更新日: 2020.04.10 子育て

新型コロナで家計が急変したときの高等教育の修学支援新制度の特例とは

新型コロナで家計が急変したときの高等教育の修学支援新制度の特例とは
2020年4月から、高等教育の修学支援新制度がスタートしました。この制度は住民税非課税世帯、およびこれに準じる世帯を対象としますが、住民税は前年の所得のもとに算定されますので、家計が急変した場合には迅速に対応できません。
 
そこで、新型コロナウイルス感染症のように予期できないことにより家計が急変し、急変後の収入状況が住民税に反映する前に支援が必要な方のために、随時申し込みが可能となっています。
 
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

高等教育の修学支援新制度とは

高等教育の修学支援新制度(いわゆる高等教育無償化)とは、能力と意欲のある若者が経済的な理由により進学、および修学の継続を断念しないように国が支援する制度です。2020年4月からスタートしました。年2回(4月始期分、10月始期分)申し込みできます。
 
支援内容は、授業料等減免と返済義務のない給付奨学金(日本学生支援機構)の2つです。給付奨学金の支給対象の学生は、授業料等減免の要件も同時に満たします。ただし、別途、在学校での申し込みが必要です。自動的には授業料等減免は受けられません。
 
対象となる学校種は、大学・短期大学・高等専門学校・専門学校で、国または地方公共団体の確認を受けた学校です。確認を受けていない学校に在学する人は、高等教育の修学支援新制度を利用できませんので注意しましょう。
 
支給の対象となる人は、学力基準や家計基準(所得・資産)などを満たす必要があります。このうち所得基準は「住民税非課税世帯およびこれに準ずる世帯」となっています。
 
給付額は、学校種や居住形態により異なり、私大自宅外生の場合、住民税非課税世帯では約91万円(年額)が支給されます。授業料等減免に関しては学校種により異なり、私大の場合、住民税非課税世帯では、最大で入学金約26万円および授業料約70万円の減免が受けられます。
 
住民税非課税世帯に準ずる世帯では、所得に応じて住民税非課税世帯の3分の1、または3分の2が支給されます。
 
高等教育の修学支援新制度で不足する分は、日本学生支援機構の貸与奨学金の併用が可能です。ただし、無利子の第一種奨学金との併用については利用に一定の制限があります。

家計急変についての特例内容

一定の事由により家計が急変した場合、「高等教育の修学支援新制度 授業料等減免事務処理要領(第1版)」によると、随時(急変事由の発生後3ヶ月以内)申し込みが可能です。
 
これによると、家計急変の事由として
(1)生計維持者の一方(または両方)が死亡
(2)生計維持者の一方(または両方)が事故または病気により、半年以上、就労が困難
(3)生計維持者の一方(または両方)が失職(非自発的失業の場合に限る)
(4)生計維持者が震災、火災、風水害等に被災した場合

であって、上記(1)~(3)のいずれかに該当、または、生計維持者の一方(または両方)が生死不明、行方不明、就労困難など世帯収入を大きく減少させる事由が発生、となっています。
 
新型コロナウイルス感染症の影響で家計が急変した場合、上記(1)~(3)のいずれにも該当しない場合には、上記(4)生計維持者が震災、火災、風水害等に被災した場合に類するものとして取り扱われます。
 
この場合の事由発生に関する証明書類としては、被災時の罹災証明書に代わるものとして、新型コロナウイルス感染症の影響による収入減少があった者等を支援対象として、国および地方公共団体が実施する公的支援の受給証明書(これに類すると認められる公的証明書)が必要です。
 
また、家計急変後の収入に関する証明書として、事由発生後の所得を証明する書類(給与明細書等)に加え、日本学生支援機構が提供している「進学資金シミュレーター」の「給付奨学金シミュレーション(保護者向け)」を実施した結果のコピーが必要になります。
 
所得に応じた支援区分の見直しは、3ヶ月ごと(急変事由発生から15ヶ月経過後は1年ごと)に急変事由が生じた後の所得が確認され、都度、支援区分が見直されます。
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー


 

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