更新日: 2020.02.29 その他暮らし
同じ誕生日の人がいる確率は【40人いれば約89%】。それって本当なの?
執筆者:上野慎一(うえのしんいち)
AFP認定者,宅地建物取引士
不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。
誕生日は、「特別な日」の代表格
こうした特定の日にちに対して、1年365(366)日のどこかがその日になっているものもあります。結婚記念日など、そして何よりもあてはまるのが誕生日でしょう。
株式会社マイボイスコムが2019年4月に実施した「ギフトに関するアンケート調査」結果(※1)では、昨年1年間で何らかの贈り物をした人は7割。そしてギフトを贈った機会(複数回答)の上位は、【誕生日、お中元・お歳暮、母の日、手土産・ご挨拶、クリスマス、バレンタインデー】などでした。
また株式会社大和ネクスト銀行が2019年5月に実施した「プレゼントに関する調査2019」結果(※2)では、直近の誕生日にパートナーからプレゼントをもらった人は64.4%いました。金額は0円(おカネはかかっていない)から5万円以上に幅広く分かれていて、その平均金額は1万931円でした。
やはり誕生日は、贈り物をするきっかけに代表されるように、「特別な日」として意識されているのだと改めて実感いたします。
誕生日が同じ人がいる確率って、どのくらい?
ところで、学校のクラスや職場など身近な集団の中で誕生日が同じ人がいた経験はありますか。誕生日は365(366)通りですので、「1人につき365分の1(366分の1)くらいの確率かな?」と直感的に考えがちです。そうすると、数十人くらいの集団で同じ誕生日の人がいる確率はそれほど高くないと思われます。
しかし、【1年を365日とし、全ての日付の出生率が同じ】という前提で、ある集団の中に誕生日が同じ人がいる確率を、集団の人数ごとに例示すると少しびっくりです。結果は、【23人で約50%】、【40人で約89%】、【83人で100%】なのです。「83÷365」の計算結果でも約23%のはずなのに、どうしてこんなに高い確率になるのでしょうか。
まず次の2つを考えてください。
(1)ある集団の中に、同じ誕生日の人がいる確率
(2)ある集団の中で、どの人も誕生日が別である確率
(1)と(2)を足すと1(100%)ですので、(2)をまず計算して1から引けば(1)の確率になるはずです。集団の数が増えていくとどうなるのか見てみましょう。2人の集団ならば、2人目が最初の人と違う誕生日の日付は364通りあります。以下、次のような計算となります。
この計算を続けていくと、確かに前述のような結果になります。
「誕生日のパラドックス」とは?
これは「誕生日のパラドックス」と呼ばれ、直感と実際の確率にかなりのズレが発生する場合があることを思い知らされるものです。そして直感とのズレが発生してしまう背景として、
(あ)「同じ誕生日の人がいる確率」
(い)「自分と同じ誕生日の人がいる確率」
この2つをゴチャ混ぜにして考えてしまいがちな点も挙げられます。
(あ)も(い)も2人までは先ほどの計算のとおりで同じです。しかし、3人目からは次のように計算が変わります。
人数が増えても計算式の( )の中の数字は(あ)ほどは減っていかないので、この数字を1から引いた確率の数値が高まらないことがわかります。ちなみに【23人で約5.8%】、【40人で約10.1%】で、確率がようやく99.99%台になるには【3360人】くらいの人数が必要です。
まとめ
このように、ものごとに対して直感や思い込みに基づいた判断、あるいは似た現象だと自分で考えてそこから類推した判断が、結果的に結構ピントはずれになることも珍しくはありません。
例えば、ネットショップで買い物をして支払い手続きに進むと「あと○○○○円分お買い物をすると、送料が無料になります!」とコメントが出ることがあります。実は送料の方が○○○○円よりずっと安くても、送料無料に直感的にひかれて不要で無駄なモノまで追加で買ってしまう人はかなりいるでしょう。
世の中は、もちろん、確率などの数字が全てではありません。しかし、たまには自分の思い込みに対して「本当にそうかな?」と数字で点検をしてみることは、おススメだと思います。
出典:(※1)マイボイスコム株式会社「ギフトに関するアンケート調査」
(※2)株式会社大和ネクスト銀行「プレゼントに関する調査2019」
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士