コロナ禍でずっと家にいて、長年使っていない預金通帳を発見した! これって、どうしたらいいの?
配信日: 2020.08.08
仕事も在宅・テレワークが推奨され、学校も休校、そして飲食店でも一時休業や営業時間短縮が続出。
家庭ごみの急増もこの効果だといわれますが、在宅時間が格段に長くなって身の回りのさまざまなモノを整理する機会も増えたのではないでしょうか。
執筆者:上野慎一(うえのしんいち)
AFP認定者,宅地建物取引士
不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。
「休眠預金」とは
そんな状況の中、長年利用のなかった預金通帳を発見したケースも結構あるようです。思いがけない大金でなくても、数千円単位の残高があったという方も少なくないかもしれません。
このように忘れ去られて長年利用されていない預金を社会のために有効活用する目的で、2018年1月に施行されたのが「休眠預金等活用法」です。関係機関によるパンフレット(※1)では、次のような概要が説明されています。
<「休眠預金」とは>
・2009年1月1日以降に最後の移動(入出金等の取引)をしてから10年以上、移動がない預金。
・普通預金、定期預金、定期積金などが対象。
・財形貯蓄や外貨預金などは対象外。
<「休眠預金」を何に使うの>
・休眠預金等活用法に基づき、民間公益活動のために活用する。
<「休眠預金」になったら、もう引き出しできないの>
・休眠預金になっているかどうかは、通帳や口座番号などを用意して取引金融機関に問い合わせて確認できる。
・通帳、取引(届出)印、本人確認書類等があれば、引き出しできる。
休眠預金になったら問答無用で自動的に“没収”されてしまうわけではなく、気がついた後に必要書類等がそろっていれば引き出しできる点がポイントです。
また、さらに古くて、[最後の移動から10年経過した日]や[最後に移動した日]が2009年1月1日よりも前の預金は、そもそも休眠預金制度の対象外になります。こちらも、金融機関によって取り扱いや手続きは分かれますが、通常は引き出しできるようです。
どうやって解約するの
ここで、通帳を見つけたけれどその名前の銀行がもうないケースはどうなるのか気になります。近くであれば店舗のある現地に行ってみるのも一手でしょうが、大昔の居住地などとても遠い場所となると、できない話です。
そんなときは、ネットで古い銀行名を検索すれば現在の銀行名を調べられます。また、平成以降の変遷ならば、全国銀行協会のサイト(※2)でビジュアルに確認できます。
また、今の銀行名が分かったとしても通帳に記載された店舗がそのままあるとは限りません。廃止されたり、他の支店と統合や共同店舗化をされて、かつての現地に店の影も形もないことだって珍しくないのです。
このように長期間使っていない預金口座の取り扱いについて、多くの銀行で次のように案内されています。
(1)近くの本支店に本人が来店して相談する。
(2)その際に、「通帳」、「キャッシュカード」、「届出印」、「運転免許証等の本人確認書類」などを持参する。(一部を紛失していても、個別に対応できる場合あり)
(3)解約する場合、口座の状況を確認するので支払いに日数を要することがある。
通帳に記載された店舗(本支店)ではなく、近くの本支店で相談ができますが、内容によってはある程度時間がかかるようです。一方、コロナ禍の影響継続で銀行窓口を訪れるのは、重要で急ぎの用件だけに絞り込む姿勢が引き続き要請されています。
そうなると、「巣ごもり」などでたまたま見つけた昔の通帳の預金解約などは、(金額にもよるのでしょうが)世の中が少し落ち着くまで待ってからアクションを起こしても遅くはなさそうです。
まとめ
忘れていた昔の預金は、必要性や利便性がなくなったから使われずに放置されたはず。今使っている銀行や預金は、そんなことが絶対にないのでしょうか。
店舗のネットワークや自行以外のATMなどの使い勝手、振込手数料など負担の高低、預金以外のサービスメニューの豊富さやコストの高低等々、サービスを提供する側の銀行もどんどん姿を変えています。また、利用する側でもニーズや重視したいポイントは、時代や本人のライフステージ・生活スタイル・価値観などによって変化を続けるのが当然でしょう。
今の自分にとって使い勝手がよい銀行はどこなのか。定期的にチェックを続けて、必要があればためらわずに変更していくことも大切です。そして不要だと判断した銀行の口座は、その都度忘れずに解約しておくのがベストでしょう。
[出典]
(※1)内閣府、一般社団法人全国銀行協会、金融庁「長い間、お取引のない預金はありませんか?」
(※2)一般社団法人全国銀行協会「教えて!くらしと銀行」~「平成元年以降の提携・合併リスト」
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士