高2の保護者です。「奨学金」の申込時に「利率の算定方式」を選択しなければならないようですが、どのように選べばいいですか?

配信日: 2025.02.14

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高2の保護者です。「奨学金」の申込時に「利率の算定方式」を選択しなければならないようですが、どのように選べばいいですか?
日本学生支援機構の奨学金は、高校3年次の春に申し込みができます(予約採用)。その際、貸与金額や保証制度、利率の算定方法などについて選択する必要があります。
 
利率の算定方式には2つありますが、どちらを選んだらよいのか選択に迷う保護は少なくありません。2つの方式と選び方をアドバイスします。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

奨学金の返還方式と利率の算定方法

無利子の第一種奨学金は、毎月一定額を返還する「定額返還方式」または、原則前年の所得に応じて毎月の返還額が決まる「所得連動返還方式」のいずれか1つを申込時に選択します。有利子の第二種奨学金は、「定額返還方式」のみです。
 
第二種奨学金の「定額返還方式」の利率の算定方法には、(1)利率固定方式、 (2)利率見直し方式があり、いずれか一方を申し込む際に選択します。利率固定方式は決定された利率・毎月の返済額が、返還完了まで適用されます。
 
利率見直し方式は、決定された利率がおおむね5年ごとに見直され、毎月の返済額が5年ごとに増減します。どちらの利率も卒業などの貸与終了時に決定します。
 

どちらの利率の算定方法を選んだほうがいいか

申込時に、利率の算定方式を選択しなければなりません。利率は申込時ではなく、卒業時に決まりますので、申込時に算定方法を選べといわれても困ります。しかし、貸与期間が終了する年度の一定時期まで変更できますので、そのときの経済状況をみて最終的に判断できますので安心してください。
 
申込時に選択した利率の算定方式を変更する場合、卒業年次になったら早めに奨学金の窓口でいつまでに変更すればよいか期限を確認しておきましょう。
 
ちなみに、2024年3月に貸与が終了した人の第二種奨学金の貸与利率は、固定利率方式が0.940%で、利率見直し方式が0.400%と、利率見直し方式のほうが低いです。
 
2013年度以降の利率は1%より低い状況が続いてきましたが、2024年4月以降、固定利率方式は1%を超え、利率は上昇傾向にあります。ただし、利率は3%を超えることはルール上ありません。
 
金利上昇時には固定利率方式を選択するのがセオリーです。迷ったら、返還計画が立てやすい固定利率方式がよいでしょう。ただし、年齢や経験年数に応じて給料が上がっていく、また各種手当が充実している公務員や企業などの場合は、利率見直し方式(上限利率3%)を選択してもリスクは少ないでしょう。
 
たとえば、利率見直し方式を選択した場合、固定利率方式よりも利率の低いときにお金を貯めて一部繰上げ返還をすれば、返還期間を短くできますので利息の軽減にもなります。また、機関保証を利用した方は返還完了時に保証料の一部が戻ってくる可能性もあります。
 

返還が難しくなったときの制度を知っておく

奨学金の返還期間は、借入総額に応じて自動的に9年~20年と決まります。長期間なので、その間に予想外の事態で返還が滞ってしまうこともあるでしょう。経済困難、傷病、災害等、奨学金の返還が困難になった場合に知っておいてほしい制度を2つ簡単に紹介します。減額返還制度と返還期限猶予制度です。
 
減額返還制度は、最長15年間、毎月の返還額を2分の1、3分の1、4分の1、3分の2に減額し、減額返還適用期間に応じた分の返還期間を延長する制度です。返還期限猶予制度は、通算10年間、返還期限を先延ばしする制度です。第二種奨学金の場合、猶予期間中は無利息です。
 
いずれも、1年ごとの願い出が必要で、経済的困難の場合は所得の審査があります。利息を含めた返還総額は変わりません。詳細は日本学生支援機構のホームページでご確認ください。
 
延滞すると年3%の延滞金が課されます。返還が3ヶ月以上滞ると個人信用情報機関に登録されて、クレジットカードが使えなくなったり、住宅ローンなど各種ローンが組めなくなったりする可能性があります。さらに、延滞が長期にわたると法的措置に発展する可能性があります。延滞は絶対に避けましょう。
 
奨学金を返還するのが遅れそうになったら、日本学生支援機構の「奨学金返還相談センター(ナビダイヤル0570-666-301)」に必ず相談してください。
 

出典

日本学生支援機構 公式HP
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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