更新日: 2020.05.25 その他暮らし
「経済成長率7%の国、ミャンマー」の本当のところ。
「東南アジアは新興国で発展著しい」とよく言われますが、ミャンマーの場合はどうでしょうか?実際に出ている統計データと、実際に歩いて感じてみたレポートをご覧ください。
執筆者:大場脩(おおば しゅう)
ファイナンシャルプランナー。
山形をベースに全国で活動する。
本人が地方在住、そして独身のため、独身向けのマネープラン、地方ならではのマネープラン実情に精通している。
得意分野は、専門用語を使わないお金の話、資産運用、確定拠出年金、保険の見直し、地方在住者の教育資金など身近なお金に関わること全般。
お金のことは前向きにシンプルに考えることがモットー。
ブログはほぼ毎日更新、専門用語を使わないわかりやすい説明を心がけている。
地元山形の金融リテラシー向上のために日々奔走中。
https://fp-syu.com/
ミャンマーの歴史
ミャンマーは、軍事政権が長らく国を掌握し、独裁政治を行ってきました。欧米を中心とした国際社会はミャンマー軍政に対して経済制裁を行い、ミャンマーの経済は疲弊していきました。
しかし、2015年に選挙が行われ、アウンサンスーチー氏を中心に、ミャンマーは民主化の一歩を踏み出しました。民主化に伴い、経済制裁も解除され、今は経済成長が著しい国として注目されています。
<ミャンマーの経済成長率は7%?>
ミャンマーの経済成長率は年7%と言われています。
しかし、昨年の統計で5.9%の経済成長率と推計されています。若干鈍化したものの、高い水準で推移していることに間違いはありません。(日本は1%台)
http://www.worldbank.org/en/country/myanmar/publication/myanmar-economic-monitor-october-2017
ミャンマーの経済成長の裏には日本をはじめとした諸外国の存在が欠かせません。
・日本車が非常に多い。
街を眺めてみても、乗用車やタクシーはほとんどが日本車です。中には韓国車やドイツ車もありますが、ほとんどが日本車です。
また、路線バスには日本で現役を終えた路線バスが転用されています。「入口」や「出口」といった表記そのままに利用されています。
・電車も日本製。
ヤンゴン市内を約3時間で一回りするヤンゴン環状線(日本で言う山手線や大阪環状線のようなもの)は日本で現役を終えた電車がそのまま転用されています。
・日本はミャンマーの経済発展をサポートしている。
日本はミャンマーに対して円借款を貸与し、経済発展をサポートしています。インフラ整備、貧困対策、地方の発展などをサポートしています。
・スマートフォンはみんな持っている。
ヤンゴン市内では、ほとんどの人がスマートフォンを持っています。日米メーカーよりも、中韓メーカーが圧倒的シェアを持っているようでした。
また、ヤンゴン市内は4Gで日本と同様の高速通信ができます。地方部では一部3Gになるところもありますが、通信速度に問題はありませんでした。
・大型ショッピングモールもオープン。
冷房完備でブランド品やスーパー、ファストフード店も入居している大型ショッピングモールもあります。ショッピングモールの隣の通りは露天が軒を連ねるダウンタウン。コントラストがすごいです。
<経済成長の裏には‥>
経済成長の裏には、深刻な格差や貧困、環境問題が存在します。
・物乞いをする子ども、人が多い。
物乞いをする親子、子どもが非常に多いです。観光地付近に行けば、絶えず物乞いをする子どもがやってきます。
・商売をする子どもが多い。
人通りの多いところに商品を広げ商売をする子ども(小学校低学年くらい)や駅で水を売る少女もいます。
・郊外は全然違う。
ヤンゴン市内でも郊外に行けば、掘っ立て小屋のようなところに居住している住民がいます。中心部には豪華な邸宅を構える住民もいれば、その日暮らしを強いられる住民も少なくないです。
それらの裏付けとしてミャンマーの幸福度ランキングは130位と高くはありません。(日本は54位)
2018年版「世界幸福度ランキング」
https://s3.amazonaws.com/happiness-report/2018/WHR_web.pdf
・環境問題が深刻。
街を流れる川は排水とゴミでひどい異臭がします。35度を超える気温でゴミはより腐敗し、露店のおいしそうなにおいと川からの異臭が湿度と共に混ざり合います。ヤンゴンでもまだまだ上下水道の整備が追いついていない状況が見てとれます。
統計と現実では違うこともある。
ミャンマーの貧困率は20%くらいというニュースを見たのを覚えており、その印象のまま実際に歩いてみました。私が歩いてみた感じではもっと貧困率や格差が大きいと感じました。
しかし、スマートフォンの普及具合や通信速度などは私が予想していたよりも進んでいて驚きました。確かに経済発展は著しい国ではありますが、急速な経済発展に社会インフラが追いついていないような状況です。
日本をはじめとした諸外国がサポート、そして経済発展に寄与していけばミャンマー経済も、各国の経済も進展していく可能性は大いにあると感じました。
執筆者:大場脩
ファイナンシャルプランナー。