今の住宅ローン VS 未来の住宅ローン 今後の金利はどうなるのか

配信日: 2018.05.24 更新日: 2020.07.03

この記事は約 6 分で読めます。
今の住宅ローン VS 未来の住宅ローン 今後の金利はどうなるのか
米国の利上げの発表など、世界的には上昇してきた長期金利ですが、日本ではいつまで史上最低ともいわれる超低金利状態が続くのでしょうか?
 
今後の国内外の景気や金融政策、また、これから数年で予定されている東京オリンピック開催や消費税増税などのイベントにも注視しながら住宅ローン金利の動向について考えてみましょう。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

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ただし、審査の結果保証会社をご利用いただく場合は「保証付金利プラン」となり、金利タイプをご選択いただけません。

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そもそも住宅ローン金利はどうやって決まる?

まずは、変動金利と固定金利がどのように決まるのかについて、その仕組みを確認してみましょう。
 

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変動金利が決まる仕組み

変動金利は、そもそも銀行の貸し出し金利である「短期プライムレート」(金融機関が優良企業に短期で貸し出す際の最優遇金利)に連動する仕組みとなっています。
 
また、その短期プライムレートは、日銀の政策金利に連動する仕組みとなっています。つまり、変動金利の変動要因は日銀の金融政策の一環としてコントロールされていることになります。
 

固定金利が決まる仕組み

一方、長期固定金利は、代表的な指標として「10年物国債利回り」に連動します。
 
さらに、政府は長期的なデフレ経済からの脱却に向けて、2016年9月に日銀による「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」と呼ばれる金融政策を導入しました。
 
これにより、長期金利(10年物国債利回り)は0%程度で推移するように、日銀による国債の買い入れオペなどが行われ、金融緩和策としてコントロールされている状態です。
 
「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みは、主として2つの要素から成り立っており、ひとつが金融市場調節によって長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」、もうひとつが消費者物価上昇率の実績値が安定して2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」です。 
 
上記の通り、変動金利も固定金利も日銀による金融政策により実質的にコントロールされている状態です。
 
2018年4月に続投となった黒田日銀総裁の下、「安定的な2%の物価上昇目標」の達成が見込めるまでは、現在の金融緩和政策を続けることが明確とされています。
 
ちなみに、2%の指標となる消費者物価指数(CPI)は、2017年の平均で、総合:0.5、生鮮食品を除く総合:0.5、生鮮食品及びエネルギーを除く総合:0.1となっており、安定的な2%の目標達成の見通しはまだまだ先(少なくとも2019年以降)とされています。
 

2018年の住宅ローン金利動向予測

少なくとも2018年には2%の物価上昇率の目標達成は難しいと想定されるため、引き続き金融緩和政策が実施されることが確実視されています。
 
そのため、変動金利については、現状の低金利の水準が継続するものと予想されます。さらには、ネット銀行を中心とした変動金利の優遇競争が激化しており、状況によっては若干金利が低下することも考えられます。
 
固定金利についても、先に述べたように日銀による金融緩和政策(国債の買い入れオペ)は継続される見通しとなっているため、基本的に今の水準が継続するものと予想されます。
 

2020年東京オリンピックの住宅ローン金利への影響

一説には、東京オリンピック開催の経済効果は約30兆円超とも試算されています。いずれにしろ、今後の日本全体の経済、雇用、インフラの整備、インバウンドなど多方面に大きな影響をもたらすことに間違いはありません。 
 

それでは住宅ローン金利への影響はどうでしょうか?

2013年9月に2020年のオリンピック開催地が東京に決まりました。その直後の報道では、オリンピック開催に向けた経済効果によりGDPが引き上げられ、好景気に突入する可能性があると報じられました。
 
そのため、住宅ローンの金利も上昇するとの予想が大勢を占めていました。しかし、ふたを開けてみると2013年以降の住宅ローン金利は大幅に下落し、予想は大外れとなりました。
 
つまり、東京オリンピックの経済効果は決して小さいものではなく、金利上昇圧力につながるイベントのひとつではありますが、現環境下での住宅ローン金利には大きな影響を与えるほどではないと予想されます。
 

中長期的な動向予測

これまで見てきた通り、日本の住宅ローン金利は中長期的に見ても「本格的に」金利が上昇する機運はほとんど見つけることができません。
 
日銀による金融政策により金利水準自体がコントロールされている状況であることに加え、インフレ率が引き続き低迷している中、2%のインフレ目標達成に向けて努力している日銀が金融緩和策を早々に終了させることは難しいと思われます。
 

それでは、いつ金融緩和策はいつ終了するのでしょうか?

2019年10月の消費税10%増税後には、過去の事例から見ても一定期間景気が落ち込むことが想定されます。そうすると、金融緩和策はむしろ拡大しなくてはならないかもしれません。
 
また、「財政プライマリーバランス」や「GDP600兆円達成」などの政策目標を考慮すると、現在の金融緩和策を想定以上に長く継続していかざるを得ない可能性もあります。
 
さらに、団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となり、社会保障費を圧迫するいわゆる「2025年問題」も間近に控えており、国債格付けの大幅な悪化につながることで、急激に金利上昇に転ずる可能性も否定できません。
 

終わりに

現在の金利水準は、おそらく「史上最低金利」ということは間違いないでしょう。それを考慮すれば、現在は「借り時」であるといえます。また、いつ本格的な金利上昇の時期が到来するかを予測しづらい状況であることも確かです。
 
住宅ローンを検討される場合には、まずは「変動金利」を選択し、可能な範囲で繰り上げ返済による早期完済を目指す方法、または、フラット35などの全期間固定金利型を選択し、将来の金利上昇に左右されない方法、さらには、より低い金利のローンへの借り換えや10年固定金利型などで低金利の固定期間を延長しておく方法など、超低金利時代の今だからこそできる有効な方法を選択しておくことがポイントとなるでしょう。
 
Text:高橋 庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー,住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
 

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