更新日: 2020.05.13 子育て

収入減で教育費の支払いに困ったら、どうすればいい?

収入減で教育費の支払いに困ったら、どうすればいい?
新型コロナウイルスの影響による収入減のダメージは、長期化するほどより多くの方へ影響が広がっていきます。
 
当面は貯蓄を取り崩しながらなんとか持ちこたえている家庭であっても、時間がたつにつれ負担になるのは固定費の支払いです。
 
なかでも家計に占める割合の大きい固定費である、教育費と住宅ローンは早めの対処がとても大事です。授業料の減額要請の動きも広がっていますが、今回は、現在利用できる教育費の支払いに困ったときの支援制度をご紹介します。
 
波多間純子

執筆者:波多間純子(はだまじゅんこ)

㈱bloom代表。ファイナンシャル・プランナー(CFP(R)),キャリアコンサルタント
 
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「お金しだい」の人生から「自分しだい」の人生への選択をサポート。家計相談28年、相談件数4,000件超。家計相談と合わせて、その方の才能や適職を診断し潜在能力を高める「咲かせようじぶん資産」をテーマに個人セッションとワークショップを開催。
 
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給付型奨学金と貸与型奨学金が家計の急変に対応

教育費の中でも高額なのは大学等の授業料です。新年度を迎えて、家計の急変により、今後の支払いに不安を感じていらっしゃる家庭は多いと思います。
 
このたび、日本学生支援機構は新型コロナウイルスのより収入減に見舞われた方を対象に、緊急支援制度を打ち出しています。大学に通う子どもの学費の工面が難しくなりそうな場合、下記の順番で検討してみてください。
 
1.修学支援制度(授業料等減免および給付型奨学金)
2.緊急貸与型奨学金および増額

授業料等減免と給付型奨学金は所得基準が厳しいが……

修学支援制度(授業料等減免および給付型奨学金)は、4月から始まった低所得世帯等を対象にした返済不要の支援制度です。修学支援制度には「授業料減免」と「給付型奨学金」2つがあります。
 
まず「授業料等減免」とは初年度の入学金や毎年の授業料を一定額まで免除してもらえる制度です。免除された分、個人での負担が少なくて済みます。
 
免除される金額は最大で入学金のうち約26万円(1回のみ)、および授業料のうち約70万円/年です(住民税非課税世帯/私立大学の場合)。国立大学より私立大学のほうが減免額は大きく、世帯の所得額に応じて免除される授業料・入学金の上限に対し2/3または1/3の金額が減免対象となります。
 
もう1つの「給付型奨学金」とは返済しなくてよい、月々支給されるお金です。
 
こちらは国立・私立の別に加えて自宅通学・自宅外通学かにより、支給月額が異なります。最大は私立大学で自宅外通学の場合で支給月額7万5800円です。こちらも所得基準に応じて免除される授業料・入学金の上限に対し2/3、1/3の金額が受け取れます。
 
2つの制度とも、通常は春と秋の一定期間に申し込む上、基準となる所得が前年度のものになりますが、新型コロナウイルスの影響を理由に申請する場合、収入減の見込みにより要件を満たせば対象となりますが、申請期限がありますので確認が必要です。
 
申請には国および地方公共団体が実施する公的支援の受給証明書や給与明細、進学資金シミュレーターの「給付奨学金シミュレーション(保護者の方向け)」を実施した結果の写しなどが必要です。
 
ただし、文部科学省のホームページには「仮に『事由発生に関する証明書類』が手元にそろっていない場合も、ひとまず学校へ申し込みの相談を行ってください」とありますので、とにかく学校へ連絡してみましょう。
 
今回家計の急変で所得要件が合致するとなれば、まず検討したい制度です。

緊急貸与型奨学金および増額

上記の給付型奨学金等の収入基準には当てはまらないものの、収入が下がってしまい学費の工面が大変、という家計には貸与型奨学金(卒業後返済義務のある奨学金)の緊急貸し付けがあります。また、すでに奨学金を利用している学生も、奨学金を増額することができます(上限あり)。
 
なお、貸与型は無利子と有利子がありますが、こちらは通常の奨学金利用の条件と同じで、学生の学力基準と親等の収入基準によって決まります。申し込みは給付型奨学金と同様、通学している学校が窓口になります。
 
大学の授業料は前期・後期の2回にわたって支払うため、年2回のボーナスで工面する家計も少なくありません。しかし、景気の変動を踏まえると、今後のボーナスを当てにしていると思わぬピンチを招きかねません。あらかじめ慎重な計画を立ててください。

ずるずる払い続けるのは危険

どこの家庭でも、子どもの教育費は聖域のため、これだけは払い抜こうと努力するものです。その分日常生活費がひっ迫し、カードローンなどで穴埋めするケースも見られます。
 
しかしながら、カードローンの貸付利息は年2%~15%前後もあるため、借入期間が長引くほど支払利息がかさんでしまします。最悪のケースでは、学校を続けられなくなった上に、生活費分の借金まで残ることも考えられます。
 
先の見通しが立たない状況での判断は大変難しいものですが、まずは給付、だめなら無利子→低金利の有利子の順番で手当ての方法を検討してみましょう。
 
(参考)
日本学生支援機構 新型コロナウイルス感染症に係る影響を受けて家計が急変した方への支援
文部科学省 学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援制度
 
執筆者:波多間純子
㈱bloom代表。ファイナンシャル・プランナー(CFP(R)),キャリアコンサルタント


 

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