【2022年施行】成人年齢引き下げ。成年制度が家庭に与える影響は?

配信日: 2020.08.04

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【2022年施行】成人年齢引き下げ。成年制度が家庭に与える影響は?
2022(令和4)年4月1日より、成人の年齢が現行の20歳から18歳に引き下げられます。それにより、これまで子どもという目で見られていた18歳が、立派な大人として社会から認知されることになります。
 
新しい成年制度が私たちの暮らしと家庭に与える影響について解説します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

成人の年齢が18歳に引き下げられるのはいつから?

2022(令和4)年4月1日より、これまで20歳とされていた成人の年齢が18歳に引き下げられます。
 
2022年4月1日時点で18歳以上20歳未満である人は、その日に成人となります。そして、同年4月1日以降、18歳を迎える人はその誕生日に成人となります。

成人が18歳に引き下げられると何がどう変わる?

法律上、未成年者は1人で有効な契約を結ぶことができません。未成年者が有効な契約を結ぶには、原則として親権者の同意が必要となります。
 
仮に同意のない契約が締結されたとしても、その契約は後から取り消すことができます。また、未成年者は父母の親権に服して生活します。
 
しかし、18歳から成人となるため、18歳から1人で有効な契約を結ぶことができるようになるうえ、父母の親権から脱して生活できるようになります。つまり、これまで自分1人で行えなかったことをすべて、自分の意思で行うことができるようになるのです。
 
具体的には、クレジットカードを作ったり、アパートの賃貸契約をし、親元を離れてひとり暮らしをしたりすることも自身の判断でできるようになります。
 
もちろん、ローンを組むことや金融商品の購入もできるようになります。その他にも、性別の変更申請や国籍の選択、相続の放棄など、単独でできることが大きく増えます。

18歳で成人しても20歳までできないこともある

18歳から成人になるとはいえ、心身の発達や非行防止などの観点から、一部の年齢制限については20歳のままとされます。具体的には飲酒や喫煙がこれに該当します。また、公営競技(競馬や競輪など)についても同様に20歳の年齢制限が課せられます。

子の養育費はどうなる?

仮に18歳で成人となったとしても、養育費については原則として影響はありません。そのため、「子が成年に達するまで養育費を支払う」と取り決めがあった場合でも、従前の通り20歳まで養育費の支払い義務が残ることになります。
 
養育費は、子どもが経済的に未成熟で自立することが期待できない場合に支払われるものです。成人年齢が引き下げられたからといって、養育費の支払い期間まで自動的に引き下げられるわけではありません。

成人式はどうなる?

成人式の実施については、各自治体の判断に委ねられています。多くの自治体では、これまで通り20歳の年に成人式を行うことが予定されています。詳細についてはお住いの自治体にご確認ください。

家庭では子どもをどう教育していけばいい?

世界的に18歳を成人とする流れが主流になっているとはいえ、18歳で完全に成人といえるほど成熟できているとも限りません。高校に通う学生が18歳になった途端、「もう大人だから」といわれても、本人は困惑してしまいます。
 
悪い契約に騙されてしまったり、本人も予期しないような重い責任を負わされてしまったりすることがないように、成人年齢の引き下げについて家庭内で話し合い、大人が守るべきルールと責任について理解させていくことが大切でしょう。

18歳の成人に向け、家庭内での教育を充分にするべき

18歳とはいえ、成人となれば立派な大人として自身の判断で物事を決めていくことが可能になります。その反面、18歳は精神的にも経済的にもまだまだ成熟しているとは言い難い年齢でもあります。
 
成人の年齢が引き下げられた直後は、多くの18歳、19歳の新成人がトラブルに巻き込まれることが想定されます。大人の権利および義務とは何か、どう心構えをしておくべきかなど、家庭内で成人について充分に教育しておくべきです。
 
もし、成人になったばかりの子どもがトラブルに巻き込まれてしまったときは、消費者ホットラインや日本司法支援センター(法テラス)に相談するとよいでしょう。
 
[出典]
法務省民事局参事官室「民法改正 成年年齢の引下げ」
消費者庁「消費者ホットライン」
日本司法支援センター 法テラス「法テラス 公式ホームページ」
 
執筆者:柘植輝
行政書士


 

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