更新日: 2019.10.24 その他暮らし

貧困世帯の子、夏休み明けに痩せた姿で登校することも…自治体による子どもの食の支援とは

貧困世帯の子、夏休み明けに痩せた姿で登校することも…自治体による子どもの食の支援とは
夏休みが明けると、痩せて学校に来る子どもがいます。痩せる理由は、夏休み中は給食がないため。家庭で十分な栄養を取れず、痩せてしまうのです。このような貧困家庭の子を支援する事業として子ども食堂がありますが、子ども食堂とは別に、食事の宅配などの支援事業もあります。
 
ここでは各自治体やNPO法人によって行われている事業についてお伝えします。
 
前田菜緒

執筆者:前田菜緒(まえだ なお)

FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士

保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)

https://www.andasset.net/

子どもの食の支援事業とは?

住民税非課税世帯、就学援助受給世帯、ひとり親家庭等を対象として、食品やお弁当を届けたり、自宅で食事を作ってくれたりするサービスです。家庭の経済状況によっては、ご飯をおなかいっぱい食べられなかったり、1人でご飯を食べたり、食事の環境に恵まれない子がいます。
 
食の支援事業は、食品や食事を届けることで、栄養をとってもらうことはもちろんですが、地域社会と関わることで孤立を防ぐという目的もあります。
 

文京区「子ども宅食プロジェクト」

子ども宅食プロジェクトとは、東京都文京区とNPO法人等が協力し、取り組んでいる食品配達事業です。企業などから提供された米・お菓子・缶詰・レトルト食品・飲料・日用品などを、子ども宅食を利用する家庭に届けます。
 
子ども宅食を利用できる家庭は、就学援助受給世帯、児童扶養手当受給世帯、18歳までの子どもがいる生活保護世帯です。
 
このような取り組みは情報発信をしても、本当に利用すべき家庭まで届かず、利用すべき家庭が利用できていないという状況に陥りがちですが、文京区では対象となる家庭に申し込み案内を送付しています。これにより、対象となる家庭は子ども宅食プロジェクトを知ることができます。
 
子ども宅食プロジェクトの原資は寄付です。ふるさと納税を活用したクラウドファンディングによって寄付を募集しています。2019年の目標金額は6000万円で2019年9月現在、寄付金額は約1800万円となっています。
 

江戸川区「〜できたて食べてね〜おうち食堂」

江戸川区が行っている食事支援事業です。食事支援ボランティアが自宅でご飯を作ってくれます。ボランティアは買い物から後片付けまで行ってくれ、利用者の自己負担はありません。
 
利用にあたっては一定の審査があります。審査はどのような状況で食事を作るのが困難であるか、困っている事情等によって判断されます。なお、利用回数には条件があります。
 

江戸川区「KODOMOごはん便」

1食470円のお弁当屋さんのお弁当を、自己負担100円で配達してくれる事業です。利用できるのは、住民税非課税世帯で、こちらも利用回数には上限があります。
 

品川区「しあわせ食卓事業」

子ども食堂に行けない理由がある子どもや、ひとり親家庭に対して、2019年より食品の配達を行う「しあわせ食卓事業」が実施されます。
 
2019年9月現在、子ども食堂の支援としあわせ食卓事業のため、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングによって寄付を呼びかけています。2019年9月10日から12月31日まで受付しており、9月26日現在、目標金額300万円に対して、約220万円が寄付されています。
 
品川区クラウドファンディング紹介のサイトには担当者メッセージが掲載されています。印象深かったので、以下にメッセージの一部を掲載します。
 
「ガバメントクラウドファンディングは、資金調達がゴールではありません。区の課題とその取り組みを多くの皆様に広く知っていただき、共感をしていただいて、皆様と共に少しでも課題を解決していくことが大切だと考えています。(以下省略)」
 

子どもの未来につながる食の支援

食の支援は、単に食事や食品を提供するのが目的ではありません。食の提供を通して、地域とコミュニケーションをとることで、家庭の課題を発見し、支援につなげ、子どもの明るい未来につなげます。
 
食料品を配送する事業を行っている自治体はまだ少なく比較的新しい取り組みでもあります。このような事業が広がれば、夏休みに痩せる子どもも少なくなることでしょう。
 
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2019年FP協会広報スタッフ


 

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