シングルマザー、シングルファーザー必見! ひとり親に対する税制改正
配信日: 2020.03.18
令和元年度までは、「配偶者と死別や離別した後に再び婚姻をしていない人」が所得控除の寡婦(寡夫)控除の対象でしたが、「婚姻したことのないひとり親」も新たに控除対象となります。
執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
令和元年までの寡婦(寡夫)控除とは
会社員など給与所得のある方は、毎月の給与などから算出された所得税を納めています。
所得税を算出する所得額は、給与や賞与などの収入の合計額から、それぞれの個人的な事情も考慮され、所得控除が行われます。その控除のひとつが寡婦控除と寡夫控除です。
寡婦(寡夫)とは、夫(妻)を亡くしたり離婚したりして再婚をしていない人のこと。寡婦と寡夫では控除額が異なるうえ、一度も結婚をしていないひとり親は寡婦(寡夫)控除の対象外でした。
<一般の寡婦控除:控除額27万円>
以下いずれかの要件を満たす人
・夫と死別し、もしくは夫と離婚した後婚姻をしていない人、または夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人または生計を一にする子を有する人。
・夫と死別した後に婚姻をしてなく、合計所得金額が500万円以下。
<特別の寡婦控除:控除額35万円>
以下すべての要件を満たす人
・夫と死別、夫と離婚した後に婚姻をしていない、または妻の生死が明らかでない一定の人。
・扶養親族である子がいる。
・合計所得金額が500万円以下。
<寡夫控除:控除額27万円>
以下すべての要件を満たす人
・合計所得金額が500万円以下。
・妻と死別、妻と離婚した後に婚姻をしてなく、生計を一緒にする子がいる。
令和2年の税制改正で未婚のひとり親も控除対象に
令和元年までの寡婦(寡夫)控除は、一度も結婚したことのない人は対象外。寡婦(寡夫)の個人的な事情と同等であるにもかかわらず、結婚をせずシングルマザーやシングルファーザーとして子どもを育てている人は、所得控除の対象ではありませんでした。また、男性と女性では寡婦(寡夫)控除の額に差がありました。
令和2年の税制改正によって、ひとり親・寡婦・寡夫に関わらず、同じ税制措置を受けられるように改正されます。ひとり親で子どもを育てている人は、同等の事情とみなされるからです。
<ひとり親(寡婦・寡婦含む)の控除額:35万円>
以下すべての要件を満たす人
・合計所得金額が500万円以下。
・婚姻歴や性別にかかわらず、生計を一緒にする子がいる単身者。
なお、上記以外の寡婦は所得が500万円を超えると寡婦控除の対象外。それ以外の「一般の寡婦」は引き続き控除額27万円が適用されます。また、事実婚などでパートナーがいる人は、ひとり親には該当しません。
寡婦・寡婦・ひとり親の控除を受けるために
寡婦(寡夫)控除は、会社員などの給与所得者の場合、年末調整の申告書の寡婦(寡夫)の欄にチェックをして提出します。ひとり親の税制上の措置を受ける場合も年末調整で行うことになります。
チェックを忘れて年末調整が済んでしまった場合には、確定申告できます。
ここでは、令和2年の所得税の改正について述べてきましたが、住民税は前年の所得に対しての課税のため翌年の6月以降に適用となります。
[出典]
財務省「令和2年度税制改正(案)のポイント」(令和2年1月)
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント