親子リレーローンとは? 利用するときに注意することは?
配信日: 2023.02.07
本記事では、親子リレーローンの特徴とメリット、注意点を分かりやすくまとめました。ぜひ、親子で住宅ローンを組む際の参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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「親子リレーローン」は2世代にわたって返済する住宅ローン
親子リレーローンとは、1本の住宅ローンを親子2世代にわたって返済する形式の住宅ローンです。
親子が同時に返済するのではなく、最初は親が返済し、親が一定年齢になった場合や亡くなった場合などに、リレー形式で子どもに返済が引き継がれるために、リレーローンと呼ばれています。
1つの物件の住宅ローンを2人で返済するという点ではペアローンに似ていますが、ペアローンはそれぞれ1本ずつ、計2本のローンを組むのに対して、親子リレーローンではローンは1本である点が大きく異なります。
金融機関によっては親子リレー返済など、別の名称で呼ばれることもありますが、仕組みの大枠は同じです。また、祖父母と孫など、親子以外の間柄でも親子リレーローンを利用できるケースもあります。
親子リレーローンでは、返済期間を通して親子両方に返済義務があります。金融機関によっては、申込人である親(または子ども)を主債務者、子ども(親)を連帯債務者に指定する場合もあるため、申し込みの際に確認しましょう。
親子リレーローンのメリット
親子リレーローンには、次のようなメリットがあります。
●収入合算ができるためより高額のローンが組みやすい
●親単独よりも長期間のローンが組める
●親子両方が住宅ローン控除を受けられる
親子で同居する住宅の住宅ローンを組む際の選択肢として、魅力的な商品だといえるでしょう。以下で、それぞれのメリットについて解説します。
収入合算ができるためより高額のローンが組みやすい
親子リレーローンでは親子で収入合算ができるため、単独の収入で申し込む場合よりも高額の借り入れができる可能性があります。借入額を増やせれば物件の選択肢も広がるため、希望を反映した家を手に入れやすいでしょう。
親単独よりも長期間のローンが組める
住宅ローンには完済時の上限年齢があり、高齢になるほど短い期間しかローンを組めません。親子リレーローンでは子どもの年齢を基準に返済期間が設定できるため、親単独で住宅ローンを組むよりも長期間の借り入れが可能になります。
例えば、完済時の上限年齢が80歳の場合、60歳の親単独では20年までしか住宅ローンを組めませんが、35歳の子どもと親子リレーローンを組むと、一般的な住宅ローンの最長期間である35年の借り入れも可能です。
親子両方が住宅ローン控除を受けられる
親子リレーローンでは、親子それぞれが自分の持ち分割合に対して住宅ローン控除を受けられるメリットがあります。
例えば、令和5年中に住宅を取得すると、住宅ローン控除の控除額の基準となる年末残高は3000万円が上限です。住宅ローンの年末残高が4000万円の場合、3000万円の部分に控除率0.7%を掛けた21万円が控除額となります。
一方、親子の持ち分割合が2分の1ずつのリレーローンであれば、それぞれが2000万円に控除率0.7%を掛けた14万円ずつ、合計28万円の控除を受けられます。
親子リレーローン利用時の注意点
親子リレーローンを検討するときには、メリットだけでなく注意点にも目を向ける必要があります。主な注意点は次のようなものです。
●子どもが引き継ぐ残債の負担が想定より重くなることがある
●相続時のトラブルに備える必要がある
さまざまなケースを想定して、対処できるように備えておくことが大切です。
子が引き継ぐ残債の負担が想定より重くなることがある
親子リレーローンには、親が早く亡くなった場合など、引き継ぎのタイミングが想定外に早くなった場合に、子どもの返済負担が重くなるリスクがあります。
リスクに備えるには団信の加入が有効です。しかし、親子リレーローンの団信はどちらか片方しか加入できないものや、親子2分の1ずつ加入するものなども多いため、必ず確認しましょう。
相続時のトラブルに備える必要がある
親が亡くなって相続が発生すると、リレーローン対象物件の親の持ち分は、相続の対象になります。そのため、兄弟姉妹がいる場合などは、相続でトラブルにならないように、生前から遺産分割の取り決めをしておくとよいでしょう。
また、親の持ち分に対する相続税が高額になるケースもあります。住宅ローンの返済だけでなく相続税も想定した資金計画が必要です。
親子リレーローンはメリット・デメリットをよく検討して利用しよう
親子リレーローンは、親と子が協力して1つの物件の住宅ローンを返済する方法の1つです。親から子どもに返済をバトンタッチする、という特性上、親単独よりも長い返済期間のローンを組める、単独の収入よりも高額の借り入れがしやすいなどのメリットがあります。
しかし一方で、引き継ぎタイミングが早くなると子どもの負担が重くなる、相続でもめる場合があるなどの注意点も無視できません。
親子リレーローンを検討するときは、メリット・デメリットの両方についてよく考える必要があります。
出典
住宅金融支援機構 フラット35 親子リレー返済
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執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部