年金は月4万です…「生活保護」は受けられますか?
配信日: 2022.10.08 更新日: 2024.07.29
場合によっては、年金額よりも生活保護費のほうが多いこともあります。そこで、もらえる年金の額が月4万円の場合、生活保護を受けることができるのかどうかを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年金と生活保護は同時受給が可能
結論から言うと、年金を受給していても、生活保護を受けることは可能です。なぜなら、国が定める最低生活費に満たない年金生活者も生活保護の対象としているためです。受け取ることが可能な生活保護費は「国が定める最低生活費」から「収入(年金を含む)」を差し引いた額になります。
ただし、最低生活費はその人の置かれている状況によって変わります。例えば、最低生活費が13万円とします。4万円の年金を受け取っているとしたら、9万円の生活保護費が支給されるのです。
同時に受給する際の注意点
最低生活費から差し引かれる収入には、子どもからの仕送りをはじめ、国や自治体からの臨時給付金や手当なども含まれます。そのため、年金が4万円でも、収入の合算が最低生活費を上回る場合は生活保護の対象外です。
たとえ収入の合算が最低生活費以下だったとしても、必ず受給できるとは限りません。なぜなら、生活保護受給者には「自らの資産や能力を活用しなければならない義務」があるからです。
定年退職後でも働ける状態であれば、働くことが求められます。働いて得た収入は最低生活費から差し引かれることになります。親や子ども、兄弟姉妹からの経済的なサポートが受けられるようであれば、生活保護よりも先に受けなくてはなりません。
不動産などの資産や預貯金、保険の返戻金があれば、まずはそれらを生活費に充てることになります。もし後になってこれらの収入があったことが判明した場合は、これまでの生活保護費は無効です。過去にさかのぼって生活保護費を返金することになります。
生活保護を受けることができたとしても、生活する上での制限が設けられています。原則として自動車を持つことはできません。自動車は資産とみなされるからです。
ただし、障害があって通院に自動車が必要な場合や、車がないと通勤が困難になる場合などは所有を認められることもあります。資産となる貯蓄型の保険に加入することも認められません。住居は持ち家であれば、売却をすすめられることがあります。
ただし、「生活に利用されていない」などの条件があるため、原則としては住みながらの受給も可能です。また、どこにでも住めるというわけではなく、住むところにも制限があるのです。
さらに、年に数回、ケースワーカーからの訪問調査があります。それによって、ケースワーカーから指導されたことには従う必要が出てきます。
同時受給の前に条件と制限の確認をしよう
年金と生活保護を同時に受給することは可能です。受給できる額は「国が定める最低生活費」から「収入(年金を含む)」を差し引いた額になります。ただし、生活保護を受けるには条件があります。
条件を満たしたとしても、生活上、さまざまな制限を受けることになるのです。これらの条件と制限を念頭に置いた上で、生活保護を受けるかどうか、検討しましょう。
出典
厚生労働省 生活保護を申請したい方へ
厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省 「生活保護制度」に関するQ&A
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部