更新日: 2019.11.08 子育て

日本では、7人に1人の子どもが貧困状態? 江戸川区の取り組み「子ども食堂」はどう運営されている?

日本では、7人に1人の子どもが貧困状態? 江戸川区の取り組み「子ども食堂」はどう運営されている?
3回にわたってお伝えしている子どもの貧困と江戸川区の子どもの食堂の取り組み。3回目の今回は、子ども食堂の運営とボランティア、寄付の実態についてお伝えします。
 
前田菜緒

執筆者:前田菜緒(まえだ なお)

FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士

保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)

https://www.andasset.net/

意外と知られていない子ども食堂の実態

・運営の実態

子ども食堂の運営は大変そう、厳しそう。筆者は取材前まで、そのような印象を持っていました。しかし、藤居さんは「大変なことはないし、むしろ楽しい」と言います。実際、食堂を運営しているメンバーも「料理が楽しい」と言い、「生きがい」とすら感じている人もいるようです。
 
ボランティアには料理好きの人が多く、中にはコックさんもいます。食堂を運営するメンバーの中に、レストラン経営者がいるため、3~4人のコックさんが食事を作っている食堂もあります。
 
子ども食堂の運営が大変ではないという理由は、このようなメンバーの状況に加え、無理のない範囲で運営しているためです。負担がかかってしまうと長続きしません。負担がかからないよう、運営が大変にならないように、開催頻度等を調整しているのです。

・資金面の実態

子ども食堂では、食事を無料、または安価で提供しています。そのため、食材の調達等で資金面が厳しいのでは、と思いがちですが、食材は全国から寄付が届きます。
 
お米や野菜、お菓子などの寄付に限らず、食器も提供されたことがあるようです。とはいえ、寄付の食材だけで食事を作ることはできません。予算も限られています。予算内で収まるよう食材を調達しています。

・ボランティアの実態

「ボランティア参加希望の問い合わせは、週1回程度の頻度で入ります」と江戸川区社会福祉協議会の小沼さんは言います。ボランティア希望者は大人だけではなく、学生からも連絡が入ります。実際に中高生がボランティアをしている食堂もあります。
 
問い合わせがコンスタントに入るのは、江戸川区の子ども食堂がネットワーク化したため、連絡がしやすくなったという背景があるようです。
 

子ども食堂を応援したい人は

・寄付したい

江戸川区の場合、子ども食堂を応援したい方は、まずは『えどがわっ子食堂ネットワーク』に連絡をしてください。
 
例えば、食材の寄付をしたいと思っても、子ども食堂が開催されていない日に提供しても、食材を腐らせてしまいますから、受け取ることはできません。子ども食堂は、毎日開催されているわけではありませんから、食材の寄付はタイミングが重要です。
 
また、お金を寄付したい方もいることでしょう。ネットワーク自体は法人ではありませんから、お金を持っていません。そのため、子ども食堂のチラシ等は、すべて寄付されたお金で作られています。その他の地域の詳細は、自治体や団体に直接おたずねください。

・子ども食堂を運営したい

子ども食堂を始める場合は、自治体によって、保健所への届け出や許可が必要な場合があります。管轄の保健所にあらかじめご相談ください。
 
新しい食堂を作るにあたっては、集客や運営面などで不安点はあるでしょう。しかし、江戸川区の場合は、その点においてもネットワークが今までのノウハウやアドバイスをしてくれます。
 

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これからの子ども食堂

これからの子ども食堂に必要なものは、お金でも人でもなく、まずは、社会の理解が必要と、藤居さんは言います。子ども食堂は「貧困家庭の子が利用する場所」という認識ではなく、「地域交流の場」であるという理解です。
 
子ども食堂を運営していると、さまざまな声が入ります。
 
子ども食堂に入っていく子どもの姿を見て、「貧困家庭ではないのに、子ども食堂に行った」と、電話が入ったり、「子ども食堂があるから、親は食事を作らなくなる。親を甘やかすな」とクレームが入ったり、子ども食堂の運営者の思いと社会の認識にはズレが存在しています。
 
まずは、この認識のズレをなくして、みんなで食事を囲む温かい場所であると社会が認識する必要があるでしょう。親が仕事で家にいない時、子どもが子ども食堂に行くなら、親は安心して仕事ができます。
 
いつもは、慌ただしいけれど、子ども食堂で食べるなら、ご飯を用意する必要はありませんから、少しだけ時間に余裕ができます。親にとっても、子どもにとっても利用価値がとても高いのです。
 
家から歩いてすぐのところに子ども食堂がある。そのくらい食堂の数が増えて、誰もが利用し、交流の場になっている。それが、子ども食堂の理想の形なのかもしれません。
 

最後に

3回にわたって、子どもの貧困と、その一例として『えどがわっ子食堂ネットワーク』の取り組みをお伝えしてきました。
 
前述したとおり、子ども食堂は「食事をする場」ではなく、「交流する場」です。子ども食堂を運営することは、子どもたちが健やかに成長できる環境を作るための草の根の運動といえるでしょう。
 
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2019年FP協会広報スタッフ


 

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