2017.10.06 ローン

家の購入を考えたくなる、でも住宅ローンが組めない3つの時期① ~転職の前後

Text : 福島 えみ子

この時期だけは住宅ローンを組むのがむずかしい―人生にはそういった時期があります。ところが、ファイナンシャル・プランナーとして住宅購入相談をお受けしていると、これらの時期に住宅購入を考える方は、実は意外に多いのです。住宅ローンのハードルがぐっと上がるその時期とはいったいいつなのでしょうか?多いもの3つを3回にわたりご紹介します。今回はその1回目です。

転職すると家が買いたくなるのは!?

 
「転職するタイミングでこの際家を買おうと思っています」。転職のタイミングで勤務場所が変わるという方をはじめ、場所は変わらなくても転職して環境が変わるタイミングで心機一転、家の購入を考える方は多いようです。
また、「勤め始めて間もない時期は住宅ローンの審査が通りにくい」― このことがメディア等を通じて周知されている昨今、「転職が決まったので、住宅ローンが組みにくくなる前に家を買っておきたい」といった、いわゆる“駆け込み”が動機で相談に訪れる方も少なくありません。

転職前後の住宅ローンはどうなる?

 
では、こうしたタイミングでの住宅ローンはどうなるのでしょうか?
まず、転職後間もない時期は、一般的に住宅ローンの審査のハードルが高く、勤続1年以上、3年以上などその基準は金融機関によって異なります。ただし、年収がアップする転職など条件や状況によっては審査がOKとなる場合もありますし、住宅金融支援機構のフラット35のように勤続要件を基本的に問わない場合もあります。
 
一方、転職前は、それら審査基準の影響を受けず、“駆け込みセーフ”で住宅ローンを組めるように見えるかもしれません。しかし、転職が近いことがわかっていながら金融機関に知らせず契約すれば、ローン契約の“金融機関への報告義務”に反する場合もあります。
 
しかも、例えローン審査は通ったとしても、自分が転職後も安定してローン返済をしていけるか?という問題とはまた別です。“駆け込み”に気を取られるあまり、この視点がおろそかになっているケースも実際にはよくあるのです。
 
そして特に気をつけたいのが、新築マンション購入や注文住宅など、申込みから建物が完成して実際に入居するまでのタイムラグが大きい場合。住宅ローンの仮審査・申し込みまでは難なく進んでも、実際にローンが実行されるのは建物完成後。その時すでに転職してしまっているとローンが通らないこともあり得るのです。いざマイホームへの入居というときにローンというハシゴをはずされてしまっては目もあてられません。

転職をはさんで、家を買っておきたい、家のことをきちんとしておきたいというお気持ちはよくわかりますが、住宅ローンは長い期間返し続けるもの。現在・将来のライフプランやキャリアプランまでを見越したうえでの早め早めの計画こそが大切なのです。
 

ではどうする?

 
早め早めに家の購入をプランニングしておきたいとはいっても、転職を機に通勤先も変わり、ライフプランから見てもこの時期に家を買うのがベストという場合もあるかもしれません。そのときは、まず、金融機関目線で自分の状況でアピールできる要素を整理し、審査で受け入れてくれる金融機関を丁寧に探すという手もあります。
 
金融機関の審査は一律ではないからです。また、勤続年数は問わない全期間固定金利のフラット35を利用するのもひとつです。
 
また、転職してしばらくの時期は、”今は頭金を貯める時期と割り切るのも大切です。頭金が多ければ多い程、支払う借入利息総額は少なくなるからです。しばらく働いてみないと、自分自身、その転職先で落ち着けるかどうかもわかりません。
 
まずは、転職前後の時期は心理的に家を購入したくなるということを知っておくだけでもあらかじめ対策を立てやすくなるのではないでしょうか。意識しておくだけでも違います。「そのときになったら考える」「時期が来たら考える」ではなく、いずれ家を持ちたいと考えているなら、まずは購入物件の検討の前に早めのマネープランを考えておくことをおすすめします。

福島 えみ子

Text:福島 えみ子(ふくしま えみこ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
マネーディアセオリー株式会社 代表取締役
リュクスセオリーFPサロン 代表

大学卒業後、都市銀行に入行。複数の銀行、法律事務所勤務中に、人生の悩みは結局のところお金と密接に関係することを痛感、人生をより幸せで豊かにするお手伝いがしたいとファイナンシャルプランナーに。FP会社にて勤務後、独立。これまで500件以上の個人相談を担当すると共に、セミナー、執筆と幅広く活動。相続・資産運用・住宅相談・リタイヤメントプラン等を得意とし、個人相談にも力を入れる一方で、セミナーや企業研修、執筆を通じてわかりやすくお金の知識を発信することに注力している。

http://mdtheory.co.jp/

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