更新日: 2024.09.26 子育て

こんな育児休業なら許される?男の育児休業取得のススメ

こんな育児休業なら許される?男の育児休業取得のススメ
政府の方針として、国家公務員の1ヶ月以上の育児休業が義務化される方向が検討されているようです。妻にお願いされているだけではなかなか勇気は出ないかもしれませんが、上司の評価にも影響するとあっては、前向きに育児休業の取得を検討せざるを得なくなるかもしれません。
 
ただ、最初の一歩を踏み出すのは大変です。今回は周囲にも迷惑をかけない、自分にもメリットのある男の育児休業を考えてみましょう。
 
當舎緑

執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

男の育休と女の育休ではここが違う

男性と女性では、育児休業の期間が異なるのはご存じでしょうか。女性はそもそも産前産後休業を取得しますから、産前42日・産後56日の合計98日間が産休として計算しますから、産後57日目からが育児休業です。
 
ところが、男性には産前産後休業というものはありませんので、生まれてすぐに育児休業を取得することが可能です。「平成30年度雇用均等基本調査」によると、男性の育児休業の取得率は過去最高の6.16%でした。政府は13%を目指すとはいっているようですが、まだまだ道のりは遠いといわざるを得ません。
 
本来の育児休業は子どもが1歳に達するまでですが、保育園に入園できないなどの理由がある場合には、1歳半もしくは2歳まで取得できますし、必ずしも「こうしなければならない」という取得方法はありません。
 
今、ほとんどの女性が、産休と育休を連続して取得できますが、それに合わせて夫も育児休業を取得すると、子育てにより協力することが可能になるでしょう。
 
働き方改革が叫ばれていることもあり、企業の経営者も「このままではいけない」と意識改革はかなり進んできたように感じますので、職場と調整がしっかりできさえすれば、男性の育児休業取得は難しいことではありません。
 

受け取れる手当をしっかり活用して資金計画をたてる

妊娠、出産、育児では、子どもが1歳半もしくは2歳になるまでが最大限休業できます。最大限取得するためには、「保育園に入園できないとき等」の要件がありますので、しっかりと保育園に入園するための「保活」を考えつつ、お金の計画を立てましょう。
 
産休中は、給与の約67%が出産手当金として健康保険支給され、引き続き育児休業する場合には、支給開始後6ヶ月間は67%、6ヶ月経過後は50%が雇用保険から育児休業給付が支給されますので、この金額が収入の目安となります(※1)。
 
男性でも雇用保険に加入していれば、育児休業給付が申請できます。また、子どもが出生するとすぐに児童手当も受け取ることができます。3歳未満の子どもには1万5000円、3歳から小学校修了時まで1万円(第1子、第2子の場合。第3子以降1万5000円)、中学生には一律1万円が支給されます(※2)。
 
健康保険と雇用保険の給付は、家計の収入としてあてにしても構いませんが、児童手当は、収入としてあてにしないようにしましょう。世帯主の口座に直接振り込まれますが、できれば振り込まれればその後すぐに子どもの口座に移して、別途管理するようお勧めします。
 
将来、大学進学までを検討するのであれば、入学金を準備できるという意味で、「余った分を貯める」ではなく、最初から「貯蓄額を最初に確保する」という方法で、教育費を準備しましょう。
 

育児休業パターンとして「パパママ育休プラス」を考える

その他、夫婦で共同して子育てをするための、パパママ育休プラスという方法を例にあげておきます(図1)。
 

 
産後すぐというのは、女性にとっても不安になりがちです。よく食べてよく寝る子であれば心配はあまりないでしょうが、食べても寝なかったり、そもそも寝る時間が少なかったりする子であれば、母親が寝不足になることもあるでしょう。寝不足が続けば精神的に不安となってしまう、いわゆる産後うつとなることもあり得ます。
 
こんなことのないように、産後すぐ2週間はまず男性が育児休業を取得し、赤ちゃんを含めた生活が安定するように、まず「子育てに」慣れるための育児休業を取得することを考えてみるといいでしょう。その間、学資保険の加入など教育資金の準備方法と保育園の情報収集をしておくのもおすすめです。
 
もし、最大限育児休業を取得する予定であれば、1歳時点でまず保育園に入園できないという証明が必要となります。そして、その後の1歳半の時点でも同様の証明が必要です。
 
1歳で加入できなくても2歳で加入できる保育園なのか、1歳時点で加入できないまま3歳まで加入できない保育園なのかの情報は非常に重要です。引っ越しを検討するか、もしくは最初と次回の保育園の希望順位を変えるという選択肢など、早めに検討しておきたいものです。
 
1歳まで待たずに復帰したいという選択肢もありですが、本人は元気でも、保育園で病気になってしまうこともあります。
 
早めに復帰できても、その後、病気になった場合の対処をちゃんと準備しておく必要があるでしょう。病気の際の預け先、有給を使える状態か、会社で看護休暇を取得できるよう根回しをしておくのか、育児休業は単に休むだけではなく、その後のライフプランをしっかりと夫婦で考える休業でもあるのです。
 
よく、「うちの会社には有給がない」とか「取得しにくい」という方がいらっしゃいますが、会社が堂々と「うちの会社に有給はない」と言い切ることは違法であるとの認識はちゃんとできています。
 
確かに職業柄取りにくいという会社もあるのは事実です。ただ、ちゃんとした根回しが済んでいれば、会社側としては断れないという状況です。できない理由を探すのではなく、前向きに検討し、どうすれば職場の理解が得られるか、まずは考えてみてはいかがでしょうか。
 
(※1)このコラムの中では便宜上「給与」といっていますが、健康保険の給付の算定方法は、前12ヶ月間の標準報酬月額、雇用保険の給付は、原則として休業前6ヶ月の基本手当日額の算定方法によります。
 
(※2)児童手当を受給するためには、所得の要件があり、一定の所得以上の場合、月5000円の特例給付の支給となります。
 
※2020/01/09 図表を一部追加いたしました。
 
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。


 

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