更新日: 2020.05.08 子育て
実はお得な場合も? 子どもが私立に進学する場合の教育費について
私立の学校に進学した場合の教育費について、チェックしていきましょう。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
私立と公立にかかるお金
まずは、私立の中学高校に進学する場合と、公立の中学に進学して、高校受験をし、公立の高校に進学する場合の学費を確認していきましょう。文部科学省の調査(※)によると、保護者が1年間に、子ども1人当たりに使った学習費総額(学校や学校外活動のために支出した総額)は、以下の通りとなっています。
私立の中学校:140万円6433円
私立の高校 :96万円9911円
公立の中学校:48万円8397円
公立の高校 :45万円7380円
この調査から、学習費総額では公立よりも私立の方が高いことが分かります。しかし、ここで覚えておきたいのが「高校の授業料無償化」についてです。これは、親の所得制限など一定の条件を満たすと、高校の授業料が実質無料となる制度です。
2020年4月の制度変更により、授業料が無料となる範囲が拡大しました。
そのため、両親2人と子ども2人家族の場合、世帯収入が約590万円以下なら、私立高校に通っている子どもの学費が実質無料となります。収入によっては私立高校であっても、経済的な負担を減らして学校に通うことが可能となったのです。
塾にかかるお金は? 私立VS公立
さらに、私立の学校に通うか、公立の学校に通うかを検討する場合、塾にかかるお金についてもチェックすることが大切です。学校の受験対策によっては、私立の中高一貫校のほうが、塾費用が安く済むケースが考えられます。
例えば、子どもが私立の中高一貫校を目指すとします。小学校時代は、中学受験のため塾に通う必要があるかもしれません。一方で、中高一貫校に進学すれば、高校受験がないので、中学校時代に塾に通わなくてよくなるケースも考えられます。
また、私立の進学校の場合、学校の補習などで大学受験対策ができることもあります。塾費用がかからない、もしくは安く済むこともあるでしょう。さらに、進学率の高い私立の高校に通って大学受験で浪人しなければ、浪人時代の塾費用がかからないケースも想定できます。
あくまでも一例なので、ご家庭によっては大きく異なりますが、このように、学校でのカリキュラムが充実している私立の場合は、塾費用が安くなる可能性があるのです。
塾にかかる費用
それでは、具体的に、塾に通うとどのくらいお金がかかるのかを確認しておきましょう(2020年4月時点)。
例えば、大手中学受験の塾であるSAPIXは、2020年度の場合、入室金3万3000円、小学6年生の月額授業料は2万6400円(5教科・月4回の場合)となっています。
高校受験の塾である早稲田アカデミーは、入塾金2万2000円、中学1年生の5教科セット月受講料は2万7000円となっています。さらに、高校卒業生が大学受験予備校の河合塾に通う場合、東京大学文系を目指す受験コースは、入塾金10万円、年間授業料82万円となっています。
このように、塾費用は、見過ごすことができないお金です。単純に、学校にかかる費用だけではなく、塾にかかる費用についても見積もっておくことが大切です。
いかがだったでしょうか。公立の学校に通っていても、たくさんの塾に通っていると、塾費用がかさみ、教育費が膨れ上がるケースがあります。
塾費用にどのくらいお金がかかるのかをチェックした上で、私立に進学するのか、それとも公立に通うのか、という選択を検討するようにしましょう。
[出典]文部科学省「平成30年度子供の学習費調査の結果について」
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者