キャッシュレス決済の未来から学べる、その判断ポイントとは!?
配信日: 2020.01.07 更新日: 2021.04.06
筆者も仕事上リサーチしてはいますが、本来は目先のキャンペーンやいろいろな決済手段を、プライベートで調べることはやりたくないと思う部類です。
“キャッシュレス疲れ”していませんか? 判断材料がいっぱいあると、思考停止になってしまうか、あれもこれもと目移りして疲れてしまうものです。筆者の場合は、キャッシュレスを活用する大きな目的を、ひとまず1つに絞って、ある程度そのためだけに活用する方法を選んでいます。心理的にも実生活においても、とても楽です。
とはいえ、夢のない話をするのもだんだんつらくなると思います。今回はキャッシュレスが普及する未来ときっかけについて、ちょっとブレイクタイムとしましょう。
執筆者:野原亮(のはら りょう)
確定拠出年金相談ねっと認定FP
確定拠出年金創造機構代表
https://wiselife.biz/fp/rnohara/
現東証1部上場の証券会社に入社後、個人営業・株式ディーラーとして従事。口座残高が当初20万円のお客様が2,000万円になったことも。その後、営業マーケティング会社に転職。生涯担当顧客は1,000名超。 2016年に確定拠出年金専門のファイナンシャルプランナーとして開業。法人への企業型確定拠出年金制度の導入を中心に、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)制度の普及にも努めている。生活に密着したお金の話は「人生有限、貯蓄無限」と考え、公的年金や資産運用のアドバイスも。2017年、DVD「一人社長・夫婦経営の社長のための確定拠出年金」を出版
https://www.amazon.co.jp/dp/B073JFYMQV
現金決済によるムダな1.6兆円をなくし、未知の世界へ
経済産業省が2018年4月に公表した「キャッシュレス・ビジョン」を受け、経済産業省を始めとする関係各省庁の合意・理解のもと創設された、一般社団法人キャッシュレス推進協議会の「キャッシュレス・ロードマップ 2019」によれば、現金決済インフラを維持するために、年間1.6兆円を超える直接コストが発生しているようです。
図1
※一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ 2019」より抜粋
少子高齢化や労働者人口減少の時代に突入し、生産性向上はいやが応でもクリアしなければいけない課題。そこで現金決済にかかる店舗人員の解放や、消費者としてもキャッシュレスニーズが高まってきました。
また、すでに終わった2019年ラグビーワールドカップをはじめ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2025年の日本国際博覧会(大阪・関西万博)と国際的ビッグイベントを控え、ますますインバウンド需要を取り込むためのキャッシュレス決済の環境整備が要求されています。
そんな現状から、下記のような未来像を描いています。
図2
※一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ 2019」より抜粋
同協議会が作成した上図に記載の、
(1)自分のライフスタイルにあったキャッシュレスツールが選択可能
(2)キャッシュレス対応の店舗等のほうが多い
(3)キャッシュレスで支払うとお得
(4)レジという概念がなくなる
(5)個人間送金はデジタルで行われる
(6)データ利活用により生活の利便性が向上
これはわかりやすいですよね。あらゆるところで、お得に、素早く、便利になるキャッシュレス決済という未来像です。映画やゲームのような世界が本当にやってくるのかもしれません。
キャッシュレス利用の現状
店舗などのサービス提供者側は大変です。キャッシュレス決済の未対応による機会損失から見てみましょう。
図3
※一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ 2019」より抜粋
「一般消費者」と「家計簿アプリ利用者」では、キャッシュレスに対する意識に大きな差があると想定されますが、赤い棒グラフの「一般消費者」を見ても、キャッシュレス決済の対応をしていない店舗を「明確に避ける」もしくは「避ける」ことがあると回答する人が全体の4割程度いるため、キャッシュレス未対応であることが販売機会損失につながっている可能性があることがわかります。
図4
※一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ 2019」より抜粋
キャッシュレス決済を拒否する、とまではいかないにしても、親切にわかりやすくキャッシュレスが利用可能かどうかを明示してあげる必要がありそうです。
また現在、軽減税率やキャッシュレス決済によるポイント還元、年末キャンペーンなどがかなりアピールされています。しかし、これらは一過性のものにすぎないので、本当に普及するかはその後が重要です。
下図のようなキャッシュレス決済利用のきっかけと、習慣化した理由を把握しておくことは参考になりそうです。
図5
※一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ 2019」より抜粋
キャッシュレス決済は、どちらかというと「お得だから」という理由で始めたものの、慣れてしまえばその便利さに焦点があたるようです。ポイント還元キャンペーンなどが盛んな現状とその後が容易に想像できる結果だと思います。
2020年からは、「お得さ」を売りにしたポイント還元キャンペーンよりも、PayPayやLINE Pay、Suicaや楽天ペイなどのように、各社提携やポイントの共通利用、あるいは合併など、消費者の利便性によりフォーカスした動きがより活発になってくる可能性があります。
当たり前かもしれませんが、これらキャッシュレス決済サービスを選択する際は、自分自身のライフスタイルにあったものを見つけること、ポイントを使ってどうしたいかを明確にしておくことが必要です。全てにいえることですが、その行動が本末転倒とならないように考えて決断することが大切ですから。
執筆者:野原亮
確定拠出年金相談ねっと認定FP