今年、夫の定年退職金で「1500万円」もらえます。住宅ローンが「500万円」残っているので“一括返済”に回すべきですか?
そこで今回は、退職金で住宅ローンを一括返済するメリット・デメリットをまとめました。退職金は、定年後も長く続く老後生活の重要な資金源ですから、使い道を検討する際の参考にしてください。
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目次
住宅ローンの残りを退職金で返済する方法
定年退職後は、現役時代よりも収入が低下する傾向にあるため、住宅ローンの残りがあれば、退職金で返済することを検討する方もいます。退職金の金額や住宅ローンがいくら残っているかにもよりますが、一括返済または繰り上げ返済を選択できるでしょう。
一括返済は、住宅ローンの残りをすべて支払い、完済まで行うことです。完済事務作業が完了すると、抵当権や根抵当権の抹消手続きに必要な書類が送られてきます。
これらは住宅ローンの担保として設定されているもので、担保を解除するために法務局に登記申請する必要があります。契約者が自分で行う手続きですが、司法書士など専門家に依頼することも可能です。
退職金を使って、住宅ローン残債の一部を繰り上げ返済する方法もあります。繰り上げ返済には、毎月の返済額を変更せずに住宅ローンの返済期間を短くする「期間短縮型」と、返済期間はそのままで毎月の返済額を軽減する「返済額軽減型」があります。
退職金で住宅ローンを一括返済するメリット
退職金が1500万円で、住宅ローンの残債が500万円であれば、一括返済することを検討できるでしょう。一括返済には以下のようなメリットがあります。
●総返済額を減らせる
●心理的不安から解放される
退職金で住宅ローンを返済することで、利息の負担を軽減できます。利息分の返済額が減って、少しでも総返済額を減らせるのはメリットです。
変動金利を選択している場合、完済してしまえば、将来の金利の動向を気にする必要もなくなり、心理的不安から解放されるでしょう。定年後の家計の負担も軽くなり、老後生活への不安も軽減できると考えられます。
住宅ローンの返済に退職金を使うデメリット
退職金は老後生活の貴重な資金源でもあるため、住宅ローンの返済に使う場合に注意も必要です。「老後生活は年金で賄える」と考えるかもしれませんが、年金は原則として65歳から受給できる制度です。60歳で定年を迎える方は、年金受給までの5年間の生活費をどうするか考えておく必要があるでしょう。
年金をもらうようになってからも、年金だけで生活費を賄えるとは限りません。不足分が生じれば、貯蓄を取り崩す必要が生じます。年齢を重ねると病気や介護についても考えなければなりません。万一に備えて貯蓄や退職金からもお金を確保しておくと安心です。
退職金は、退職所得控除やほかの所得と分離して課税されるなど、税負担が軽くなるよう配慮はされていますが、勤続年数や退職金の金額によっては税金がかかって満額が手元に残るわけではない点にも注意が必要です。
退職金1500万円で住宅ローン500万円を返済すれば、手元に必ず1000万円が残るわけではありません。退職金の手取り額も計算して、老後資金や万一に備えた資金の確保をしておくことも大切です。
住宅ローンを退職金で一括返済する際はメリット・デメリットを確認したうえで慎重に検討できる
退職金が1500万円で、住宅ローンの残債が500万円であれば、一括返済をすることで利息分の返済額が減って、少しでも総返済額を減らせるメリットがあります。住宅ローンを完済できると、将来の金利の動向を気にする必要はなくなり、定年後の家計も軽くなり、心理的不安からも解放されるでしょう。
60歳で定年を迎える方は、年金をもらえるようになる65歳までの生活費をどうするか考えておく必要があります。年金だけでは生活費を賄えない可能性があることも踏まえて、十分な貯蓄があるかも重要なポイントです。退職金は老後生活の貴重な資金源でもありますから、住宅ローンの返済に使う場合は、慎重に検討する必要があります。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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