生活保護ってどのような制度なの?8種類の扶助の内容とは
配信日: 2020.07.02
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
生活保護制度の趣旨と要件
生活保護制度は生活保護法に基づき、生活に困窮している人でも健康で文化的な最低限度の生活ができるように、困窮度合いに応じて必要な保護をして生活を保障し、自立を助長するための制度です。
生活保護は個人単位ではなく世帯単位で行い、まずは世帯員全員が資産や能力等、最低限の生活維持のために活用できるものは活用することが前提であり、扶養義務者は生活保護制度よりも優先して扶養する必要があります。
つまり、働けるなら働き、生活に利用していない不動産があれば売却等により現金化し、生活費に充当させます。年金や手当等で受け取れる給付金があるなら、生活保護よりも優先します。そして、最低限度の生活をするのに収入等では足りない時に、足りない分だけ保護費を受け取れます。
保護の種類は生活扶助など8種類
生活保護制度には生活に必要な費用の生活扶助など、下記の8種類の保護があります。申請手続きをして認められれば、保護費を受け取ることができます。
生活保護の相談や申請は福祉事務所へ
生活保護の相談や申請をする場合の窓口は、居住している地域の福祉事務所です。
福祉事務所は基本的に役所の中にあり、例えば、東京都世田谷区では5つある総合支所の生活支援課が窓口となっています。鳥取県鳥取市は本庁舎の生活福祉課、または総合支所の市民福祉課が窓口となっています。
生活保護の申請をすると、実地調査や資産調査(預貯金・保険・不動産等)、扶養義務者による扶養可否の調査、就労の可能性の調査等を行います。保護費の支給が決定すれば、最低生活費から収入を引いた不足分が支給されます。
保護が開始された後は、状況に変化があった時の届出義務が生じます。勤務先が変わった時、世帯人員が増減した時、引っ越した時等についてです。
適切な保護のために、ケースワーカー(担当員)から指導や指示があれば従わなければなりません。そして、生活向上のために計画的な生活や能力に応じた、働きをしていかなければなりません。
生活保護制度は、生活に困っている人の頼りになる必要不可欠な制度です。ただ、税金を活用している以上は、納税者の納得できる運営が重要です。本当に困っている人に対して優しく手を差し伸べてほしいものです。
執筆者:松浦建二
CFP(R)認定者