども食堂は貧困家庭の子どもしか利用できないと思われるかもしれませんが、実は誰でも利用可能です。大人だけでも利用可能な子ども食堂もあります。子ども食堂は家庭的なご飯をみんなで囲む地域交流の場なのです。
今回、筆者は東京都江戸川区の『えどがわっ子食堂ネットワーク』の代表である、藤居阿紀子さんと江戸川区社会福祉協議会の小沼光歩さんに江戸川区の子ども食堂の取り組みについて取材をしてきました。次回からは、江戸川区の子ども食堂の現状や運営の現状、運営者が考える子ども食堂ついてお伝えしたいと思います。
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2019年FP協会広報スタッフ