潰瘍性大腸炎も対象! 難病医療費助成制度って知っている?
配信日: 2020.09.10
今は健康な方でも、こうした制度があるということを知っていると将来の安心につながるかもしれませんし、民間の医療保険を見直す際にも役立ちます。詳しく見ていきましょう。
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
難病医療費助成制度とは?
「指定難病」の患者で、その症状が重い方、または軽症でも医療費が一定額以上になる方は、医療費の助成を受けることができます。
●指定難病とは
指定難病とは、次の6つの条件をすべて満たす疾病と定義されています。
・発病の機構が明らかでない
・治療方法が確立していない
・希少な疾病である
・長期の療養を必要とする
・患者数が本邦において一定の人数(おおむね人口の0.1%)に達しない
・客観的な診断基準が確立している
該当する疾病の数は年々増えていて、現在は333種類です。例えば、潰瘍性大腸炎、もやもや病、パーキンソン病、重症筋無力症、クローン病などが挙げられます。
その症状の程度が厚生労働大臣の定める程度に該当する、もしくは月ごとの医療費総額が3万3330円を超える月が年間3回以上ある場合、助成の対象です。
●どれくらいの助成を受けられる?
今まで医療費を3割負担していた方の場合は、2割負担になります。もともと2割負担や1割負担だった方は変わりません。
また、月ごとの医療費の自己負担上限額が以下のように決められています。
医療費の自己負担が上限額を超えた分を支給してくれる「高額療養費」という誰でも利用できる制度がありますが、指定難病の場合はその上限がさらに低く設定されていて、負担の軽減が図られています。
難病医療費助成制度を利用するにはどうすればいい?
この制度を利用したいと思ったら、まずは専門知識や治療経験を持つ「難病指定医」の診察を受け、診断書を書いてもらう必要があります。どの病院のどの先生が難病指定医なのかは、「難病情報センター」のホームページなどで検索できます。
その診断書以外にも以下のような書類を用意し、都道府県または指定都市(札幌市、名古屋市など特に大きな都市)の窓口に提出します。
・申請書
・健康保険証のコピー
・市町村民税の課税状況の確認書類
・世帯全員の住民票の写し
都道府県等によって必要な書類が違うことがありますので、確認が必要です。
手続きが済んで都道府県での審査に通過すれば、「医療受給者証」というものが手に入ります。これを指定医療機関で提示すれば、先述の医療費助成が受けられるようになります。
医療費の負担を軽減する制度を知って活用しよう
医療費の負担を軽くするための公的な制度は、あまり知られていないものも含め数多くあります。
難病医療費助成、高額療養費、傷病手当金、医療費控除、自立支援医療など、病気やケガで医療費がかさんで困ることがないよう、こうした制度についてざっくりとでも知っておき、いざというときにはすぐに申請して活用できるようにしておくのが理想ですね。
もしものときも、「お金がないから」とあきらめずに、頼れる制度はないかよく調べてみましょう。
(出典)
厚生労働省「難病対策」
厚生労働省「難病対策の概要」
公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター「都道府県・指定都市別「難病指定医」一覧」
東京都福祉保健局 「難病医療費助成の支給認定申請手続等」
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表