更新日: 2021.02.12 住宅ローン
【相談事例】住宅ローンの繰り上げ返済と資産運用、どちらを優先させるべき?
老後にローンが残らないように少しでも早く繰り上げ返済をするべきか、今から老後に向けて資産運用をした方が良いのか迷っています。どちらの選択が良いでしょうか?
執筆者:下田幸彦(しもだゆきひこ)
ファイナンシャルプランナー(AFP)
ファイナンシャルプランナー・住宅ローンアドバイザー・証券外務員二種・FP事務所・青い森マネードクターズ 代表
青森県出身。大学卒業後IT企業に入社。金融系システム構築をきっかけにFP資格を取得。
保険ショップ店長、東証一部上場ハウスメーカー金融担当者を経て2016年独立。
10年にわたる保険業界と住宅業界の経験をもとに、保険などの金融商品を販売しない独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を重視した中立な立場のアドバイスを行っています。
個別相談を中心に企業や学校へのマネーセミナー、各メディアへのコラム執筆も担当。
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マイホーム取得時の年齢と住宅ローンの返済年数
国土交通省の「平成30年度 住宅市場動向調査 ~調査結果の概要~」によると、注文住宅の場合、初めて住宅を取得したときの世帯主の平均年齢は40.4歳、住宅ローンの返済期間は平均31.6年となっています。
このデータを見ると最終返済は70歳近くになりますので、ご相談者さまの状況は平均的なものといえます。
住宅ローンの繰り上げ返済、2つの方法
住宅ローンの繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に借入金の一部(または全部)を返済することをいいます。通常、毎月の返済では元本と利息分を合わせた金額を支払いますが、繰り上げ返済は全額が元本の返済に充てられるため、利息軽減効果があります。
繰り上げ返済には2種類あります。「期間短縮型」と「返済額軽減型」です。
期間短縮型とは、繰り上げ返済後の毎月の返済額は変えずに返済期間を短くする方法で、早く返済を終わらせたい人に向いています。
一方、返済額軽減型とは、繰り上げ返済後も返済期間は変えずに毎月の返済額を減らす方法です。こちらは毎月のローン返済が家計を圧迫している人に向いているといえます。
一般的に期間短縮型の方が利息軽減効果が高く、総返済額は少なくなりますが、どちらを選ぶかは繰り上げ返済の目的によって異なります。
低金利なら無理に繰り上げ返済をせず老後準備を
住宅ローンの繰り上げ返済は金利が高いほど利息軽減効果は高くなりますが、現在は歴史的に見ても低金利が続いています。このような状況下では、繰り上げ返済以外の方法についても検討してみる価値があります。
例えば、まとまった貯蓄や毎月積み立てた金額を繰り上げ返済へ回す代わりに、投資信託などの運用商品に回すことで、住宅ローン金利よりも高い利回りが得られて「住宅ローン利息の支払総額 < 資産運用による増加額」となればよし。と考えることもできます。
65歳まで資産運用を継続しながら資金を増やし、その一部を繰り上げ返済に回す方法もあるでしょう。
ただし、価格変動リスクがある運用商品の場合、投資元本割れの可能性もありますので注意が必要です。もし運用リスクに不安を感じるなら、現在加入中の貯蓄型保険に高予定利率のときの契約がないか確認してみましょう。保険の予定利率が契約期間中は維持されますので、リスクは限定的となります。
さらに、住宅ローンの団体信用生命保険の保障効果についても考えてみましょう。一般的に年齢が上がるにつれて死亡リスクが高くなるため、ローン返済期間の後半は団体信用生命保険の保障の重要性が増すことになります。
期間短縮型の繰り上げ返済をした場合は手持ちの現金は減り、保障期間は短くなりますが、仮に住宅ローンの返済を継続しながら同時に老後資金準備(資産運用)を行うと、返済途中で死亡した場合には団体信用生命保険によりローン残高ゼロ、かつ老後準備資金が残ります。
まとめ
住宅ローンの返済と老後の資金準備を考えるときは、繰り上げ返済か、資産運用かの二者択一ではなく、バランスのとれた総合的な選択が大切です。
国土交通省 住宅局 「平成30年度 住宅市場動向調査 ~調査結果の概要~」
執筆者:下田幸彦
ファイナンシャルプランナー(AFP)
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※審査の結果によっては保証付金利プランとなる場合があり、この場合には上記の金利とは異なる金利となります。金利プランが保証付金利プランとなる場合は、固定金利特約が3年、5年、10年に限定されます
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