今回は、個人事業主はなぜローン審査に通りにくいのか、ローン審査で気を付けるべきポイントなどを詳しく解説します。
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監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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目次
個人事業主は住宅ローン審査に通りにくいのか
正社員や公務員は、会社に勤めている限り、毎月決められたお給料が支払われます。安定した収入があるという点では、返済能力が高いと判断されやすいでしょう。
しかし、個人事業主は事業環境の変化や、病気・けがによる休業によって、ダイレクトに収入に影響する可能性が高いことから、収入が不安定だと判断されがちです。
そのため、個人事業主は、正社員とは異なる基準で住宅ローン審査が行われます。
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個人事業主の住宅ローン審査で気を付けるポイント
個人事業主が正社員とは異なる基準で住宅ローン審査が行われる理由については、上で紹介したとおりです。そこで、個人事業主が住宅ローン審査で気を付けるべき8つのポイントを詳しく解説します。
これから、住宅ローンを組もうか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
所得が安定しているか
個人事業主の住宅ローン審査で、金融機関がもっとも重要としているポイントの1つに、「所得額」と「安定性」が挙げられます。
正社員の場合、額面の年収を見て審査されますが、個人事業主は売り上げから社会保険料控除や経費などを差し引いた「所得」が対象となります。また、収入が正社員よりも不安定であることから、ほとんどの金融機関が審査の際に直近2~3年分の確定申告の提出を求めています。
そのため、個人事業主は少なくとも、数年間事業を継続していることが大前提となります。また、節税のためにと多く経費を計上していると、所得額が少なくなるため注意が必要です。
必要であれば修正申告する
個人事業主の中には、税金対策のため所得を少なくしている人もいるでしょう。所得額を増やすために、修正申告という方法があります。過去5年分さかのぼって確定申告を修正できるため、所得額を増やしたい人におすすめです。
しかし、所得を多く申告する分、支払う税金が増える点に注意しましょう。資金に余裕がない場合は、修正申告後に税金が払えなくなる可能性があります。
税金や保険など滞納していないか
個人事業主の多くは、税金や保険料・経費の支払いなどを、ご自身で手続きを行って支払いしているはずです。毎日忙しいと、ついつい支払いを後回しにしがちですが、税金や保険などを滞納していると、住宅ローン審査に影響する恐れが。
特に住宅ローン審査では、未納の税金がないかどうか確認するために、納税証明書の提出が求められます。未納のまま申し込みをしないためにも、未納がないか必ず確かめて、すべて納税してから手続きを行ってください。
また、住宅ローン以外のローンやクレジットカードの延滞は、会社員と同様に延滞履歴をチェックされるため注意が必要です。
事業内容を銀行に伝える
事業内容の詳細を銀行に伝えるようにしましょう。個人事業主の場合、所得が安定していても事業内容が銀行に理解されない場合、住宅ローンの審査が難しくなるケースもあります。
事業内容を伝える方法として、会社のホームページを見せるなど工夫するとよいでしょう。
一時的に収入を増やす
個人事業主は仕事量を自由にコントロールできるため、一時的に収入を増やせます。例えば、1年のうちの3ヶ月仕事量を増やしていくだけでも年収アップがかないます。3ヶ月という短期間であっても年収を増やし、住宅ローンの審査を通りやすくしましょう。
自己資金を手厚くする
個人事業主は正社員と比べると、安定性が低いと判断されがちです。そのため、資金に余裕があれば、自己資金を十分に用意しておきましょう。
頭金を申込時に用意できれば、借入希望額を減らせるので、一般的には審査に通りやすくなります。
自宅・事務所兼用なら住居の割合を2分の1以上にする
個人事業主の多くが、自宅と事務所を兼用しているのではないでしょうか。もし、兼用しているのであれば、住居の割合を2分の1以上にしてください。
住宅ローンが使えるのは、原則として居住部分だけと決められているため、本来であれば事務所部分には住宅ローンを使うことはできません。
しかし、床面積2分の1以上が住居スペースであれば、住宅ローンが組める金融機関もあります。申し込みの際には、必ず兼用に関する条件をチェックしておきましょう。
審査が通りやすい金融機関を探す
住宅ローン審査は、金融機関ごとに審査で見るポイントが異なります。そのため、同じ申し込み内容でも、審査に落ちる金融機関もあれば、審査に通る金融機関もあります。
住宅ローン審査は仮審査・本審査と時間がかかるものなので、少しでも審査に通りやすくするためにも、あらかじめ審査が通りやすい金融機関を探しておきましょう。
近年では、個人事業主に対して、審査が通りやすいように力を入れている金融機関もあります。もし、審査に通るか不安だという方は、申し込みをする前に、金融機関の窓口で相談してみるのもおすすめです。
個人事業主の住宅ローン申し込みで必要な書類とは
個人事業主の住宅ローン審査は、正社員とは異なるポイントで行われますが、必要書類も異なるのでしょうか。ここでは、個人事業主が住宅ローン申し込みの際に、必要な提出書類について詳しく解説します。
申し込みの時点で慌てないためにも、事前に必要な書類をチェックしておいてください。
本人確認書類
個人事業主の住宅ローン申し込みで必要となる、本人確認書類は以下を参考にしてください。
●健康保険証
●運転免許証
●パスポート
●個人番号カード
●住民票写し
●公共料金の領収証
健康保険証は必須書類となるため提出が必要です。運転免許証などは、いずれか1点用意できれば問題ありません。
収入証明関係の書類
次に、収入証明関係の書類について見ていきましょう。
●確定申告書控え(税務署の受付印があるもの)
●所得税の納税証明書
収入証明書は、金融機関によって異なりますが、直近2~3年分の確定申告書控え・所得税の納税証明書が必要です。直近1年のものだけでは個人事業主の場合、収入が安定しているかどうかの判断が難しいため、必ず数年分の用意をしてください。
また、確定申告書は受理したかどうか分かるものが必要です。e-Taxで提出した場合は、申告したデータを用意してください。
物件関係の書類
物件関係の書類とは、購入予定の物件のことが分かる書類です。
●売買契約書
●重要事項説明書
●購入予定物件の販売チラシ
●間取り図など
まだ物件を購入していない場合は、購入予定の物件内容が分かる書類を用意してください。さまざまなケースがあるかと思いますので、必要書類の判断に迷った場合は、担当者に相談することをおすすめします。
返済関係の書類
返済関係の書類は、住宅ローンに申し込みする段階でほかのローンやキャッシングなどの利用がある場合に必要となります。既存の借り入れがない場合は、準備する必要はありません。
●返済予定表
●返済口座の通帳
返済口座の通帳は、口座名義人・口座番号・直近3ヶ月の返済状況が確認できるページのものを準備してください。
ほかにローンを組んでいると、どうしても住宅ローン審査に影響するのではないかと不安になって、つい隠してしまいたくなるでしょう。しかし、ほかの借り入れ状況は、調べればすぐにバレてしまいます。
隠したまま申し込みをすると、かえって印象が悪くなるため、隠さずに正直に申告することが大切です。
審査に不安があるなら事前に金融機関に相談すること
個人事業主は、会社員よりも住宅ローンが組めるかどうかという不安が大きいでしょう。また、住宅ローンが組めたとしても、借入希望額通りの金額が借りられるのかどうかなど、たくさんの不安があります。
もし、住宅ローン審査に不安があるなら、申し込み前に金融機関に相談してみてください。何も相談しないで住宅ローンに申し込みするよりも、担当者に話を聞いてもらったほうが、心もスッキリするはずです。
また、担当者と仲良くしておくことで、住宅ローンを組んだあとも相談しやすくなるというメリットがあります。例えば、結婚して子どもが生まれたことで、家計が大変になってしまった場合、住宅ローンの見直しを考える必要が出てくるかもしれません。
そのような時も、担当者に相談すれば借り換えや延長など、その人に合った提案をしてくれるでしょう。
現在は直接店舗に来店しなくても、テレビ電話やオンラインなどを使った方法で相談できる金融機関も増えています。ぜひ、ご自身に合った方法で相談して、不安を解消してください。
個人事業主におすすめの住宅ローン
個人事業主は、会社員と比較すると住宅ローンの審査が通りにくいといえます。しかし、住宅ローン選びを工夫すれば、審査は難しいものではありません。ここでは、個人事業主におすすめの住宅ローン2種類について解説します。
フラット35
フラット35は、勤務形態・職業・勤続年数などに制限が少ない住宅ローンです。より幅広い人が利用できるため、個人事業主におすすめの住宅ローンといえます。
フラット35の特徴をみていきましょう。
・返済期間は最長35年
・保証人はいらない
・団体信用生命保険への加入義務がない
・提出する確定申告書類は直近2年分で良い
フラット35は制限が少なく、個人事業主を含め多くの人が借りやすい住宅ローンです。
多くの金融機関では、提出する確定申告書類は3年分であるケースが多いものの、フラット35では2年分の提出で構いません。近年所得が増えた・事業を始めたばかりの個人事業主にとって、審査が有利に進むでしょう。
ペアローン
所得の少ない個人事業主には、ペアローンがおすすめです。ペアローンは同一物件に対して複数の債務者がローンを組み、お互いを連帯保証人としながら返済していきます。同居していれば、夫婦・同性パートナー・親子でペアローンが可能です。
2本立てのローンで返済する仕組みであるため、合計融資額を増やしつつそれぞれの返済比率を抑えられるメリットがあります。
個人事業主が借りられる住宅ローン額の目安
個人事業主が住宅ローンを借りる際の金額の目安を知っていきましょう。無理のない返済計画となれば、住宅ローン審査も通りやすくなります。
返済負担率
返済負担率とは、税込年収に占める住宅ローンの年間返済額の割合です。例えばフラット35では、借入限度額を返済率30~35%以下と定めています。
返済負担率は、計算式【年間の返済金額÷年収×100】で把握できます。年収が400万円、年間の返済金額を120万円とし、計算しました。
120万円÷400万円×100=30%
返済負担率は30%という計算になりました。30%であれば、借入限度額内に収まります。
返済負担率を知ることで、住宅ローンでいくら融資してもらえるか目安がわかるでしょう。
住宅ローンシミュレーション
フラット35のサイトでは、住宅ローンの借入可能額を簡単に計算できます。フラット35でシミュレーションしてわかるのは、以下の3点です。
・借入金額をもとに毎月の返済額を知る
・現在の年収から借入可能金額を知る
・毎月の返済額から借入可能金額を知る
簡単に住宅ローンシミュレーションができるため、自身がいくら借りられるかわからない人は活用してみましょう。
個人事業主でも住宅ローンは組める!
個人事業主は、正社員とは異なる基準で住宅ローンの審査が行われます。必要書類も本人確認書類や収入関係の書類、返済関係の書類などさまざまなものがありますので、忘れずにしっかりと準備してください。
特に、これから申し込もうとしている住宅ローン以外に別のローンを組んでいる方や、カードローンやキャッシングを利用している方は、返済予定表などの書類の提出が求められます。隠そうとしても、すぐにバレてしまうものなので、正直に漏れなく準備しましょう。
個人事業主は、住宅ローンが本当に組めるのかどうか、不安を感じている方も多いはずです。少しでも不安を解消するためにも、積極的に金融機関に相談しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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