「住宅ローンの金利上昇」=「マンションの価格は下落」ではない⁉今後の動向はどうなる?

配信日: 2025.04.22 更新日: 2025.04.24
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「住宅ローンの金利上昇」=「マンションの価格は下落」ではない⁉今後の動向はどうなる?
住宅ローンの金利に影響を受けやすいといわれている不動産価格ですが、近年の動向に変化がみられているようです。
 
そこで本記事では、「住宅ローンの金利」と「不動産価格」の関係を解説します。今後の不動産価格の動向についても、あわせてご紹介します。
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住宅ローン金利と不動産価格の一般的な関係とは

一般的に住宅ローンの金利が上がると、不動産価格は下落する傾向にあるといわれています。金利が上がると、ローンを組んだ際の利息も上がり、毎月の返済額が高くなります。返済額に上限がある場合、金利が高ければ高いほど、借り入れできる金額は少なくなってしまうのです。
 
借り入れできる金額が少なければ、住宅を購入する需要も減ってしまい、不動産の価格は下落しやすいといわれています。
 
ただし、近年の建築資材や人件費の高騰などが影響し、建築コストが上昇している傾向もみられ、不動産の価格は上昇し続けるといった意見もあるようです。
 

マンションの供給戸数と取引価格はどのように変化しているか

ここでは、経済産業省が解説している「高騰するマンション市場(2024)」を基に、マンションの供給戸数と取引価格がどのように変化しているのかを解説します。
 

新築分譲マンションの供給戸数は減少傾向に

東京23区における新築分譲マンションの供給戸数は、2013年には約2万8000戸でしたが、2023年には約1万2000戸まで減少しました。
 
首都圏全体でも、新築分譲マンションの供給数は減っている傾向にあり、10年間で約半数にまで縮小しています。エリア別にみた場合でも、千葉県を除く地域では2013年から2023年にかけてそれぞれおよそ50%の減少がみられます。
 
一方で、中古マンションの成約件数は減少しておらず、マンション需要の多くが中古市場によって支えられてきたと考えられます。
 

新築・中古それぞれのマンションの取引価格は上昇傾向に

2023年、東京23区のマンション価格は大幅に上昇し、2013年には約半数を占めていた「5000万円以下」の物件が約10%に減少しています。一方、1億円以上の高額物件は、この10年で5.2%から33.3%へ増加しました。
 
23区外では、都下・神奈川県で「7000万円超1億円以下」が最多でありながら、平均価格は23区に比べると半額程度となっています。また、埼玉県・千葉県では「4000万円超5000万円以下」の物件が中心で、手頃な価格帯が維持されています。
 
中古市場も新築同様に価格が上昇し、東京都では「2000万円超3000万円以下」から「5000万円超7000万円以下」の取引が増加しました。神奈川県も「3000万円超4000万円以下」が主流となっています。埼玉県・千葉県では「3000万円以下」が約5割です。
 
中古マンションは、リノベーションやリフォームを考慮しても新築よりコストをおさえられる魅力的な選択肢といえるでしょう。
 

マンションの今後の価格は

経済産業省が解説している「高騰するマンション市場(2024)」を基に、今後の取引価格の変わり方についてみていきましょう。
 
まず、鉄筋コンクリート造(RC)や鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC)といった「非木造住宅」の建設工事費デフレーターの指数は、2021年から2022年で急上昇しており、2024年に入っても上昇を続けているというデータがあります。
 
大規模マンション開発では、着工から販売まで2年程度の期間を要することもあるため、現在の建設費用の上昇は時差を伴っておおよそ2年後の住宅価格に反映されるといわれています。
 
このまま建設工事費デフレーターの上昇が続き、低下の兆しがみられなければ、費用を原因とした新築分譲マンション価格の上昇はまだ続くと考えられるでしょう。さらに、中古マンションの価格にも影響することが予測されます。
 

マンション購入を検討する際のポイントは

新築も中古も、マンションの価格は上昇する傾向にあります。そのため、これからマンションを購入する場合は、金利の状況や市場の動向をチェックしながら進めることが重要でしょう。
 
特に、金利が低ければ支払い負担額も軽減されます。住宅ローンには、おもに固定と変動の2種類の金利があります。固定金利は契約期間中の金利は一定であるため、金利上昇のリスクを回避できますが、初期の金利が変動金利よりも高くなる傾向にあります。
 
一方、変動金利は金利が変動するため、低い時期には低い返済額で済む反面、上昇すれば増額する可能性があります。金利上昇時のリスクを考慮した計画を立てることがポイントになるでしょう。
 
また、新築にこだわらず中古マンションも検討したり、希望エリアの範囲を広げたりと、条件を広げて検討することもポイントのひとつといえます。
 

今後もマンションの価格は上昇する可能性がある。状況を確認しながら購入の検討をした方がよいでしょう

金利が上がると不動産価格は下落することが一般的でしたが、近年の建築コストの上昇などによってあまり下落は見込めない可能性があるようです。
 
近年は中古マンションの価格も上昇する動きがあるため、住宅ローンの金利を含め、購入のタイミングは慎重に見極める必要があるでしょう。
 

出典

経済産業省 高騰するマンション市場
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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