SNSで「市役所勤務のママ友に年収バレてた」投稿が話題…「勤務中に見た」とのことだけど、職員は“住民の収入”へ勝手にアクセスできる!? 個人情報漏洩の罰則もあわせて解説
この投稿には、「自分も同じ経験がある」という声も多く寄せられました。実際に市役所の職員は、住民の年収を見ることができるのでしょうか。また、業務外で見たり、他人に話したりした場合にはどのような罰則があるのでしょうか。
FP2級、日商簿記3級、アロマテラピー検定2級、夫婦カウンセラー、上級心理カウンセラー、整理収納アドバイザー
市役所の職員は住民の収入を見ることができるの?
結論から言うと、市役所の税務部門に所属する職員は、住民税の課税業務のために住民の所得情報にアクセスできます。
住民税は、前年の1月から12月までの所得に対して課税される税金で、市区町村が課税額を計算して徴収します。この業務を担うのが、市役所の税務課(市民税課)です。税務課の職員は、住民から提出された確定申告書や給与支払報告書などの情報をもとに課税額を計算するため、業務上、個人の所得情報を取り扱います。
また、生活保護の審査を行う福祉部門など、ほかの部署でも業務上の必要性がある場合には、税務課に所得情報の照会を行うことがあります。つまり、税務部門以外の職員でも、正当な業務上の理由があれば住民の所得情報を確認する場合があるのです。
ただし、いずれの場合も「業務上の必要性」があることが前提です。個人的な興味や関心から、業務に関係のない住民の情報を閲覧することは認められていません。
公務員が住民の個人情報を漏らしたらどうなる?
地方公務員法第34条第1項では「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする」と定められています。これは「守秘義務」と呼ばれ、すべての地方公務員に課せられる義務です。
この守秘義務に違反して秘密を漏らした場合、地方公務員法第60条の規定により「1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」が科される可能性があります。これは刑事罰であり、退職後であっても適用されます。
さらに、刑事罰とは別に、懲戒処分の対象にもなります。懲戒処分には「免職」「停職」「減給」「戒告」の4段階があり、漏えいした情報の内容や悪質性に応じて処分が決まります。過去には、個人情報の漏えいにより懲戒免職となった事例もあります。
つまり、市役所の職員がママ友に年収を話すという行為は、地方公務員法の守秘義務に違反する可能性が高く、刑事罰や懲戒処分の対象になり得るのです。
業務に関係なく情報を見ただけでも問題になる?
業務に関係なく住民の個人情報を閲覧する行為自体も、問題があります。多くの自治体では、個人情報保護条例やシステムの利用規程などで、業務目的以外のアクセスを禁止しています。業務目的外の閲覧が発覚した場合、内部規程違反として懲戒処分の対象となる可能性があります。
近年、多くの自治体では、課税システムへのアクセスログを記録し、「誰が」「いつ」「誰の情報を」閲覧したかを追跡できるようになっています。不正なアクセスが疑われた場合は、ログの確認により発覚することもあります。
もし、自分の個人情報が不正に閲覧・漏えいされたと感じた場合は、該当する自治体の個人情報保護担当窓口に相談するとよいでしょう。自治体によっては、自分の個人情報に対するアクセス記録の開示を求めることができる場合もあります。
まとめ
市役所の税務部門の職員は、住民税の課税業務において住民の所得情報にアクセスすることがあります。しかし、これはあくまで業務上の必要性に基づくもので、個人的な興味から閲覧したり、知り得た情報を第三者に漏らしたりすることは許されていません。
地方公務員の守秘義務に違反した場合は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金という刑事罰のほか、懲戒処分も科される可能性があります。公務員として知り得た住民の情報は、退職後も含めて厳格に管理しなければならないことを、改めて認識しておく必要があるでしょう。
もし、自分の個人情報が不正に閲覧・漏えいされたと感じたら、自治体の個人情報保護担当窓口に相談してください。
出典
e-Gov法令検索 地方公務員法
執筆者 : 上野梓
FP2級、日商簿記3級、アロマテラピー検定2級、夫婦カウンセラー、上級心理カウンセラー、整理収納アドバイザー
