更新日: 2019.11.22 その他暮らし

家賃を抑えて都心で暮らしたい…あえての風呂なし物件で銭湯ライフを楽しむ若者たち

執筆者 : 藤木俊明

家賃を抑えて都心で暮らしたい…あえての風呂なし物件で銭湯ライフを楽しむ若者たち
東京に住むと、毎日1時間あるいはそれ以上の時間をかけて、満員電車で仕事場に通うことになります。リモートワークなどが普及してきましたが、やっぱり定期的に職場に通うのが基本でしょう。
 
仕事で疲れて帰ったら、もう何もやる気がおきないですよね。せめて大きなお風呂でゆっくり癒やされたい。でもアパートやマンションのお風呂では手足を伸ばせないですよね。
 
藤木俊明

執筆者:藤木俊明(ふじき としあき)

副業評論家

明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。

風呂なし物件専門サイトには近くの銭湯情報が

なるべく家賃を抑えて都心で暮らしたい。職場から自転車で帰りたい。そして空いた時間で都会生活を満喫したい。そして大きな湯舟につかりたい。そうすると「あえて家のお風呂をあきらめて銭湯ライフを選ぶ」というアイデアが浮かびます。
 
ここに「東京銭湯ふ動産」という物件サイトがあります。ここは、東京23区の風呂なし物件を専門に取り扱っているところなのです。サイトには3~5万円ぐらいの風呂なし物件がずらっと紹介されています。木造だけでなくビル型の風呂なし物件なんてのも。
 
そして特筆すべきは、「銭湯から徒歩5分以内」と、“その物件に住んだら近くに銭湯がありますよ”という説明がついているのです。あまりに面白いので、東京銭湯ふ動産を運営する鹿島さんにお話を聞きました。
 
鹿島さんによると「風呂なし物件の紹介と言うより、銭湯が好きで、銭湯が生活にある暮らしをしたい人のためのサイト」であり、鹿島さんご自身も銭湯が大好きとのことです。
 
銭湯は絶滅危惧種と同じで、何とか廃れないようにしたい、そのためには「風呂なし物件」にもっと住んでもらえれば、地域の銭湯を活用してもらえるのではないかという思いでこのサイトを運営しているとのことです。
 

銭湯で地域のネットワークが広がる

お風呂をあきらめることによって、家賃が安くなるとともに、都心近くで生活することができると鹿島さんは話します。
 
たとえば、関西からお芝居をやりたくて上京した女性が、最初文京区などで物件を探したものの、高くて住めない。彼女の夢を聞いた鹿島さんは、高円寺の月4万2000円の渋いビルにある風呂なし物件を紹介したそうです。
 
そして、入居のタイミングで近隣にあった銭湯、小杉湯でのバイト募集を発見し、彼女は小杉湯の番台に座ることになり、地域のいろんな人と顔見知りになって、銭湯を使ってパフォーマンスのイベントも企画したいと考えているそうです。バイトの日は、お風呂代はもちろんタダです。
 
「銭湯の場って地域の人とのつながりもできるんですよね」(鹿島さん)
 
また、埼玉に住んでいた人が広尾の月2万9000円の風呂なし物件を借り、2拠点生活をはじめたそうです。その人はそもそも家の風呂にはあまり入らなかったようで、広尾にある銭湯がお気に入りになりました。その方はしばらく2拠点生活を続けたものの、結局広尾があまりにも便利で移り住んでしまったとのことです。
 
「家のお風呂って掃除しなくちゃいけないし、狭いし、銭湯の方が好きだって言う人は多いんです」(鹿島さん)近ごろサウナブームです。サウナ設備のある銭湯もありがたいですね。たとえば会社の同僚と銭湯に行ってコミュニケーションを図る、サウナでととのえるという若い人も少なくないんだそうです。
 

お洒落地域にも風呂なし物件がたくさん!

東京23区の都心に近い人気の地域、広尾や中目黒にも風呂なし物件があり、その近くに銭湯があるそうです。
 
「風呂をあきらめることによってアーバンな暮らし方ができます」(鹿島さん)そのせいか、東京銭湯ふ動産への問い合わせは若い世代からが多く、その比率は男女半々とのことです。興味を持つ女性も多いんですね。少し広めの風呂なし物件に女性二人で暮らすという例もあるのだそう。
 
また、極力持ち物を持たずにシェアで暮らしたいミニマリストたちにも銭湯は人気で「お風呂をシェアするなんて素敵」と言われるそうです。銭湯は究極のシェアリングエコノミーかもしれません。
 
そんな風呂なし物件にはどんなものがあるのでしょうか?
 

味のある風呂なし物件の例いろいろ

そこで、東京銭湯ふ動産のサイトでいくつか探してみました。(2019年11月15日時点の情報)

(1)北区/JR尾久駅徒歩5分の物件。バルコニーあり。上野まで一駅。東京駅も15分圏内。

■家賃 3万3000円/月 管理費・共益費0円 面積20.39 平方メートル / 1K
■近くの銭湯は梅の湯、千代の湯。梅の湯は露天風呂があるそうです。

(2)大田区/京急梅屋敷駅徒歩4分の物件。京急蒲田駅も徒歩圏内。

■家賃2万9000円/月 管理費(水道代込み)3000円 面積10 平方メートル / 1R
■トイレなどは共同のようです。でも建物のレトロさが最高です。

(3)台東区/JR・東京メトロ・TX南千住駅徒歩16分の物件。東京メトロ・東武浅草駅も徒歩圏内。

■家賃8万5000円/月 管理費8000円 面積50 平方メートル / 2DK+作業場
■戸建ての風呂なし物件という珍しいタイプのようです。土間がついているのが特徴で、アトリエなどに活用できそうですね。ただし今すぐ住める状態ではないのでDIYは必須のようです。
 
あえて風呂なし物件に住み、アーバンライフと銭湯を満喫するのもいいかもしれません。
 
※取材協力 東京銭湯ふ動産
 
執筆者:藤木俊明
副業評論家


 

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