最終更新日: 2020.06.05 公開日: 2020.06.07
暮らし

自治体のお金の使い方をチェック! 住民監査請求と住民訴訟

執筆者 : 石井美和

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、各都道府県の知事や市町村の長が、日夜、私たちを守るための施策を立案し実行しています。
今まで以上に、政治生命を賭けて取り組んでくださっている姿に、感銘を覚えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

自治体の職員の方や長の働き方がクローズアップされ、私たちが住む街の行政に目が行くようになった今だからこそ、知っておきたいことがあります。
それは、自治体のお金の使い方を監視する方法です。
 
石井美和

執筆者:

執筆者:石井美和(いしい みわ)

中央大学法学部法律学科卒業。
20年に渡り司法書士・行政書士事務所を経営し、不動産登記・法人登記・民事法務・許認可などに携わる。また、保険代理店を併設。なお、宅建士、マンション管理士など複数の資格を保有。

石井美和

執筆者:

執筆者:石井美和(いしい みわ)

中央大学法学部法律学科卒業。
20年に渡り司法書士・行政書士事務所を経営し、不動産登記・法人登記・民事法務・許認可などに携わる。また、保険代理店を併設。なお、宅建士、マンション管理士など複数の資格を保有。

<自治体のお金の使い方をチェック! その1住民監査請求>

住民監査請求と住民監査訴訟という制度は、あまり馴染みがない方も多いのではないでしょうか。
 
法律の専門家でも詳しいことを知らない人もいる、地方自治法という法律に定められている制度です。
住民監査請求と住民訴訟の主な目的は、ずばり、「自治体のお金の使い方」をチェックすることです。
 
例えば、A県の県議会議員が、研修旅行と称したヨーロッパ視察で、夜な夜な高級カジノで遊び、全く視察を行わなかったと聞いたら、県民としてむっとしませんか?
 
その資金はA県の県民が払った税金でまかなわれたとしましょう。
 
住民にしてみれば、道路や公園、学校など有意義なものに税金を使ってもらうために支払っているのです。
 
住民監査請求は、地方財務行政の適正化のため、自治体の構成員である住民に認められた参政権のひとつで、住民監査請求を起こすことにより、自治体のお金の使い方をチェックできるということです。
 

<自治体のお金の使い方をチェック! その2住民訴訟>

住民訴訟は、アメリカの「納税者訴訟」をモデルに導入されたといわれています。「訴訟」なので、文字通り自治体を訴えるための制度です。
 
住民訴訟は、住民監査請求をしたが、監査請求の内容が認められなかったり、監査委員の勧告に自治体の長が従わなかったりした場合に認められています。
 
忘れてはならないのは、住民訴訟も住民監査請求と同じく「お金の使い方」を対象とするということです。
 
<不当と違法って違うの?>

住民監査請求と住民訴訟は似た制度ですが、大きく違う点があります。
 
・住民監査請求は訴訟ではないこと
・住民監査請求は自治体の長の不当な行為も対象になるけれども、住民訴訟は違法な行為のみを対象とする
 


 
皆さん、【図表1)で気づいていただけたでしょうか?
住民監査請求と住民訴訟の対象は、似て非なるものなのです。お金の使い方(財務会計上の行為)が対象となるという点は同じです。
 
しかし、注目すべきは「不当な財務会計上の行為または怠る事実」が対象となるかどうかです。
 
住民訴訟では、「不当な」お金の使い方や「怠る事実」は、対象となりません。「不当」とは妥当性を欠いているが、法律に反していないことです。
 
「怠る」とは、「やるべきなのにやらなかった」つまり不作為ということです。
 
「不当な」お金の使い方や「怠る事実」は住民訴訟の対象とならないのは、裁判所は自治体のお金の使い方に、過度な口出しをしてはいけないからです。
 
裁判所なのだからチェックすればいいのにと思うかもしれませんね。しかし、三権分立という言葉を思い出してください。
行政(国、自治体の国民や住民に対する施策、サービスなど)、立法、司法(裁判)がお互いに口出しし過ぎたら、民主的な国家とはいえません。
 
どれかひとつの権利が肥大化してしまい、絶対王政下のヨーロッパの国や、江戸時代に逆戻りしてしまいます。
 
<住民1人でもOK?>
対象となる行為だけではなく、提起できる人にも着目しましょう。
自然人・法人を問わず、住民であれば1人でも住民監査請求をすることができます。国籍・年齢も問いません。
 
これに対して、住民訴訟は住民監査請求を行った住民しか提起できません。無意味な訴えを繰り返されると裁判所も自治体も困るからです。
 

まとめ

いかがでしたか?
 
今回は自治体のお金の使い方のチェック制度について解説しました。こんな時代だからこそ、正確な情報を知ったうえで世の中の事象を見ることも必要ではないでしょうか。
 
これからも、身近な話題から普段気づきにくいことまで、お金にまつわる知識をお届けできればと思います。
 
執筆者:石井美和
中央大学法学部法律学科卒業

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