家賃半年分が給付される「家賃支援給付金」を知っていますか?
配信日: 2020.06.25
5月に、最大200万円が給付される「持続化給付金」の申請受付が開始されました。多くの方が申請されたのではないでしょうか?
そして今回、新た給付金である「家賃支援給付金」が始まります。今回は、この「家賃支援給付金」について書いてみたいと思います。
執筆者:長崎元(ながさき はじめ)
行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表
学校を卒業後、IT企業に就職。約15年勤めた後、行政書士として開業。前職で培ったITの技術と知識を活かし、効率的で、お客様にストレスのかからないサービスを提供している。主な取扱業務は、「許可の取得」や「補助金の申請」。
長崎元行政書士事務所 HP
https://www.office-hnagasaki.com/
家賃支援給付金とは?
新型コロナウイルス感染症により、売上が減少している事業者の事業継続を下支えするため、固定費の中で大きな負担となっている地代・家賃の負担を軽減することを目的として、テナント事業者に対して支給される給付金です。
家賃支援給付金では、直近に支払った家賃の6倍(6カ月分)が給付されます。給付額には、以下のとおり上限が設定されています。
例えば法人の場合、家賃100万円以下なら全額が給付されるか? というと、そうではありません。法人、個人事業者ともに“給付率”が設けられています。
家賃支払額が法人の場合は75万円、個人事業者の場合は37.5万円までは、支払った額の3分の2が給付対象となり、これを超える場合は、給付が3分の1となります。
少し分かりにくいですが、法人の場合は家賃の月額が225万円以上で、1カ月の給付額が上限の100万円(給付総額600万円)に達します。個人事業者の場合は月額112.5万円以上で、上限の50万円(給付総額300万円)となります。図にすると以下のようになります。
また、給付額の基準となる家賃についても、「申請時直近に支払った家賃」とされています。新型コロナウイルスの影響で、家賃の減額をされている場合、その金額が基準となる点は覚えておいたほうが良いです。
誰が申請できるの? 持続化給付金と同じ?
今回の給付金の対象者は、この前の「持続化給付金」と似ています。次の条件のどちらかに該当する場合は申請可能です。
(1)5月~12月のいずれか1カ月の売上高が前年同月比で50%以上減少
(2)5月~12月の連続する3カ月の売上高が前年同期比で30%以上減少
持続化給付金は1月~12月で、任意の月を選べますが、今回の家賃支援給付金は5月以降である点、となりますので注意が必要です。ただ、5月は緊急事態宣言の真っただ中だったため、売上が減少している人は多いと思います。
家賃支援給付金の申請条件は、持続化給付金と同じく売上半減となっていますが、対象となる月が異なっているため、持続化給付金の対象者 = 家賃支援給付金の対象者 とはなりません。
持続化給付金を1月~4月の売上で申請した方は、あらためて5月以降の売上をチェックし、申請対象となっているか確認してみてください。
いつから始まるの?
5月現在の情報では、6月下旬から申請受付が始まる見込みです。支払いが開始されるのは7月に入ってからになるでしょう。持続化給付金と同様、審査が混み合うと振込が遅れる可能性も考えられます。早く給付を受けたいとお考えの人は、あらかじめ申請の準備をしておきましょう。
どうやって申請するの? オンライン?
今回の申請も、持続化給付金と同じく、原則オンラインとなる見込みです。
今回は、売上の他に家賃を証明する書類も必要になるでしょう。例えば賃貸借契約書などが考えられます。契約書を、どこにしまったか覚えていない人もいるのではないでしょうか。申請受付が始まってから慌てて探すことのないよう、場所を確認しておきましょう。
申請を第三者に依頼する場合は、報酬額にご注意を
前回の持続化給付金は、自分で申請ができるよう申請方法が公開されていました。もちろん、申請に時間が割けないなど、諸々の理由により他の人に申請を頼んだ人もいるでしょう。
しかし、「申請方法が分からなくて、専門家に頼んだところ高い報酬を要求された」というケースも見受けられます。もちろんこれはごく一部ですが、こういった残念な事例も起こっています。
今回の家賃支援給付金もオンライン申請となる見込みであり、パソコン操作を苦手とされる人は、誰かに頼んでしまいたくなるかもしれません。
しかし自身で申請できます。分からなければ、電話による相談などもあります。安易に外部に依頼して給付金を減らすようなことはせず、ご自身のために有効に活用していただきたいと思います。
※本記事は執筆時(2020年5月30日)の情報に沿って書いています。
執筆者:長崎元
行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表