使わなくなった銀行の預金口座、10年以上放置していると没収されるって本当?
配信日: 2019.12.27
2018年1月1日に「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」が施行され、2019年1月1日より「休眠預金」が発生する運びとなりました。今回はその「休眠預金」について紹介します。
執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員
会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。
親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp
休眠預金とは
休眠預金とは、10年以上「異動」がない預金などのことをいいます。この「異動」とは、主に入出金などの取引のことです。残高照会や記帳が異動とみなされるかどうかは金融機関によって異なります。詳しくはそれぞれの金融機関に確認してください。
また、休眠預金の対象になるのは2009年1月1日以降に最後の異動があった預金です。したがって、2009年1月1日より前からまったく取引のない預金、例えば15年、20年前に最後の入出金をした預金などについては「休眠預金」として扱われません。
休眠預金の対象となる預金
休眠預金の対象となるのは、普通預金だけではありません。定期預金、貯金、定期積金なども含まれます。具体的には、普通・通常預貯金、定期預貯金、当座預貯金、別段預貯金、貯蓄預貯金、定期積金、相互掛金、金銭信託(元本補填のもの)、金融債(保護預りのもの)と多くの種類が対象です。
一方、財形住宅や財形年金といった特定の目的のための預貯金、障がいがある方のためのマル優の適用となっている預貯金、外貨預金などの預金保険制度の対象とならない預金などは対象外です。
具体的には財形貯蓄、外貨預貯金、譲渡性預貯金、仕組預貯金、金融債(保護預りなし)、マル優口座などがあります。また、2007年10月1日(郵政民営化)より前に郵便局に預けられた定額郵便貯金等も対象外です。
この機会に、自分がどのような預貯金にお金を預けているかについても確認しておくとよいでしょう。
休眠預金になってしまったら
休眠預金になってしまっても、取引のあった金融機関で引き出すことができます。通帳やキャッシュカード、本人確認書類などを持っていく必要があります。万が一、通帳やキャッシュカードを紛失した場合でも本人確認書類などで引き出すことができます。また、引き出しの期限もありません。
しかし休眠預金になると、その預金は預金保険機構に移管されてしまいます。そのため、ATMで残高照会や引き出しができないなどの制限や、休眠預金を引き出す手続きに時間がかかるなどの不便が生じる可能性があります。詳細についてはそれぞれの金融機関に確認するとよいでしょう。
休眠預金になりそうな預金がある人には通知が届く場合があります。1万円以上の残高があると、最後の取引から9年が経過し10年6ヶ月を経過するまでの間に届きます。この通知を受け取った場合には休眠預金になりません。
しかし、連絡先の変更をしていないなどで通知が届かないこともあります。この場合は金融機関がホームページなどで公告しますが、気付かないことも多いでしょう。また1万円未満の場合は通知がありませんので、そのまま休眠預金になります。
2007年9月30日以前に預けた定額・定期・積立郵便貯金等には注意
2007年10月1日の郵政民営化の以前に、郵便局に預けた定額貯金、定期貯金、積立郵便貯金などは注意が必要です。これらは「休眠預金」の対象外です。しかし、旧郵便貯金法の規定により満期後20年2ヶ月たつと権利が消滅し、払い戻しが受けられなくなります。
満期のときに「満期のご案内」、満期後10年間払い戻しをしていないときに「満期後10年経過のお知らせ」、そして満期後20年経過しても払い戻しをしていないときには「権利消滅のご案内(催告書)」が届きます。古い郵便貯金の通帳が出てきたときは注意しましょう。
銀行口座もたくさん持っていると管理するのが大変です。使わなくなった口座は解約するなど、これを機会に整理してみてはいかがでしょうか。
出典
内閣府・金融庁「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律 説明資料」
金融庁「長い間、お取引のない預金等はありませんか?」
金融庁「休眠預金等活用法Q&A(預貯金者の方などへ)」
郵政管理・支援機構「重要なお知らせ(郵便貯金) 郵便貯金の払戻しには期限があります。」
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員