最終更新日: 2020.06.04 公開日: 2020.06.05
暮らし

【おさらい】原油価格が暴落しているのに、ガソリンはそこまでは安くなっていない。どうして?

執筆者 : 上野慎一

新型コロナウイルス感染拡大問題によって、世界中でヒトやモノの動きが大きく制限されています。これによって経済活動も世界的規模で低迷し、各種の経済指標も「コロナショック」といわれるような大きな変動局面の最中にあります。
 
上野慎一

執筆者:

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

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執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

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原油価格が大きく下落

こうした状況によって、各種産業や世の中のさまざまな生活シーンに不可欠な資源である原油の価格も大きく下落しています。
 
国際市場の代表的な指標である「ニューヨーク原油」(テキサス産軽質油=WTI=の先物価格、1バレル≒159リットル当たり、米ドル表示)は、2018年[高値76.90ドルから安値52.45ドル]、2019年[高値66.60ドルから安値45.80ドル]といった価格幅の中で推移していました。
 
ところが、コロナショックによる経済低迷と需要の大幅減のために、原油価格は2020年の年明け以降下落の一途をたどりました。4月にはWTIが18年ぶりに20ドル割れとなり、マイナス価格の取引(5月先物)すら発生するありさまでした。
 
減産しても消費が追いつかずに在庫が積み上がり、貯蔵施設の空き容量が切迫。やむをえず“追い銭を払ってでも投げ売りしたい状況”となって、金利と同じようなマイナス現象が見られるという異常事態だったようです。

でも、ガソリン価格はそこまで下落していない

このように、1、2年前の価格から数分の一といった水準まで急激に下落した原油価格。一方で、身近な石油製品のひとつであるガソリン(レギュラー)は、少し前まで1リットル当たり150円台前後くらいしていたように思いますが、こちらの価格が原油のように劇的に安くなったという話は聞いたことがありません。
 
日本エネルギー研究所「石油情報センター」の公表値(※1)によると、過去1年のレギュラーガソリンの価格(全国集計)は、1リットル当たり[最高151.6円から最低124.8円](今年6月2日時点の検索結果)でした。原油価格に比べてそれほど大きくはない変動ですが、どうしてなのでしょうか。

ガソリン小売価格の構成要素とは

仮にレギュラーガソリン小売価格[121円](消費税込み)として、その価格構成は【図表1】のようになります。消費税課税前の段階で、3つのグループの税だけで[56.6円]になります。消費税も含めると小売価格のうち実に[67.6円]、つまり半分以上が税金なのです。
 
一方、本体価格のうち(原油コスト)が、海外原油価格の変動の影響を直接受ける要素です。財務省の貿易統計公表値の集計(※2)を見ると、輸入原油価格の動きが分かります。
 
その10日ごとの数値(1リットル当たり、小数点以下第2位を四捨五入)はここのところでは、[4/11から4/20]28.8円⇒[4/21から4/30]25.1円⇒[5/1から5/10]22.0円。原油価格の下落傾向が反映されています(今年5月8日時点の検索結果)。
 


 
とはいえ、ガソリン小売価格のうち輸入原油のコストが占める割合は、ざっと1/3以下程度の水準にすぎません。原油価格が大きく下落したとしても、ガソリン小売価格が同じような比率で下がるわけではないことがお分かりいただけたと思います。
 
【図表1】を見ると、3つのグループの税金も含めた消費税抜き価格に対して、さらに消費税が課税されていることを改めて思い知らされます。酒税やたばこ税でもそうですが、税金に対してさらに税金が掛かるという“二重課税”のような状態です。
 
これに関しては国税庁が「タックスアンサー」(※3)で、メーカーなどが本来納税義務者となって負担する税金が販売価格の一部を構成しているために消費税の課税対象となる旨を解説しています。
 
なお、同じ石油製品でも軽油は、ガソリンの「揮発油税・地方揮発油税」の部分が「軽油引取税」として課税されますが、こちらは消費税非課税となっています。その理由は、メーカーなどではなく利用者が納税義務者なのでさらに消費税の課税対象にはならないとの説明です(※3)。

まとめ

新型コロナウイルス問題が世界レベルでいつ頃収束するのかは、まだ見通せる段階ではないでしょう。収束してヒトとモノの動きや各種需要が復活すれば、原油価格の水準もいずれ回復していくものと推測されます。
 
日本でも、ドライブでの行楽などを本当に気兼ねなく楽しめる時期がいつになるのか、まだまだ読みづらいところでしょう。それはさておき、クルマの運転が必要とされる場合には、安くなったガソリン小売価格の恩恵がしばらくの間は続く状況なのです。
 
[出典]
(※1)一般財団法人日本エネルギー経済研究所 石油情報センター「給油所ガソリン一般小売価格(消費税込み)」~「週次調査価格グラフ」
(※2)石油連盟「貿易統計(原油・石油製品CIF価格)」~「財務省貿易統計(CIF)旬間速報」
(※3)国税庁「タックスアンサー」~「No.6313 たばこ税、酒税などの個別消費税の取扱い」
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士

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