10万円給付をきっかけに金銭教育。子どもとお金について話し合ってみよう

配信日: 2020.05.17

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10万円給付をきっかけに金銭教育。子どもとお金について話し合ってみよう
2020年4月20日に、新型コロナウイルス感染拡大への緊急経済対策として「すべての国民を対象に1人当たり10万円を給付する」ことが閣議決定されました。
 
住民基本台帳上の世帯主が世帯全員分をまとめて請求する形式になるようですが、子どもも対象のひとりとして1人当たり10万円が給付されます。
 
よほど裕福な家庭でない限り、子どもが10万円を手にすることはありません。これを機会に、子どもの金銭教育について考えてみましょう。
 
西村和敏

執筆者:西村和敏(にしむらかずとし)

ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
宅地建物取引士

くらしとお金のFP相談センター代表 
https://fplifewv.com/
国家公務員や東京でのFP関連業の実務経験を積み2005年に出身地の宮城県仙台市で起業。

2010年から現在まで東北放送ラジオにてお金やライフプランについてのレギュラーコーナー出演中。

全国経済誌「週刊ダイヤモンド」の保険特集に毎年協力。独立起業後に住宅ローンを借りて、土地を購入しマイホームを建てた経験から、相談者にリアルなマイホーム購入・住宅ローンについてのアドバイスも行える。本当に安心して購入できるマイホーム予算についてアドバイス多数。

東日本大震災以前から防災・減災の観点からのマイホーム購入アドバイスを行い、相談者の減災につなげる。

自治体や企業等からのライフプラン研修の講師を務める際にはクイズ・ゲームを取り入れ受講者に楽しんでいただくことが得意。

2児の父であり、仙台で毎年「子育てママの家計塾」を開催して子育て中の家庭に実体験から育児の悩みに答える。

学習塾にほとんど通わせずに自身の子どもの進学校合格へ導いた経験から「お金をかけない子育て」についてもアドバイスを行っている。

子どもの金銭教育は最近になってから

私が子どもの頃の30年以上前は、子どもがお金のことを考えることは「子どもらしくない」「子どもに金儲けを教えるのは良くない」と毛嫌いされることが多く、義務教育の小中学校でも学ぶことはありませんでした。
 
学生アルバイトをしてお金を稼いで、初めて自分のお金について真剣に考えることがほとんどでした。
 
しかし、最近は小中学校の授業でも、社会学習として金銭教育を取り上げることが多くなってきました。起業教育を取り入れてお金を稼ぐ仕事について考える機会もあります。ごく一部ですが、地域のイベントに子どもが企画したお店を出店して、実際に商売を体験するプログラムもあります。
 
ファイナンシャルプランナーとして金銭教育の拡がりは大変喜ばしいことではありますが、教育現場での金銭教育はあくまで仮想のものです。子どもが実際にまとまったお金を手にして学ぶ経験ができる機会は限られていました。

子どもが10万円を手にしたらどうするか

それが今回「すべての国民を対象に1人当たり10万円給付」により、子どもが10万円という大金を手にする機会を得ました。もちろん、生活が厳しい世帯では「子どもに10万円を渡すなんてとんでもない。生活費に充てます」ということもあるでしょう。
 
しかし、その前に、子ども自身に10万円をどうするべきか考える機会を与えてみてください。小学校高学年以上であれば、しっかり考えられるでしょう。
 
今回の10万円をどうしたいか聞いてみて、「ゲームソフトを買う!」「新しい服を買っていいでしょ!」という自らの欲求に素直な考えが聞けるかもしれません。それはそれで、その子の考え方や価値観です。
 
そうして、子どもが10万円の使い方を考えているなかで、金銭教育に話題を向けるように話しかけてみましょう。
 
例えば、「この10万円は何のために給付されたお金か知っているかな?」と聞いてみましょう。新型コロナウイルスのニュースが毎日流れていますから、子どももある程度は知っているでしょう。
 
一つの質問で、それまで子どもが考えていた「自分の欲しい物を買う」というお金の使い方について、「あ!」と、何かに気づけばそれだけでも立派な金銭教育です。

子どもに家計について話しましょう

貯蓄が少ないうえに、収入が激減して家賃や電気代の支払いにも苦しむ家庭では、子どもに給付された10万円も生活費に回さなければならないでしょう。
 
それでも、子どもに渡すことなくすぐに生活費として親が使うのと、家計が大変である実情を話して、子どもから「生活費に使ってください」と自主的に言い出すのとでは、大きな違いです。
 
10万円の使い方を考えているなかで、もともとは「減収世帯限定の30万円給付案」だったことも考えるでしょう。そこから子どもが「私たち家族の家計ってどうなっているの? 収入が減って大変なの?」と親に質問してくるかもしれません。
 
その回答次第で子どもたちの考え方も変わるでしょう。

金銭教育に正解を求め過ぎない

子どもは年齢や、学校、友人などの環境によって考え方はバラバラです。金銭教育についての子どもの回答が親の望む回答と違っていたとしても、強く否定することなく、じっくりと子どもに考えさせることが大切です。
 
わが家を例に挙げます。
 
小学生と中学生の2人の子どもがいるのですが、10万円の使い方を聞いてみたところ、最初は「ゲームソフトを買う!」「○○○○ランドに行く!」と欲求のままに答えておりましたが、「○○○○ランドは休園中だよ」という話題から、新型コロナウイルスによる影響について考えが向いていきました。
 
そして「うちは収入減っているの?」と質問がありました。「今は大丈夫だけど、新型コロナウイルス問題が長期間解決しないと、これから大変になりそうだね」と答えました。事実、例年のセミナー講師依頼は、新型コロナウイルスが落ち着くまで見込めません。1年以上先も依頼がないままかもしれません。
 
結果、わが家の子どもたちが出した10万円の使い方は「今は貯金する」でした。「○○○○ランドは休園中だよ」から導かれた答えも同じ「今は貯金する」だったかもしれません。
 
しかし、きちんと家計や親の仕事について子どもなりに知ることができました。これは、お金に換え難い貴重な金銭教育の経験です。
 
なお、先日、子どもが出した答えは「今は貯金する」でしたが、テレビでゲームソフトのCMが流れると「やっぱりこのゲーム買いたいな」と親に聞こえるように独り言をいってきます。成長中の子どもの考え方は日々変わって当然です。何度でも家族で金銭教育について話をしてみましょう。
 
執筆者:西村和敏
ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
宅地建物取引士


 

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