【現金給付対象】住民税が非課税になる「住民税非課税世帯」って?対象者や優遇制度をチェック
配信日: 2019.09.24 更新日: 2020.09.07
執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
住民税の仕組み
住民税は、大きく所得割と均等割に分けられます。所得割は、所得に応じて課される住民税で市町村民税6%、道府県民税4%の合計10%の税率です。
一方、均等割は定額で課される住民税です。金額は自治体により異なりますが、標準税率は市町村民税3000円、道府県民税1000円、合計4000円です。ただし、防災・減災事業費用確保のため、2023年まで市町村民税は3500円、道府県民税は1500円、合計5000円となっています。
住民税が非課税になるケースとは
住民税が非課税になるのは、所得割が非課税になるケースと所得割と均等割、両方が非課税になるケースがあります。それぞれのケースについて、要件を見てみます。
・所得割が非課税
前年の総所得金額が以下の金額の場合、所得割が非課税になります。
1、扶養親族がいない場合…総所得金額等≦35万円
2、扶養親族がいる場合…総所得金額等≦35万円×(本人+控除対象配偶者+扶養親族数)の人数+32万円
総所得金額等とは、事業所得、不動産所得、給与所得などの所得を合計したもので、生命保険料控除などの所得控除をする前の金額です。例えば、会社員の方で、収入は給料のみ、扶養親族がいない場合、年収が100万円以下なら、所得割が非課税になります。
給与所得は、給料から給与所得控除という必要経費を差し引いて求めますが、給与所得控除の最低金額は65万円であり、この65万円と上記の計算式、35万円を合計すると、100万円になるためです。よってこのケースの場合、年収100万円が所得割非課税のボーダーラインとなります。
・所得割と均等割が非課税
以下の条件のいずれかに当てはまる場合、所得割、均等割とも非課税になります。
●生活保護を受けている人
●障がい者、未成年者、寡婦または寡夫で前年の合計所得が125万円以下(給与収入のみの場合204万4000円未満)であった人
●前年の合計所得金額が条例で定める金額以下の人(東京23区の場合)
1、扶養親族がいない場合…合計所得金額≦35万円
2、扶養親族がいる場合…合計所得金額≦35万円×(本人+控除対象配偶者+扶養親族数)の人数+21万円
合計所得金額とは、例えば、前年に事業所得で赤字があったとすると、その赤字を繰越控除する前の金額をいいます。会社員で給与収入のみの場合は、合計所得金額は給与所得金額となります。
では、シングル家庭で扶養している子どもが2人いる場合の所得金額を計算してみます。上記の計算式2のケースに当てはめると
35万円×3人+21万円=126万円(給与収入205万円)
となり、この金額以下であれば、住民税非課税となります。
なお、住民税非課税世帯とは、世帯全員が所得割も均等割もどちらも非課税の世帯のことをいいます。
住民税非課税によって優遇される制度など
住民税非課税世帯の場合、下記の制度等において優遇があります。
●入院した時の食事代
●高等教育無償化(2020年4月より)
●幼児教育無償化0歳〜2歳クラス(2019年10月より)
●国民健康保険料の軽減措置(自治体による)
●高額療養費:自己負担限度額が引き下がります
自分が適用される優遇制度を確認
住民税非課税世帯になるということは、生活に余裕がないことが多いと思います。自分が住んでいる自治体のホームページを確認するなど、自分が利用できる優遇制度を今一度、確認しておきましょう。
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2019年FP協会広報スタッフ