新卒で手取り20万円程度です。奨学金「300万円」の返済があるのですが、いつ頃返済が終わるのでしょうか?
本記事では、新卒で手取り20万円程度の方が、奨学金300万円を返済するにはどのくらいの期間がかかるのか、毎月の返済額の目安や、早く返すためのポイントも含めて解説します。
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目次
奨学金300万円、新卒の返済でどれくらいかかる?
まず、返済期間の目安を知るには、利用している奨学金の種類を確認することが大切です。
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金には「第一種(無利子)」と「第二種(有利子)」の2種類があり、一般的には卒業から7ヶ月目に返済がスタートします。
JASSOで多く採用されているのが、「定額返還方式」という毎月決まった金額を支払っていく返済方法です。300万円を借りた場合、標準的な返済期間は15年(180回払い)程度ですが、返済期間は借入額や返済方法によって異なり、最長で20年(240回払い)まで設定できる場合もあります。
例えば、300万円を15年(180回)で返済する場合の返済額は、無利子の第一種奨学金では毎月約1万6600円となります。有利子の第二種奨学金の場合は、利息分が加算されるため、返済額はこれよりやや高くなります。利率は年0.5〜1%程度が多いですが、変動する場合もあります。
月々の返済額と返済期間をシミュレーション
ここで、第一種(無利子)と第二種(有利子)それぞれのケースで、毎月の返済額と完済までの年数を具体的に見てみましょう。(独)日本学生支援機構のシミュレーションサイトで行った結果は、以下のとおりです。
借入額:300万円
返済期間:204回(17年)
月々の返済額: 1万4075円(最終月のみ1万4885円)
総返済額:300万円
借入額:300万円
返済期間:204回(17年)
月々の返済額:1万6980円(最終月のみ1万7031円)
総返済額:346万3971円
手取りが月20万円の新卒社員の場合、月1万4000〜1万7000円程度の返済であれば、家賃や生活費を差し引いても一定の余裕を持って返済ができる水準です。ただし、都市部で家賃が高い場合や、ボーナスがない職場では、余裕がなくなることもあるため、無理のない家計管理が求められます。
早めに返済したいならどうすればいい?
奨学金の返済は長期にわたるため、「できれば早く終わらせたい」と感じる人もいるでしょう。その場合に活用できるのが、「繰上げ返還」です。
JASSOでは、一括返済だけでなく一部繰上げ返還にも対応しており、返済中に余裕が出たときにまとまった金額を返すことで、完済を早めることが可能です。
例えば、毎月の返済とは別に5万円や10万円を繰上げで返せば、その分だけ将来の返済が減り、特に有利子奨学金の場合は支払う利子も減らせるというメリットがあります。繰上げ返還はインターネット(スカラネット・パーソナル)や郵送で手続きでき、比較的手軽に申請可能です。
無理なく返済を続けるために心掛けたいこと
15年という長い返済期間では、ライフステージの変化(転職・結婚・引っ越しなど)も起こり得ます。このようななかで、返済を続けていくために次のようなことを意識すると安心です。
1. 家計簿をつけて支出を把握する
まずは毎月の固定費・変動費を見直し、無駄な支出を減らしましょう。家計簿やスマホアプリを活用して、固定費(家賃・光熱費・通信費など)と変動費(食費・交際費など)を分けて管理しましょう。
特に見落としがちな通信費やサブスクの見直しは無駄な支出を減らす効果が高く、返済の負担軽減につながります。定期的に家計の状況を振り返り、節約できるポイントを探す習慣をつけることが無理なく返済を続けるコツです。
2. 収入が増えたら、その一部を繰上げ返済に充てる
昇給やボーナスなどで収入に余裕ができた際は、その一部を奨学金の繰上げ返済に充てることを検討しましょう。繰上げ返済を行うことで、返済期間の短縮や利息の軽減が期待できます。
特に有利子の第二種奨学金では、元金を早く減らすことで将来の利息負担が大きく減るため、総返済額を抑える効果が高いです。ただし、生活費や緊急時の資金を確保しつつ、無理のない範囲で行うことが重要です。
3. 返済が厳しいときは「返還期限猶予制度」や「減額返還制度」を利用する
病気や失業などで収入が大きく減った場合や、毎月の返済額が家計の負担になっている場合には、JASSOに申請することで返済を一時的に止められる「返還期限猶予制度」や毎月の返済額を減らせる「減額返還制度」を利用できます。
これらは延滞とは異なる正規の救済制度なので、困ったときは必ず相談しましょう。申請には年収や就業状況などの条件や、所定の書類提出が必要です。詳細は、JASSO公式サイトでご確認ください。
奨学金は将来への投資、計画的に返済しよう
奨学金の返済はたしかに長く続きますが、それは過去の学びへの投資を少しずつ回収していく過程ともいえます。
月20万円の手取りでも、無理なく返済を続けられるように計画を立て、状況に応じて繰上げ返済や返還期限猶予制度や減額返還制度を活用することで、経済的な不安を最小限に抑えることができます。
無理に焦る必要はありませんが、「計画的に返していけば、必ず終わるものだ」と前向きに考えることが、将来の安心にもつながります。自分の生活に合った返済スタイルを見つけて、着実に前に進んでいきましょう。
出典
独立行政法人日本学生支援機構 奨学金
独立行政法人日本学生支援機構 奨学金貸与・返還シミュレーション
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー