もうすぐ家系調査ができなくなる!? 戸籍の保存期間が過ぎる前にやっておきたいこと
配信日: 2020.05.06
戸籍は一度作成されたら永遠に保存されるというわけではなく、一定期間が経過すると廃棄されてしまうことがあります。
戸籍はなぜ廃棄されてしまうのでしょうか?
また、戸籍が廃棄されてしまうと、私たちにどのような影響が生じるのでしょうか?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
そもそも戸籍とは?
戸籍とは、国籍や親族関係について記載されている公文書です(※1)。
戸籍は、夫婦と未婚の子を1つのまとまりとして作られており、そこには氏名や生年月日はもちろん、父母、婚姻歴、死亡年月日などその人にとって重要な事項が記載されています。
戸籍は、記載内容によって戸籍謄本と戸籍抄本とに分けられます。
戸籍謄本とは、その戸籍に入っている全員の事項が記載されたものであり、「履歴事項全部証明書」ともいわれます。つまり、家族全員の履歴が記載されたものです。
戸籍抄本とは、戸籍謄本から特定の誰かの情報を抜き出したもので、「個人事項証明書」といいます。
人は婚姻や転籍によって今の戸籍から抜けて新しい戸籍へ移り、死亡によって今の戸籍から抜けることになります。
そうして最終的に誰もいなくなった戸籍は閉鎖されます。
閉鎖された戸籍を除籍といい、その除籍を写して抜き出したものを「除籍謄本」といいます。
すでに取得できなくなっている戸籍も発生している?
戸籍は私たちについて重要な情報が記載されたものです。
そのため、一度作られた戸籍は永久保存されると思われることも多いのですが、実はそうではありません。
仮に一度作られた戸籍が永久に保存されるとすれば、最終的には誰もいない戸籍(除籍謄本)が膨大に出来上がっていくことになります。
それらすべてを保存するとなると、役所がパンクしてしまいますので、除籍謄本には保存期間が定められているわけです。
現行法では、戸籍の保存期間は除籍されてから最低150年とされており、それを過ぎると戸籍が廃棄されたり、取得することができなくなったりしてしまうのです。
このように、戸籍は永久に保存されるわけでもなければ、除籍となったら即廃棄されるわけでもありません。
保存期間が150年と聞くと安心するかもしれませんが、2010年までは保存期間が80年とされていました。そのため、すでに廃棄されてしまい、もう証明が取得できなくなっている戸籍も実際に存在しています。
戸籍の証明が取得できなくなるとどうなるの?
登記や銀行手続きなど、相続手続きの場においては、被相続人の死亡から出生までのすべての戸籍の証明の取り寄せを必要とすることがあります。
ただでさえ慌ただしい相続手続きのなかでは、役所へ行って戸籍の証明を取り寄せることも一大事です。
にもかかわらず、戸籍の証明がすでに保存期間の経過で取得できなくなっていると、相続手続きに支障を来します。
戸籍の証明が取得できなくなることで手続きがストップしてしまったり、専門家に頼らざるを得なくなることもあり、思うように相続手続きを進めることができなくなります。
また、戸籍から先祖を辿ることができなくなることで、完全な家系図を作れなくなったり、自身や家族のルーツを探る家系調査もできなくなってしまいます。
戸籍の保存期間が過ぎる前にやっておきたいこと
戸籍の保存期間が過ぎる前にやっておきたいことは、家系図の作成です。
もし、一族の家系図を作成していないのであれば、早めに作成しておくことをおすすめします。家系図の作成をするためには、戸籍がどうなっているか事前に調べておきたいところです。
人によっては転居や離婚などさまざまな理由から戸籍が複雑になっていることもあります。すでに保存期間の経過により廃棄されてしまっている場合もあるため、早めに確認しておきましょう。
家系図を作成しておくことで、相続の場における相続人の確定や陶器などの手続きがスムーズに進んだり、自身や家族のルーツや親族との関係を知り、家族や親族との繋がりを深めることができます。
まとめ
戸籍は、人が全員抜けて除籍となると、保存期間の経過によって廃棄されてしまうことがあります。廃棄されてしまうと、その戸籍の証明は取得できず、相続や家系図の作成といった場面で影響が生じます。
家系図の作成や相続などで戸籍の証明を必要とする場合は早めに確認しておき、取得できない戸籍の証明がある場合は、何らかの代替手段を考えることが必要になるでしょう。
[出典]
※1 文京区「『戸籍の証明書(戸籍謄本・戸籍の附票等)』に関する質問・回答」
執筆者:柘植輝
行政書士